INSIGHT
広告主が知りたい5つの質問
リーチとROIについて知っておくべきこと
迅速に戦略を立案し、時代に遅れを取らないようにする。より閉鎖性が増した、ニッチなオーディエンスに対するリーチを確保する、クッキーレスに対応する、そして最終的には、全ての活動や施策のROI貢献度を把握する。これらは全て、広告主に求められる行動です。
ROI測定のような、インパクトを実感できるツールはあります。しかし、もっと早くから成功の指標を得ることができるとしたらどうでしょう。
ユニークリーチは、ROIの隠れたヒーローであり、新規の潜在顧客を効果的に迅速に特定することができます。事実、米国における15のブランド、82のデジタルキャンペーンを対象としたニールセンの2022年調査によると、ターゲットリーチとキャンペーンROIには強い相関関係があることが明らかになりました。

しかし、ユニークリーチはボタン1つで解決するほど簡単な問題ではありません。
広告主が一般的に投げかける質問、具体的には消費者のオンライン行動を把握する上での質問、さらには売上を増やし、メディアバイイングを正当化するための指標の使い方に関する質問を念頭に、ニールセン視点での答えを以下にまとめました。
1. メディア支出のROIを証明する方法は?
まずは考え方をシンプルにすることです。特にマーケティングに従事していない担当者と話をする時は、そうしないと複雑な指標とマイクロターゲティングが企業の大目標にどのように貢献するかをすべて説明する羽目に陥るからです。
企業の第一目標は何でしょうか?あえて言えば、収益を上げることでしょうか。しかし、消費者が自ら貴社を見つけてお金を投じてくれるのでなければ、消費者を受動的なオーディエンスから能動的な購買者に変えるためのパイプラインを開発しなければなりません。つまり、それここそがリーチなのです。
マーケティング活動が新たな消費者に到達していないのであれば、同じメッセージを同じ消費者に繰り返し発信しているに過ぎません。だからこそ、ユニークリーチは新規顧客獲得において、強力なプロキシー(代替可能な指標)となります。新規顧客の獲得は業種を問わず、成長著しいビジネスのパイプラインの最上位に位置づけられます。
ユニークリーチを把握することで、以下が可能になります。
- 効果的なメディアパートナーの選定
- オーディエンス保証の確立
- 広告掲載の継続的、かつ迅速な最適化
これらのメリットの組み合わせによって、新規顧客とのコミュニケーションが可能になり、ひいては効率的なブランド成長が実現されます。そして、そのプロセスの最終結果は、ROIの向上です。
少なくとも、支出したすべての場所を追跡する必要があります。迷路のように入り組んだプレミアムパブリッシャー、ウォールドガーデンなど、様々なチャネルに対し、ニールセンの デジタル広告視聴率(DAR)のような分析を使用することが望ましいと考えられます。ニールセンのDARは、デジタル広告費全体の90%近くとテレビ広告費の100%を追跡することが可能です。
支出が有益に使われていると仮定しても、広告主企業のマーケティング担当者が多くのステークホルダーに対して説明を行う場合、説明は決して簡単ではありません。マーケティング部門以外のステークホルダーを納得させるためには、活用するそれぞれのプラットフォーム、パブリッシャーやデバイスに対し、効果を発揮できていること、できていないことをほぼリアルタイムで把握できているという分かりやすいストーリーが必要となります。
2. 狙ったオーディエンスに対してリーチできているか否かを確認する方法は?
今日の生活者はPC、スマートフォン、タブレットやCTV(コネクテッドテレビ)などにデジタルフットプリントを多様化させています。既存および新規オーディエンスをターゲティングしたい広告主は、パブリッシャーとの直接統合による重複が排除されたインプレッションデータを必要としています。
広告業界は長年、クッキーやモバイル広告ID(MAID)、その他デジタル識別子に頼ってきましたが、これらの手法は近々利用できなくなります。クッキーが存在しない世界での最新ンのデジタル戦略では、ファーストパーティデータと、認証済みまたは未認証(匿名)のプレミアムデータ資産を優先させる必要があります。
- 認証されたデジタルトラフィックの場合: ハッシュ化されたメールアドレス、Unified ID 2.0、検証された自己申告デモグラフィック属性をトライアンギュレーション(3種類以上のデータソースを重ね合わせる)する必要があります。
- 匿名トラフックの場合: オーディエンスのプロフィールを構築するには時刻、ブラウザー、コンテンツ、デバイス、プラットフォーム情報など、複数の指標を取り込むことができる機械学習モデルが必要となります。これらのデータを代表性が担保された、「人」ベースのパネルで較正し、アルゴリズムの正確性を確認する必要があります。
インターネットが普及した現在、単一のサイトを閲覧するだけというインターネット利用者は存在しません。インターネット利用者はプレミアムパブリッシャー、ウォールドガーデンやオープンウェブを自在に行き来するため、同一人物が複数人としてカウントされる傾向にあります。そこでニールセンのDARのようなツールを用いて、重複を排除する必要があります。DARは20億以上もの重複を排除された識別子で構成されるニールセンのIDシステム上で実行されています。
パネルに対して検証され、重複が排除されたファーストパーティデータを入手することは、大きな成果として称えられるべきです。しかし、全てのチャネルがサイロ化された独自のデータを保有しているとしたら、このファーストパーティデータの意義は薄れてしまいます。メディア環境全体における自社コンテンツのパフォーマンスを理解するには、同質的かつ相互運用性のある指標が必要となります。
3. どのくらいメディア予算を無駄遣いしているのか?
