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2022/06/23 メルマガ

クッキーレス時代に正しくブランドリフトを測定するために

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ニールセン インサイト ~メディア~

2022年6月23日号

動画広告などの活用が増える中、デジタル広告をブランディング目的で活用している広告主も増えているでしょう。そのような中で、広告の効果測定を目的として、ブランディング指標がコミュニケーション活動によって向上したかどうかを計測する、いわゆるブランドリフト調査をしたいというご要望を伺うことも多くなっています。ブランドリフト調査には様々な方法がありますが、デジタル広告においては、広告に接触したグループと接触していないグループ間のブランド指標の差を比較する方法がよく用いられてきました。この際、接触グループと非接触グループの判定には計測タグが利用されてきましたが、プライバシー保護を目的としたクッキーレス化が進む中で、計測タグで広告の接触情報が取得できないケースも出てきていました。そのため、計測タグを利用した形でのブランドリフト調査を行うことが難しいケースも増えてきています。そこで、今回のメルマガでは、クッキーレス時代におけるブランドリフト調査のあり方について考えたいと思います。


クッキーレス時代に正しくブランドリフトを測定するために

ニールセンデジタル シニアアナリスト 高木史朗

計測タグを使用したブランドリフト調査の限界

お客様と話をしていると、現状においても計測タグを利用したブランドリフト調査を行っているという話を伺うことがあります。しかし、効果測定結果を今後のキャンペーンの改善に活用していく上では、クッキーレスの影響について把握することが重要です。日本においてはインターネットの利用はスマートフォンからの利用が大半を占め、そのスマートフォン利用の約半数をiPhoneが占めています。現状デジタル識別子の取り扱いに対する規制が厳しいiPhoneの利用がこれだけ多くを占めている日本において、ブランドリフト調査にも既に大きくクッキーレスによる影響が出ています。

具体的な問題点としては、アンケート調査パネルとして登録している人がiPhoneを利用している場合、多くのケースでデジタル識別子が取得できなくなってきています。そのため、実際には広告に接触しているにも関わらず、データをマッチングできないために、広告に接触していない人として判定されるケースが出てきます。こういったケースが少数であれば、調査結果に対する影響も小さくて済むものの、現状iPhoneユーザーの多くがデジタル識別子の利用を許諾していない状況において、iPhoneユーザーに対してこれまでどおりの手法でブランドリフト調査を行うことは難しい状況と言えます。この様な手法で調査を行った場合、実際には広告に接触している人の回答が広告非接触者の回答結果に含まれることで、広告接触者グループと非接触者グループの間の差=広告の効果が出にくくなります。実際には広告の効果があった場合でも、結果的に広告の効果が無いと判断されるケースが出てきます。このような判断に基づいて、それ以降効果が見られなかったメディアを活用しなくなった場合、広告主としては本来効果が出せるかも知れないメディアを活用する機会を見落とすこととなり、売上を向上させられる選択肢を減らしてしまうことになります。

このような問題の回避策として、まだデジタル識別子が取得できているAndroidユーザーに限定して調査を行うことも可能です。ただし、AndroidユーザーとiPhoneユーザーとでは、性別や年齢の分布も異なれば、デジタルサービスの利用状況や意識も異なる可能性が考えられます。そのため、Androidユーザーのみに対して調査を行う場合は、一部の偏ったユーザーにおける調査結果であることを考慮した上で活用する必要があります。

 

これからブランドリフト調査のあり方

2023年後半には、Android端末においても各種のデジタル識別子の取得が困難になってきます。そのためブランドリフト調査の方法は、現段階からクッキーレスに対応した手法を考えていく必要があります。最もシンプルな手法としては、ファーストパーティークッキーデータを使用する方法があります。これは既にいくつかのメディア運営企業が提供しているブランドリフト調査で、今後もこういったメディア運営企業が提供する調査結果は重要な参考情報となるでしょう。しかしこの方法の問題点は、媒体横断的な効果、広告キャンペーン全体の効果を測定できない点にあります。

媒体横断的にキャンペーンの効果を測定するには、デジタル識別子に依存しない方法を検討していく必要があります。その際に現在注目されているのは、計測タグなどを使用しないプレ-ポスト形式のブランドリフト調査です。プレ-ポスト形式では、キャンペーンが開始される前と開始された後に、同じ人たち、もしくは同質性が担保されているグループに対してアンケートを実施し、ブランド指標の差を比較します。計測タグを使用しないため、正確にデジタル広告に接触したのかどうか、何回接触したのかを判定することはできませんが、キャンペーンによる効果を回答者の偏りなどの影響を受けずに広告効果を把握することが可能になります。また、隔週など定期的な頻度でブランド指標についてのアンケートを実施するようなブランドヘルス調査を行っていれば、マーケティング・ミックスモデリングにその結果を取り込むことで、ブランド指標に対する各メディアの影響度を算出することも可能になります。

これらの調査手法は、従来型の調査手法で新しいものではありません。しかし、デジタル広告の活用が進んでいる現在においても、十分に活用していくことのできる不変的で持続継続性の高い調査手法です。特に、広告の効果を測定する上で重要になるのは、偏りの無い対象者に対して調査を行うことで、バイアスのかかっていない調査結果を得ることです。今後、デジタル識別子の規制に影響を受けない、新たな調査手法も開発されていく可能性はありますが、その際にも、過小評価や過大評価をせずに正しく広告効果が測定できるのかどうか、という点を見極めて活用していくことが重要になってくると言えます。



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