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2014/11/11 メルマガ

タブレットの現状と今後 -タブレットは終わってしまったのか

ニールセン・インサイト
2014年11月11日発行
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今回のメルマガでは、「タブレットの現状と今後 -タブレットは終わってしまったのか」と題し、ニールセンが2000年から継続して調査をしているネット利用動向調査や、その他の調査結果からタブレットの利用傾向について、執筆者であるニールセンのアナリストの解釈、見解を示していきたと思っています。

アナリスト コラム

タブレットの現状と今後 -タブレットは終わってしまったのか

■様々なニュースが報じる「タブレット市場の成長鈍化」

2014年10月、アップルはタブレット製品「iPad Air 2」及び「iPad mini3」の発売を開始した。各社の報道を見ると新しいデバイスのデザインや機能・価格とともに「タブレット市場の成長鈍化、新しいタブレットは起爆剤となるか」といったような記事がいくつか出ていた。「大型のスマホに市場を奪われた」、「スマホほど買い替え需要がない」といった論調である。先日のアップルの決算発表を見ても、iPadの売り上げが3四半期連続で減少していると発表されており、タブレット市場の一時期の熱狂がなくなった印象があるが、タブレットは終わってしまったのか。

■タブレットの保有者は3,000万人程度

2014年10月の日本のタブレットの保有率は24%である(図表1)。人口に割り戻すと3,000万人弱が持っていることになる。そして実はここ6ヶ月は24%前後で推移しており大きな変化は見られない。また、スマホの保有率は全年代では40%であり、16-49歳に絞ってみると70%であった。

ちなみに、アメリカでも同様にタブレット市場の成長鈍化が言われているようだが、米ニールセンの調査では保有率は2014年9月で46%と日本の倍近くであった。


図表1:各デバイスの保有率 2014年10月

各デバイスの保有率 2014年10月

※Nielsen Internet Basic Report
2歳以上の男女
母数:2歳以上の人口(2010年 国勢調査ベース) 1億2499万人


では、どのような人が使っているのか。まず、年代別の利用率を見てみよう(図表2)。ここでも違いを見るために同時期のスマホの利用率と比較をしてみると、スマホは20代をピークに右下がりとなっているのに対し、タブレットでは年代別の差は小さく総じて15%前後であった。


図表2:各デバイスの年代別利用率

各デバイスの年代別利用率

※Nielsen Internet Basic Report
2歳以上の男女
母数:2歳以上の人口(2010年 国勢調査ベース) 1億2499万人


■タブレットは年代別で利用目的が異なる

次に、タブレットがどのような利用目的で使われているのか見てみると、必要な知識・情報を得るため、エンタメ関連を楽しむため、と続いている(図表3)。では、年代別で違いがあるのか各年代で全体と比較し、特徴的な利用目的の上位3位を見てみた(図表4)。 10代がエンタメ関連(動画やゲームなど)や勉強、50代では仕事、60代以上では写真や動画をとるため、外出先の記録をとるためとそれぞれの年代で利用目的が異なっているのが見てとれる。

仮説としては、10代は普段はスマホ中心だが、エンタメを楽しんだり勉強をしたりするときなど、画面が大きいほうが使いやすい作業をする時は、タブレットを使うのではないかと考えられる。また、60代以上は、本来はスマホのほうが軽く持ち運びには便利だが、画面が大きく使いやすいため、タブレットを持ち歩くことが多いのではないかと考えられる。
いずれにしろ、やはりタブレットは画面が大きいことが魅力であると改めて気付かされた。

図表3:全年代のタブレット利用目的

タブレットの利用目的

※ Nielsen Digital Consumer Database 2014
15歳(高校生)以上の男女
http://www.netratings.co.jp/news_release/2014/10/Newsrelease20141028.html


図表4:年代別の特徴的なタブレットの利用目的 TOP3

年代別の特徴的なタブレットの利用目的 TOP3

※ Nielsen Digital Consumer Database 2014
15歳(高校生)以上の男女
http://www.netratings.co.jp/news_release/2014/10/Newsrelease20141028.html


■タブレットの今後

では最後にタブレットの今後はどうなるのかいくつか考えてみた。

    1. ビジネスマン向けとして

      タブレットでもっともシェアの高いiPadでは、11月8日にマイクロソフトのOffice for iPadの日本語版が利用可能となった。より仕事でも活用できるようになるとのことだ。私も無料とのことで導入してみたが、複雑な資料を作成しようとすると、慣れ親しんだマウスやキーボードの使い勝手にはかなわない。メール・スケジュールチェック程度の仕事では持ち運びのよいスマートフォンにかなわない。結局、PCやスマホの代わりではなく、「タブレットだからこそ」の独自の活用方法を見いだせないと利用が定着していくことは難しいのではないかと考えられる。

  1. ターゲットや利用シーンを絞って

    タッチパネルのわかりやすいインターフェースや大画面は、子どもやシニアには相性が良いと思われる。子供のゲーム専用端末、勉強専用端末、などターゲットや利用シーンをしぼるマーケティングもありえる。

    例えば、2014年の春頃、<人気ゲーム「艦隊これくしょん」のためにWindowsタブレットを購入する人が増えている>といったニュースが出ていた(「艦隊これくしょん」はFlashを利用しているため基本的にはiPadでは利用できない)。マイクロソフトもそれに乗じ、(実現はしなかったとのことだが)自社のタブレットSurfaceと「艦隊これくしょん」とでコラボする計画もあったと明言している。タブレットは動画を見る、ゲームをするといったエンタメ系との相性がよいため「◯◯をやるためにタブレット買う」とった買い方が今後も出てくるのではないかと考えられる。


その他、タブレット自体の進化、ウェアラブル端末の活性化、スマホの大画面化、デバイス間でのシームレス化など、タブレットを取り巻く環境の変化要因は多く、今までまったく想像しなかった形で利用され、市場が拡大する可能性もあると思っている。タブレットが販売されてまだ5年程度、もっと進化していくはずである。私も最近利用頻度が減ったタブレットユーザーとして、新しい利用シーンや買い換えたいと思わせる新デバイスの登場に期待したい。

(ニールセン シニアアナリスト 今田 智仁)

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