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2017/02/28 メルマガ

食品・日用品カテゴリーのEコマース拡大の可能性

ニールセン・インサイト ~メディア~
2017年2月28日発行
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「Eコマース」という言葉を聞くとAmazonを思い浮かべる人も多いと思いますが、昨年末にはIoTをフル活用した実店舗「Amazon Go」を2017年にシアトルに出店すると発表し、話題になりました。Amazonの実店舗戦略としては、2015年に既にAmazon Booksの展開を開始しており、他にも今後、食品スーパーを全米で2000店舗展開する計画があるという報道もあります。このように、これまでオンライン専門でコマース事業を展開していた企業が実店舗の運営を開始するなど、最近ではその境界線が曖昧になってきています。そこで今回のコラムでは、欧米の事例やニールセンがグローバルで実施した「グローバル・コネクテッドコマース調査」の結果を基に、Eコマース、特に最近各企業が注目し始めている食品・日用品のEコマースに注目して今後の可能性について考えていきたいと思います。

アナリスト コラム

食品・日用品カテゴリーのEコマース拡大の可能性

■Eコマースは拡大中。その購買はサービスや耐久財が中心だが、消費財にも成長の余地がある

まず、経済産業省の発表によると、小売業全体では約140兆円の売上規模があり、そのうちの38%が、いわゆる食品・日用品(飲食料品:31%、医薬品・化粧品:7%)で構成されており、最大の構成要素となっています(出典:商業動態統計 速報 平成28年12月分)。EC化率に注目すると、2015年の国内の個人消費(サービス除く)に対し5%弱と、その構成比は低くなりますが、売上は2011年から63%増と成長が著しい分野であることは間違いありません(出典:経済産業省 電子商取引に関する調査2015)。また、ニールセンが調査、発表した「グローバル・コネクテッドコマース」によると、Eコマースサイトから商品を購入した経験のある人が多いカテゴリーは、世界的に見ても、ファッションや旅行などが主流でした。一方で消費財でも、美容・パーソナルケア用品など特定のカテゴリーによっては購入経験がある人が一定数いることが分かりました(図表1)。特にアジアの各国では消費財の購入率が他の地域の国とくらべて高く、中国や韓国では4割の人が生鮮食品の購入経験があると回答しています(図表2)

図表1:カテゴリーごとのオンライン購入経験(世界平均)

図表2:消費財カテゴリーごとのオンライン購入経験(国別)

■欧米では大手企業が食品・日用品のEコマースに可能性を見始めている

前段では食品・日用品に成長の余地があることをお話しましたが、小売り企業やEコマース事業者も、近年このカテゴリーに注目をし始めています。例えば米ウォルマートは「Click & Collect」と呼ばれる、オンラインで商品を注文し、ピックアップ時間を指定、その時間に店舗にピックアップしに行くオムニチャネル展開に大きな可能性をみいだし、昨年から対応店舗数を急速に増やしています。またAmazonも前述のとおり、今後、全米で2000店の食品スーパーをオープンし、Amazonで受けた注文をピックアップする拠点を整備するという報道もあります。また、オンラインスーパーの利用が定着しているイギリスでは、OCADOというネットスーパーが、1時間単位での自宅配達を指定可能にし、注文から1時間以内の配達のオプションも提供しています。生鮮食品の扱いに際しては、24時間以上たった商品は保管しない鮮度管理を徹底し、売り上げを拡大しています。
このように欧米の先駆的な企業はすでに食品・日用品のオンライン購入の可能性を見出しており、積極的に将来への投資を始めています。


■なぜ食品・日用品がEコマースにとって重要なカテゴリーなのか?

ではなぜ食品・日用品Eコマースが重要なのでしょうか。それは企業、消費者双方に大きなメリットがあるためです。食品・日用品の購買行動を改めて考えてみると以下の3つの重要な要素がみえてきます。

  1. 毎週のように定期的に購入されること:
    このカテゴリーは一定のサイクルで購買されることが普通です。そこにEコマースを利用する利便性を享受することに慣れた消費者が増えれば、Eコマースサイトは小売売上構成の大きな割合を占めるカテゴリーを取り込むことができます。

  2. 同じ商品が購入される場合が多い:
    例えば、過去の注文履歴からワンクリックで購入できるなど、Eコマースの利点を十分に活用することで消費者はさらに利便性を享受できることになり、メーカーとしても定期的な売上を見込むことが可能になります。

  3. 店舗では購入に一定の時間を費やしている:
    消費者は定期的に買い物に行くことはもちろん、店舗までの移動時間や店内で商品を探す時間、レジ待ち、荷物を詰める手間など、多くの時間と労力を費やしています。これをオンラインで注文し、指定時間に配達、またはピックアップできるサービスに置き換えることができると、店舗に行く時間を上手く作れない家庭や、時間を上手く節約したい働く層などが大きなメリットを享受できることになります。

以上のように、今後、食品・日用品のオンライン購入は伸びていく可能性が大いにあると考えられますが、それに紐づく重要な要素として、そこから得られる購買データと、その活用も忘れてはいけません。 例えば、ペットフードを買っているのか、子供用のオムツをかっているのか、大容量の肉を買っているのか、定期的に購買される商品の情報を分析することで、より具体的なライフスタイルの推測が可能となります。企業としては、その情報を活用することで、よりその人に合ったコミュニケーションをとることが可能になります。


■日本では注文、配達方法の利便性向上と品質保証施策が鍵

一方、日本に目を向けると、現状ではネットスーパーが広く普及している状況ではなく、他の国々よりも食品・日用品のオンライン購入が拡大するためのハードルは高いと言えるかもしれません。しかし、このカテゴリーが持つ大きな可能性を考えると、拡大するための条件を把握していくことが重要だと思います。
では、Eコマースで食品・日用品の購入拡大するためには何が必要となるでしょうか。それは、注文方法や配達方法の継続的な革新による利便性の向上と消費者の品質に関する懸念を払しょくすることだと考えます。

注文方法や配達方法の革新という点では、小売り網が整備されている日本は、必要になれば、すぐに店舗に行くことが可能です。しかし、前述のように購入する際には一定の手間暇がかかっています。それを大きく効率化するこができれば、購入が拡大する可能性は大いにあります。例えばAmazon Dashのような新しいデバイスによる注文や、Click & Collect、AmazonがPrime会員に提供している即日宅配やPrime nowなども消費者の利便性を向上する革新の一例です。公共施設への宅配ボックスの設置(欧米では冷蔵機能付きのボックスも設置が始まっている)が進むことでも利便性は向上するでしょうし、ドローンによる宅配のような、さらなる革新がよりEコマース利用へのハードルを下げることにつながるでしょう。

また、消費者の心理面のハードルも乗り越える必要があります。「グローバル・コネクテッドコマース」の調査結果から、特に食品の購入に対するハードルとして、品質に関する懸念が最も多いことが分かります。オンラインショッピングでは実際に手にとって品質を確認し、購入することができないためで、これは当たり前の結果であるともいえます。そこでEコマースの運営側は消費者が購入した商品の品質について納得しない場合や、品質に問題があった場合は返金をするなどの保証施策を採用し、利用者にアピールしていくことが重要で、今後の利用拡大につながる要素であると思います。

以上の様な要素が将来整っていくことで、日本でも食品・日用品カテゴリーのEコマース利用が進んでいく可能性は高いと考えます。小売業のみならず、メーカー側も、この波に乗り遅れないように、常に状況を把握していくことが重要だと思います。

(ニールセン デジタル エグゼクティブアナリスト 中村 義哉)

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