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2022/08/31 メルマガ
Chrome上のサードパーティークッキー規制が延期された今、何をするべきなのか?
ニールセン インサイト ~メディア~
2022年8月31日号
Googleは、当初2022年度中にChromeブラウザ上におけるサードパーティークッキーのサポートの停止を予定していましたが、昨年、このタイミングを2023年後半に延期すると発表していました。しかし、先月2022年7月27日に2度目の延期発表をし、2024年後半以降にサポート終了し始めるとしました。この発表をうけ、デジタル広告業界の関係者によっては、様々な受け取り方がありますが、特に、マーケティング担当者の視点に立ったときに、この変更をどのように受け止めるべきなのでしょうか。一つの見方としては、Chromeユーザーを対象としたコミュニケーションにおいて、サードパーティークッキーを使用できる期間が延びたと解釈することもできます。そのため、これまでどおりのコミュニケーションを続けられる、と安心しているマーケティング担当者もいるのではないでしょうか。もちろん、2024年末までには然るべき対応を取っていけるようにする必要がある、と考えている人が多いでしょうが、現状は何も対応を取らなくても良いのでしょうか? 今回のメルマガでは、このGoogleの発表をうけて、改めてクッキーレスの問題について、今何をすべきか整理したいと思います。
Chrome上のサードパーティークッキー規制が
延期された今、何をするべきなのか?
ニールセンデジタル シニアアナリスト 高木史朗
クッキーレスの問題は、すでに起きている問題
話をわかりやすくするために「クッキーレスの問題」と書いていますが、話の始まりはプライバシー保護の観点から欧州でGDPRが発効されたことに遡ります。インターネット上での行動ログなどの情報をユーザーがコントロールできるようにしていこうとする、グローバルにおける潮流が広がりつつある中、最も早い対応として、アップル社がITP1.0としてSafariブラウザ上におけるサードパーティークッキーの規制を開始しました。その後、2019年にはFirefox、2020年にはEdgeにおいても規制が始まり、昨年2021年にはブラウザだけでなくiOS上のアプリ広告識別子(IDFA)も規制の対象となりました。そのためここでは、サードパーティークッキーだけでなく、アプリ広告識別子も含めたデジタル識別子の活用に規制がかかってくる問題を、「クッキーレスの問題」として捉えたいと思います。
クッキーレスの問題は、今回GoogleがChrome上でのサポートを2024年まで継続するとしている一方、その他のブラウザやOSではすでに起きていることがわかります。では、その影響範囲はどの程度まで広がっているのでしょうか。日本においては、現在2歳以上の男女のうち約9千万人がインターネットを利用していますが、デバイスの内訳としてはパソコンからの利用が約4,600万人なのに対して、スマートフォンのからの利用が約8,300万人と、多くの割合をスマートフォンが占めています。さらに、そのスマートフォンの利用をOS別に見ると、iOSからの利用が約4,000万人で、Androidが約3,800万人となっています。つまり、この4,000万人もの利用者がいるiOS上のSafariブラウザとアプリ識別子にも規制がかかり始めていることを考えると、インターネット利用における半数以上がすでにクッキーレス問題の渦中にあることになります。2024年までに対応方法を考えようといった悠長なことを行っている余裕はなく、すでに現在配信しているデジタル広告のキャンペーンにおいて、どのような影響が起きているのかを正しく把握し、どのような対策を取っていくのか意思決定しなければいけない状況にあるといえます。
クッキーレスの問題において取るべき対策とは
既に多くのデバイスやブラウザにおいて、デジタル識別子が利用できなくなってきていることで、広告配信がこれまで通りには行えなくなるとや、広告の効果測定においても今まで通り対応できないケースも出てきます。このような状況下で、マーケティング担当者として対処すべきことは多岐にわたります。
1. まずは正しくリスクを把握すること
例えば、これまでデジタル識別子を活用してターゲティング配信をおこなったり、フリークエンシーキャップをかけたりしていたため、一部の広告配信において、ターゲティング精度が落ちるのではないか、フリークエンシーが過剰になるのではないか、などの懸念が高まっています。そのため、ファーストパーティーデータの活用やコンテキストターゲティングなど、様々なソリューションが活用され始めています。しかし、本来の目的であるコミュニケーションを取りたいと考えていた消費者に広くリーチすることが難しくなることも考えられます。最終目的である商品の購入につなげるために、適切なターゲットに対して狙った態度変容を起こせないケースが出てくるという本質的なクッキーレスによるリスクを把握することが大事です。(詳しくはこちら)
2. 正確に現在の広告の配信状況を把握すること
リスクを把握した上で、実際にキャンペーンの効果を改善していくには、今起きている状況を正しく「見える化」することが重要です。例えば、本当に過去と比べてターゲティング精度が悪化しているのか、フリークエンシーが過剰になっているのか、といったことを正しく把握しなければ、適切な改善策も考えられません。しかし、ここで課題になってくるのは、広告効果測定にもクッキーレスの影響が及んでいるということです。そのため、クッキーレスの影響を受けない計測手法なのかどうか、また、常に変化し続けているデジタル環境の中で持続可能な計測手法なのかどうか、といった視点で測定方法を選ぶ必要があります。(詳しくはこちら)
3. クッキーレス時代における広告効果の改善方法
クッキーレスに対応した測定方法で見える化できれば、PDCAサイクルをまわして、改善を図っていくことができるようになります。近年動画配信サービスの利用も増加し、動画広告の活用も増えている中で、ブランディング目的でデジタル広告を活用することもあるでしょう。そのような場合、ターゲットに対して適切に広告を配信することは、キャンペーン全体のROIにも影響します。キャンペーン後に結果を把握して、次回のキャンペーンに活かしていくことも重要ですが、クッキーレスの影響によりターゲティング精度が懸念される状況下では、キャンペーン期間中に最適化を図っていくことも重要です。(詳しくはこちら)
また、正しく狙っていたターゲットにリーチしたか?という視点だけでなく、狙っていたターゲットは広告を見て態度変容したか?という視点から、ブランドリフト調査を行うこともあるでしょう。このブランドリフト調査においても、広告に計測タグを入れてデジタル識別子情報を活用した効果測定は、クッキーレスの影響を受けています。そのため、これまでマス広告でも活用されていた手法、例えば、プレポスト調査によるキャンペーン効果測定を活用するなど、偏った調査結果とならない正しいソリューションを選定することが重要です。(詳しくはこちら)
現在、クッキーレスという課題によって、様々な対応が求められている状況ですが、デジタル業界はこれまでも様々な変化が起きてきましたし、これからもまた新たな変化が起こることでしょう。そのため、今後も継続的に事業を成長させていくには、変化し続けるデジタルメディア環境に対して、常に正しい測定結果を出すことができる、普遍的で「持続可能なソリューション」を選定していくことが重要であるといえます。
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