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2006/11/01 メルマガ
YouTube止まった?
Nielsen//NetRatings REPORTER ご購読者 様
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2006年11月1日号
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■ コラム 【ウェブマーケティング・データライン】
「YouTube止まった?」
(ネットレイティングス マーケティング部 西村総一郎 )
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■ コラム <ウェブマーケティング・データライン>
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▼△▼ YouTube止まった? ▼△▼
動画共有サイトのYouTubeが Googleによる買収を受け入れたと時を同じく
して、(しかも、きっと偶然なのだろうが)利用者数の増加が止まった。今
年 4月に弊社のニュースリリースでロケット的な勢いで利用者が伸びている
と報じて以降、外国のウェブサイトで、しかも日本語対応がされていないの
にも関わらず、毎月ハイペースで利用者を増やしてきた。8 月時点では日本
からの利用者が732万人に達していた。しかし、9月月間の利用者数では微増
の734万人に止まった。本家である米国の YouTube利用者数も8月にピークを
迎え2299万人に達していたが、9月は初のマイナス成長で 1896万人まで落ち
込んだ。
---------------- 日米YouTube利用者数の推移 ---------------
(単位:千人)
日本からの利用者数 アメリカでの利用者数
2005年10月 0 367
11月 0 799
12月 201 2,402
2006年 1月 754 3,231
2月 1,505 5,309
3月 2,121 7,760
4月 2,662 8,115
5月 4,106 12,641
6月 5,161 13,419
7月 6,398 21,825
8月 7,319 22,989
9月 7,348 18,955
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Source:Nielsen//NetRatings NetView、家庭からのアクセス
さて、この成長の休止の原因を探ってみたい。考えられることのひとつは
YouTube は著作権、肖像権の問題を抱えており、違法動画に関しては排除し
ていかなければならない状況にあることが挙げられる。実際、今月に入って
からもライツを保有する日本音楽著作権協会や日本の放送局からの要請で3万
件近い投稿動画を削除したと聞く。この問題はもちろん米国内でも存在して
いる。今後、厳しい削除要請や場合によっては訴訟ということにも発展しか
ねない。この難しい問題を回避していくことはYouTubeにとっては当然の企業
活動だろう。
一方、ネットのコミュニティに参加するユーザーはコミュニティサイト運
営者の介入を嫌う傾向がある。管理が厳しくなると「つまらなくなった」と
言ってサイトを離れていくのだ。しかし、著作権に関する問題は企業が運営
するサイトだけではなく、個人が立ち上げているウェブサイトやブログにも
同様の問題は存在する。最近はこまめに個人ホームページや画像掲示板を巡
回し、自社の権利を侵害していないかチェックしている出版社があるという。
権利侵害を発見すれば、直ぐさまサイト運営者に強い警告を発しているよう
だ。
これはネットの世界だけが特別ではないということだ。数年前まではネッ
ト利用者はまだまだ少なく、世の中の大勢に影響を与える存在ではなかった
が、現在は違う。メディア価値が向上し、また、コミュニケーション手段と
してもネットは大きなポジションを獲得している。この巨大なインフラだけ
が特別なものと思われがちだった。急速に発展したインフラに法整備が間に
あっていなかった部分もあったが、今やネットが特別なのではなく、ネット
も含め形で、法令の適用を受ける時代だ。私たちは法治社会に生きているの
だから法令を遵守することは当然だ。法令を自己が守ることにより、他方で
自己を法令が守ってくれているのだ。そのことは皆わかっているはずだ。
ということで、私は YouTubeの成長の停滞は一時のものであると考える。
動画という素材をコミュティに持ち込んだ発想の面白さと、その仕組みは少
しも色褪せていないと思う。違法と指摘を受ける画像の全てが YouTubeから
なくなったとしても、それはそれで「キワドサ」が薄れるだけで、ユーザー
は新しい(いや本来の)楽しみ方を見つけるはずだ。何より、この 1年に満
たない間で YouTubeが手に入れたブランド力はGoogleが運営に関与するよう
になっても維持されるはずだ。むしろ、Googleのグローバルネットワークを
背景に YouTubeがローカライズされれば、新しい魅力が創出される可能性も
ある。
もうひとつ米国におけるYouTubeの落ち込みの原因を挙げるとすれば、同種
のサービスの台頭だろう。YouTubeを買収したGoogle が提供する同種のサー
ビスであるGoogle Video がここに来て利用者数を伸ばし、YouTubeに迫って
いる。本年 2月以降徐々に水を開けられるかの様相であったが、盛り返して
きている。他にも同種のサイトはあり、動画系サービスという広い枠組みで
その他の上位サイトをみると、9月時点での利用者数は IMDbが 1,223万人、
Netflixが698万人、MSN Videoが688万人と激しい競争を展開している。
------ 米国におけるYouTubeとGoogle Video利用者数の推移 -----------
(単位:千人)
YouTubeの利用者数 Google Videoの利用者数
2006年 1月 3,231 3,048
2月 5,309 3,022
3月 7,760 4,448
4月 8,115 3,934
2006年 5月 12,641 4,008
6月 13,419 4,575
7月 21,825 5,334
8月 22,989 9,087
9月 18,955 11,694
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Source:Nielsen//NetRatings NetView、家庭からのアクセス
日本においては、インターネットの世界では先行者メリットが大きく働く
傾向にある。早期にブランド力を獲得したところの一人勝ちになる傾向が強
い。ポータルサイトではYahoo!であり、SNSではmixiだ。YouTubeがはじめた
動画共有という仕組みを追いかけているサイトが日本にもいくつかあるが、
弊社のデータを見る限りではまだ統計上の有意性のある数値には達していな
いので、この影響はないと考えるのが妥当だろう。少し枠を広げて動画系全
体で見てみると、ここしばらく先行していた GyaOを老舗のYahoo!動画が8月
に捕らえ、9月には利用者数を503万人に伸ばし、逆にGyaOに 115万人の差を
付けた。この影響がYouTubeにも及んだ可能性はある。
(ネットレイティングス マーケティング部 西村総一郎)
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