生活者のメディア接触が複雑化するにつれ、広告主によるメディア予算を無駄にするリスクが高まっています。リーチは売上の早期指標であるため、リーチを獲得できないことは、見込み収益を達成できないリスクを意味します。
広告主にとって悪いニュースは、インターネットは数十億の通路から成るアリの巣のような構造となっているため、データを活用して適切な場所や時間でオーディエンスをエンゲージすることは困難です。事実、多くのブランドはデジタル広告のほぼ40% を意図しないオーディエンスに費やしており、CTV広告費の29% がターゲット以外のオーディエンスに投下されています。

一方で良いニュースは、データを正しく活用すれば、データを首尾一貫した、オーディエンスファーストな戦略に落とし込むことができます。重要なのはバランスです。
大きな網でマスオーディエンスを狙う場合、意図しないオーディエンスにリーチすることは避けられません。対してターゲティング広告では、潜在的なファンを逃すかもしれないリスクがあります。どのようにバランスを取ればよいのでしょうか?
ここで、デジタルアナリティクスの基礎であるリーチとフリークエンシーを再考する必要があります。
ターゲットとするデモグラフィック属性を持つオーディエンスに広告を配信しているからといって、必ずしもリーチが伸びているとは限りません。既に何度も広告に接触したオーディエンスに対し、繰り返し広告が配信される場合も同様です。
そこで、リーチとフリークエンシーに対する包括的な評価を行うことが重要となります。
- ターゲットオーディエンスにリーチしたインプレッションをトラッキングする「オンターゲット率」
- オンターゲットインプレッションがどれだけリーチに変換されたかを評価するリーチとフリークエンシーメトリクス
計算方法は簡単です。 リーチの向上+フリークエンシー管理の改善=広告費用に対するリターンの向上 となります。
4. キャンペーン期間中にキャンペーン効果を向上する方法は?
キャンペーン期間中に測定指標を利用することは、広告の機会を発見し、データを活用するための最良の方法です。
データは現代の広告の生命線であり、データを管理することは、常に改善する姿勢を維持するための最良の方法のひとつです。広告費ベースで世界トップ25の広告主のうち21社がデータの所有に同意しており、キャンペーン全体を見渡し、ほぼリアルタイムで行動することによって、彼らだけができる機会を特定することを可能にしています。
トレンドや嗜好の変化が激しい現在、即座に情報を得ることが必要です。つまり、キャンペーンの規模、プラットフォーム、デバイスに関係なく、プラットフォーム間でリーチ、フリークエンシー、GRPを分析し、デイリーでデータを提供するツールが必要です。
自社コンテンツを複数のプラットフォームで配信する場合、スマートフォンで広告に接触した人、PCで広告を視聴した人、そしてスマートフォンとPCの両方で広告に接触した人を把握できれば、戦略的重複と増分リーチの獲得につながります。
これらのインサイトをもとに、広告が効果を発揮できているかどうかをより正確に判断することができるでしょう。効果が発揮できていない場合でも、ツールを活用してキャンペーン期間中に修正を行う、または次回キャンペーンに向けた最適化を行うことが可能になります。
