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2015/03/10 メルマガ

日本で定額制ストリーミングサービスの利用は拡大するのか?

ニールセン・インサイト
2015年3月10日発行
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今回のメルマガでは、「日本で定額制ストリーミングサービスの利用は拡大するのか?」と題し、日米のインターネット視聴率データをもとに、ストリーミングサービス市場、特に音楽配信についての現在と今後について考えていきたいと思います。
アナリスト コラム

日本で定額制ストリーミングサービスの利用は拡大するのか?

■ストリーミングサービス市場に大きな動き

今年に入り、ストリーミングサービスに関するニュースを頻繁に耳にするようになりました。まず動画では、米国「Netflix」が2015年秋から日本でサービスを開始すると発表を行い、その動向に注目が集まっています。現在、日本では動画の定額制ストリーミングサービスで幅広くユーザーを獲得できているサービスは存在しないと見られます。今後動画市場において、定額制ストリーミングサービスが普及するかどうか、大きな転機が訪れているのではないかと考えています。

もう一つのストリーミングサービス市場である音楽配信でも、昨年後半から今年に入り様々なニュースがありました。Appleでは、昨年買収したBeatsの音楽ストリーミングサービス「Beats Music」を「iTunes」に統合するとの噂がたえず、Amazonでも昨年後半に「Amazon Prime」にて音楽配信を開始しています。Googleからも「Google Paly Music」や「YouTube Music Key」などの音楽ストリーミングが提供されていますが、これらは今のところ日本以外でのサービス提供に関する話題です。日本に関連した話題としては、ソニーが独自で展開していた定額制の音楽ストリーミングである「Music Unlimited」を終了し、同時に「Spotify」とのパートナーシップによる新たなサービス「PlayStation Music」を今月の29日から開始すると発表されています。しかし、日本での展開は現在のところ未定のようです。

■日本以外で拡大する定額制音楽ストリーミング市場

音楽コンテンツの消費は、若年層がけん引する構図は今も昔も変わりませんが、音楽の視聴方法は、テクノロジーの進化と共に大きく変化をし始めています。モバイルを含む利用デバイスの多様化や通信環境の整備により、端末へダウンロードした音楽を再生することから、様々なデバイスでクラウドから音楽をストリーミング再生する形態に移行し始めており、この傾向は欧米で特に堅調になっています。例えば前述の「Spotify」は、スウェーデンに本社を置くサービスで、2014年5月時点で日本を除く世界56カ国に展開しています。無料版と有料版のサービスを展開しており、利用者数は4,000万人を超え、有料版でも1,000万人の会員が利用していると発表しています (Spotifyのリリースより)。

■米国の若年層に利用されている音楽ストリーミングサービス

では音楽コンテンツの消費形態の変化が先行している米国について、弊社米国のスマートフォンの視聴率データから、アプリの利用状況を見てみます。ここではOSに依存しない、音楽ストリーミングサービスの代表的なサービスとして「Pandora Radio」と「Spotify」に注目してみます。「Pandora Radio」はカリフォルニアに本社を置くサービスで、現在は米国、オーストラリア、ニュージーランドの3ケ国のみで展開しています。「Pandora Radio」の2015年1月のスマートフォンからの月間の利用者数は、約3,500万人(利用率*は21%)となっていました。また「Spotify」は、同1月時点ではスマートフォンからの利用者が1,200万人(利用率*7%)となっています。
利用者の性年代構成では、両サービスとも男女共に29歳以下の割合が最も高く、若年層を中心に受け入れられているサービスであることが分かります(図表1)。

*米国のスマートフォンからのネット利用人口全体に対する各サービスの利用割合

図表1:米国 音楽ストリーミングサービスアプリ利用者属性 2015年1月

米国 音楽ストリーミングサービスアプリ利用者属性 2015年1月

Source:
Nielsen Mobile NetView アプリからの利用
18歳以上の男女

■日本で利用されている音楽ストリーミングサービスは?

