HIGHLIGHT
ニールセンのデジタル広告視聴率 (DAR)、YouTubeの「Always On(常時測定)」を実装
YouTube広告キャンペーンのユビキタス測定により、広告パフォーマンスをかつてないほど正確に把握し、Nielsen ONEの高度な比較可能性実現に貢献
ニューヨーク - 2022年10月4日 - ニールセンのデジタル広告視聴率(Digital Ad Ratings、略称DAR)の「Always On」測定の対象として、この度YouTube動画広告キャンペーンが追加されました。今回のリリースにより、ニールセンDARのYouTube、YouTube TV測定対象が拡大、広告主やそのエージェンシーに対し、キャンペーンのリーチのより正確な把握、フリークエンシーの管理、PC、モバイル、コネクテッドテレビ(CTV)をまたいだメディアバイイング効果検証に必要なデータを提供します。キャンペーンパフォーマンスの可視化、データを活用した効率的なメディアプランニング、最終的にはROI向上を支援するニールセンの「Always On」測定は、広告主やパブリッシャーにとって必要不可欠なサービスとなっています。
適切な広告を適切なオーディエンスに配信することは、広告主やパブリッシャーにとって課題となっています。広告が狙ったオーディエンスにリーチしていることを検証し、より正確な情報に基づいた意思決定を今後のキャンペーンに対して行うには、ダイナミックで細分化が進行するメディア環境に対するより包括的なインサイトが必要となります。今回実装するYouTubeの「Always On」測定は、手動によるキャンペーンのタグ設定や有効化という手間を省き、キャンペーン測定を単純化します。DARの「Always On」測定を活用する企業のマーケティング担当者は、より多くのインプレッションデータを入手して、狙ったオーディエンスに対する広告配信をより確実に実施することが可能になる他、リーチ、フリークエンシー管理、広告を実際に視聴したオーディエンスをより深く理解することができます。
ニールセンのプロダクトマネジメント担当SVPキム・ギルバーティは「YouTubeに常時測定をおこなう「Always On」測定を実装することにより、広告主が市場をリードする最大級の広告プラットフォームのひとつであるYouTubeの理解を深めることを支援します。クロスチャネルでの真の比較可能性を実現することは、Nielsen ONE導入に向けたニールセンの歩みにおける重要なマイルストーンとなります。Nielsen ONEは、全てのオーディエンスが全てのスクリーンで接触するチャネルに対し、比較可能で非重複の視点を提供します」とコメントしています。
ニールセンは米国の広告主やエージェンシーを対象に、YouTubeに対するDARの「Always On」測定の提供を開始します。複数デバイスに対する測定により、全YouTube広告キャンペーンのパフォーマンス指標のより詳細な分析が可能になります。今回のローンチは、2020年のDARにおけるYouTube CTVの実装、2022年4月の YouTube TV CTV co-viewing(共視聴)、2022年7月の Nielsen Four-Screen Ad Deduplication発表に続く、デジタル広告つながる重要なステップとなっています。2022年12月に発表されるニールセンのクロスメディア測定プラットフォーム、Nielsen ONEは、様々なスクリーンやメディアライフサイクルの個別ステージにおいて、比較可能な指標を提供します。
INSIGHT
不況下のマーケティング:景気後退時のプラス面を見出す
ポストコロナ時代のマーケティングに移行したブランドや企業は現在、世界的な景気後退という深刻な問題に直面しているのではないでしょうか。経済学者の60%がユーロ圏の景気後退を予測しており、世界の成長率予測が年初の4.6%から2.9%に下方修正され、もはや世界経済の景気後退は免れられないと思われます。
インフレや高金利に直面する消費者も、支出を現在の経済状況に合わせて調整しており、多くのブランドや広告主も同様の動きを見せています。ニールセンの広告統計であるAd Intelのデータによると、米国の広告市場は2022年第2四半期(4-6月期)、対前年比-7%と縮小していることから、多くの企業のマーケティング担当者は予算縮小を予測、または既に経験しているかもしれません。
メディア支出を抑制することは、短期的な予算管理という視点では適切でしょう。しかし景気後退の影響を緩和し、与えられたマーケティング予算の最大化を目指すマーケティング担当者は、リカバリー施策やリカバリーに必要となる予算について検討する必要があります。
景気後退はいずれ終わる
長引く景気後退を恐れるマーケティング担当者にとっての明るいニュースは、景気後退は歴史的に長続きしていないという事実です。過去を振り返ると、景気後退の75%は1年以内に終わり、30%は半年で終了しています。したがって、予算削減は短期的で、名目上の節約にしかならない可能性が高いのです。予算を一時的に削減したブランドは、近い将来訪れる景気回復期においては、不利な状況に陥ることが予想されます。
多くのブランドが既に過少支出であり、これによってROIが50% (中央値)抑圧されていることを考えると、メディア予算のさらなる削減は、利益の最大化が最も求められる状況にあるブランドのROIをさらに悪化させるでしょう。