5. DARの正確性は信頼できますか?
ここまでの記事を読み進めた皆さんは、ニールセンのDARがオーディエンス測定のあらゆる課題に対応していることをご理解いただけたかと思います。皆さんは今、DARを本当に信頼してよいものかという大きな疑問をお持ちではないでしょうか。
DARは、最先端のテクノロジーと業界最高の代表性が担保されたパネルに依存しています。実在の「人」と機械の組み合わせはビッグデータ、電話調査、デジタルデバイスから自動的に収集された指標と比べても、はるかに正確なデータを提供します。
少し手前味噌ですが、ニールセンについて言うと、ニールセンは世界的な計測のリーダーです。
- ニールセンは、100年以上の実績を持つグローバルな測定リーダーです。
- DARは10年以上にわたって信頼されているソリューションです。
- DARは2020年だけでも、26カ国で1兆以上のデジタルインプレッションを測定しています。
- DARは世界の広告主トップ25のうち21社に利用されています。
- DARはPC、モバイル、CTVの広告費の87%をトラッキングし、カバレッジでは業界をリードしています。
自社パネル、サードパーティデータプロバイダー、パブリッシャーから直接収集したデータなど、ニールセンは可能な限りのデータセットを統合し、調査しています。
ニールセンは機械にすべての作業を任せることに満足はしていません。私たちは、カバレッジデータと人間の洞察力を組み合わせ、さらに他の測定基準(正解データ、高度な機械学習手法、サードパーティIDソリューション、高度な統計技術)で不足している情報を補っています。
デジタル広告視聴率(DAR)は、上記の取り組みの成果なのです。
DARはその正確性に加え、絶え間なく変化するコンテンツ、プラットフォームや消費者嗜好に対応する柔軟性も兼ね備えています。DARを活用すれば、ターゲットオーディエンスへのリーチの確認、 臨機応変な戦略の調整、さらには計画している施策の正当性をもって予算担当者にすべての行動を正当化することができます。
主要ポイントまとめ
- ユニークリーチ+優れたフリークエンシー管理=広告支出の無駄の削減。
- デジタル識別子が利用できなくなる近い将来に備え、広告主はターゲットオーディエンスリーチを検証するために、重複が排除されたオーディエンス測定を行う必要がある。
- 広告ROI機会の発掘、収益化の最良の手段は、広告掲載期間中の指標の活用と自社データの構築
- 広告パフォーマンスの全容を把握するためには、広告主は比較可能な指標を用いて、全ての広告支出をトラッキングする必要がある。
ニールセンのDARは、最先端テクノロジーを駆使して開発されたツール。偏りのない、代表性のある正解データパネルで上記すべてのソリューションを提供しています。
INDUSTRY NEWS
MediaPost (広告・メディア専門ニュース)
米における全国テレビ広告、2023年度は -5%の見込み
MediaPost は9月12日、米国の株式市場アナリストグループ MoffettNathanson Research の推定を引用した全国テレビ広告費に関するレポートを配信。米国における全国テレビ広告費は今年の第4四半期(10-12月期)、NFL番組の人気により2% 増加する見込みだが、2023年通年では5% の減少が予測されている。来年の1月から2月にかけて行われるNFLのプレーオフとスーパーボウル終了後、NFLは9月までオフシーズンとなること、そしてオリンピック開催年ではないことが主な理由。またMoffetNathanson Researchは不況の本格化に伴い、推定値は最低でも10% 変動する可能性があるとコメント。同社は懸念材料として、今年の年末までにNetflixとDisney+が導入する広告付き新プランを挙げている。
Next TV (ストリーミング・OTT業界ニュース)
米Atmosphere、ニールセンデータを利用して家庭外オーディエンスへのリーチをアピール
Next TVは9月8日、事業者に対してオーディオオプション付きコンテンツを配信するAtmosphereに関するレポートを配信した。3万以上の事業者にオーディオ無し番組をストリーミング配信するAtmosphereはニールセンの新データを引用して、同社の家庭外(バー、レストラン、フィットネスジム、ネイルサロンなど)での若年層に対するリーチは、大手ケーブルネットワークの家庭内における同リーチを上回っていることを強調。ニールセンによると2022年3月度、Amosphereの18歳から34歳の若年層(視聴者数1680万人)へのリーチは23.14%。同年代に対するリーチという点で、ケーブルネットワークのトップはTBS(21.63%)。Atmosphereはまた、18歳から48歳の成人層に対してもリーチを獲得している。同社によると、2022年3月における同年代へのAtmosphereのリーチは21.5%、同社を上回ったケーブルネットワークはTBS、ESPN、TNTのみ。
Advanced Television (デジタルメディア業界ニュース)
Kantarの広告エクイティランキング、消費者が最も好む広告環境はAmazon
Advanced Televisionは9月7日、Kantarのグローバル広告エクイティランキング第3版の内容についてレポート。同ランキングは、消費者が最も広告に対して好意的な場所、広告に対する否定的な態度が最も少ない可能性がある場所を特定する指標。同ランキングによると、消費者が最も広告視聴を楽しんでいるのはAmazon。Amazonプラットフォームで配信される広告について、消費者は「より自分に関連があり、他のプラットフォームで視聴する広告よりも役立つ情報が得られる」と回答。
MediaPost (広告・メディア専門ニュース)
米のテレビ、AVOD広告費の成長が鈍化、2022年度の成長率は4.3%の見込み
MediaPostは9月6日、MoffettNathanson Researchによる全国テレビとAVOD(広告付きビデオオンデマンド)の広告収益予測をレポート。同社による全国テレビとAVODの2022年度広告収益予測は4.3% 増の842億ドル、これは年初の推定に対して -6.5%。下方修正の要因としてHulu、Roku、TubiなどのAVODサービスの業績低迷が挙げられた。これらAVODサービスの推定年間成長率は+29%(年初の推定では+44%)、推定広告収益は98億ドル。

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