一方、日本の音楽コンテンツの消費形態に目を向けると、日本では無料有料を含め音楽ストリーミングで幅広くユーザーを獲得できているサービスは未だ存在していません。ソニーの他にも、レコード会社や各携帯キャリアなども独自でストリーミングサービスを展開していますが、こちらも利用者は伸びておらず、弊社の2015年1月時点のデータでもスマートフォンアプリからの月間利用者数が200万人を超えるサービスは存在していません。

■ラジオストリーミングは定着

音楽以外でストリーミングコンテンツの消費が定着しているサービスとして、ラジオが存在します。特に放送とほぼ同時配信で視聴可能な「radiko」の利用は、モバイルデバイスの普及により定着しています。弊社の2015年1月のデータでは、スマートフォンアプリからの「radiko」の利用者数は約300万人となり、2014年を通しても300万人前後で安定した推移となっていました。利用者の属性に注目すると、主な利用者層は男性(74%)で、その中でも40歳以上の男性の割合が49%となっています。学生時代にラジオを聞いていた世代が主に使っている状況が見えてきます。また男性の29歳の割合も16%となり、新たなラジオ視聴者も取り込めているようです。しかし女性の割合(26%)は低く、29歳以下の女性は7%にとどまっています (図表2)。

図表2:日本「radiko」アプリ利用者属性 2015年1月

日本「radiko」アプリ利用者属性 2015年1月

Source:
Nielsen Mobile NetView アプリからの利用
18歳以上の男女

■女性を含めた若年層の音楽視聴はどうなるのか?

最近では、若年層がYouTubeでプロモーションビデオ等の動画を連続再生して音楽を聞いているという話も頻繁に聞かれるようになり、昨年後半には、そのYouTubeが音楽再生に特化した「ミックスリスト」という機能の提供を開始しています。これにより、YouTubeで音楽を聴くという視聴行動は、今後さらに拡大することが予想されます。

■定額制音楽ストリーミングサービスが日本で浸透するか、2015年が鍵となる?

以下3つの点から、今年が日本での音楽ストリーミングサービスの利用拡大の試金石となる年ではないかと考えています。

1.「LINE Music」の開始
LINEは、エイベックスデジタル、ソニーミュージックエンターテイメントと共に、国内での定額制音楽ストリーミングサービス「LINE Music」を開始すると発表を行っています。ご存知のとおり、LINEは若年層への圧倒的なリーチを誇っており、このユーザー基盤を利用できることは大きなアドバンテージとなり、今後若年層に音楽ストリーミングサービスが一気に広まる可能性は高いと考えます。

2.独自のサービス展開からの転換
従来から音楽ストリーミングを提供してきた企業が、独自路線でのサービス展開ではなく、既にユーザーから受け入れられているプラットフォームとの連携を考え始めています。例えばソニーと「Soptify」のように、単独で日本市場で利用ユーザーの拡大を図ることが出来なかった両社が組むことで、(日本展開は未定ですが)サービスが開始されれば音楽コンテンツの消費形態が大きく変わる可能性があると思います。またAppleも「Beats Music」の統合による新たなストリーミングサービスのローンチを計画しており、日本でのサービスの提供に対する期待も高まると想像できます。

3.消費行動の変化
スマホゲームの浸透により無料ダウンロードから課金への流れも定着してきたことや、デバイスの多様化がクラウド環境の利用を加速させたことを考えると、デバイスに依存しない音楽の聴き方が拡大していくことも予測できます。

上記の3点に加え、動画市場における「Netflix」の市場参入によりストリーミング市場にも注目の集まる2015年は、定額制音楽ストリーミングサービスの本格的な利用拡大が期待されるべきタイミングであると言えるのではないでしょうか。今後の各社の動きに注目していきたいと思います。

(ニールセン エグゼクティブアナリスト 中村 義哉)

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