単純に予算を削減するだけでは、問題は解決しません。マーケティング担当者はメディアミックスを最適化し、効果の高いチャネルに投資することが求められます。適切なバランスを見つけられれば、リーチ、効率、フリークエンシーの最適化を実現する予算配分が可能になります。例を挙げると、某自動車メーカーは最近、予算を維持しながらメディア配分を最適化することでリーチを26% 向上、インプレッションを39% 以上増やすことができました。
景気後退時にメディアに投資することは、ブランドの予算節約につながります。需供関係により、予算削減によってメディア需要が減少すると、メディア価格は下がらざるを得ないからです。事実、一部のブランドは景気後退時にメディア投資を増やしています。メディア価格の下落に加え、競合の広告出稿量の減少により、キャンペーン効果増大機会が生まれるからです。
景気後退時でも成長は可能
景気後退に伴う売上減を想定する前に、ブランドは現状を分析し、消費者の支出パターンの変化を注視するべきでしょう。仮に贅沢品やサービスに対する支出が大幅に減少した場合、外食や接客サービスなどの業界では売上が大幅に下がることが予測されますが、一方でリップスティックなどのプチ贅沢カテゴリーは成長機会を得ることになります。
消費者がより価格に敏感になる中、ブランドは消費動向に合わせてメディアプランやメッセージを変更する必要があります。不況に配慮したメッセージはブランド価値を強化し、不況後には消費者のブランドロイヤルティ形成を後押します。
不況下でカテゴリー成長を最大化したいブランドや広告主は、消費者行動の分析に注力してメッセージを最適化し、広告支出効果の増大を目指すべきだと考えます。
適切に予算を削減する
状況によっては、予算削減はまぬがれられないケースもあります。支出の調整が不可欠となる場合、本当に不要なコストの見極め、削減によって予算効果を最大化し、ROIへの悪影響を最小化することが求められます。
コストを削減して数値目標を達成するには、メディア支出の抑制が当然の方法と思われますが、そのメリットは少ないことに留意するべきです。ニールセンのメディアプランに対する調査によると、ROIを最大化する上で必要となるメディア投資の内、過剰投資と判断されたのは個別チャネル投資の25% に過ぎません。この25% の内、過剰支出額の中央値は32%です。支出削減によって期待されるROI向上は4%のみ、しかし広告経由の売上ダウンにより、販売量は大幅に減少することが予測されます。
支出を減らす消費者に対し、プロモーションを増やす方法は魅力的かもしれませんが、このアプローチにも課題があります。定期的にプロモーションを実施すると、消費者はプロモーション期間を狙って買い物をするようになり、その結果として定価販売が減少し、利幅が圧縮されます。また、プロモーション期間中のROIも低い傾向にあり、ニールセンの マーケティングミックスモデルによると、メディアキャンペーンよりも45% 低くなっています。プロモーションによる純粋な売上増分は少なく、利幅の低下を補うためにはより大きな販売量が必要になります。

プロモーションへの依存から脱却するためには、ROIへの影響が最も少ないチャネルを検討する方法があります。既に結果を出していないチャネルがあれば、そのチャネルへの全メディア投資を削減し、効果が高く、ROIへの貢献が見込まれるチャネルに予算を再配分することが考えられます。
多少なりとも予算があることは、予算ゼロよりもはるかに良い状況だと言えます。ニールセンのマーケティングミックスモデルによると、広告出稿を停止するブランドは、各四半期において長期的な収益を2% 失います。広告を再開した後も、広告停止による投資損失を回復するには3年から5年かかります。また、メディア支出削減の影響を受けるのは、最終利益だけではありません。ニールセンのデータを見ると、マーケティングはブランド資産の10% から35% を担っています。
INDUSTRY NEWS
Wall Street Journal (ウォールストリート・ジャーナル紙)他
米Netflix、11月に広告付低価格プランを発表、ニールセンと測定サービス契約を締結
The Wall Street Journalは10月13日、Netflixは新たな広告付プラン「Basic with Ads」(広告つきベーシック)を11月1日から10日にかけて12か国で導入すると発表したと報道。同プランは今後、対象国を拡大する予定。The New York Timesも同日、新たに発表される広告付プランは低価格プランで、月額6.99ドルで提供されると報道した。この月額料金は、同社の「Basic」プランよりも3ドル安い設定。The Timesによると、同プランが最初に導入される12か国は米国、オーストラリア、ブラジル、英国、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、韓国、メキシコ、スペイン。
広告業界誌のAd Ageも同日、Netflixは「Basic with Ads」プランの発表と同時に、ニールセンとの測定契約締結を発表したとレポート。Netflixは既に基本ベリフィケーション契約をDoubleVerifyとIntegral Ad Scienceと締結しているが、米国でニールセンのデジタル広告視聴率(Digital Ad Ratings)を実装すると発表した。データは今後、ニールセンが近々発表するNielsen ONEクロスプラットフォーム測定製品に組み込まれる。NetflixはDoubleVerifyとIntegral Ad Scienceのベリフィケーションは2023年第1四半期(1-3月期)に提供を開始、ニールセンのデジタル視聴率の提供は2023年内とコメント。 CNBCのNetflixに関する2番目の記事は、ニールセンとの契約締結により「動画ストリーミング界の巨人が初めて視聴率を提供する」と解説。
Digiday (オンラインメディア業界誌)
パブリッシャーの45%、主な情報プロバイダーとしてサードパーティデータソースを活用
Digidayは10月11日、パブリッシャーに対するDigidayの独自調査によると、自社ソリューションとサードパーティソリューションを組み合わせてデータを収集し、パーソナライゼーションを行うことが主流になっているとレポート。収集するデータについて、調査対象者の68% は「主にファーストパーティデータ」と回答、具体的にはユーザー登録やサブスクリプション加入の際に入力された個人情報の自社収集、または広告やコンテンツをクリックすることで明らかになる個人的な嗜好データなど。パーソナライゼーション用のデータ収集方法について2番目に多かったのは、Google Analyticsなどのウェブアナリティクスツール(58%)。また調査対象者の45% は、ニールセンなどのサードパーティデータソースを主な情報プロバイダーとして活用していることが調査を通じて明らかになった。

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