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MEDIA WEEKLY 2022年6月14日~2022年6月21日号                 

HIGHLIGHT

ニールセン、エンドツーエンドの広告キャンペーン測定を可能にする「Nielsen ONE Alpha」の新フェーズを発表

アドバンスドオーディエンス、アウトカム測定などの次世代機能により、キャンペーンに接触したオーディエンスの行動を一元管理し、把握可能に

ニューヨーク - 2022615-- ニールセンは本日、同社のNielsen ONE Alphaクロスプラットフォーム広告測定ソリューションの新たなフェーズを発表しました。アドバンスドオーディエンス機能とアウトカム(成果)測定が新たに実装された同ソリューションは、広告キャンペーンのエンドツーエンド測定の提供を通じて、オーディエンス測定能力を強化します。また広告に実際に接触したオーディエンス、ニッチオーディエンスに対するキャンペーンのデリバリー、オーディエンスの広告接触後の行動に対する広告の影響など、消費者のメディアジャーニーの各ステージにおけるオーディエンスのさらなる可視化が実現されます。アドバンスドオーディエンスのインプレッション数、リーチ、フリークエンシーなどを含むインサイト、ROI、効果などのアウトカム測定指標の組み合わせにより、広告主や広告代理店は計画するキャンペーンや投資に対し、情報に基づく意思決定や最適化を行うことが可能になります。

 

Nielsen ONE Alphaにアドバンスドオーディエンスとアウトカム測定機能が加えられたことにより、キャンペーンを見たオーディエンスと、消費者が取ったかもしれない販売やその他の行動を含むキャンペーンの結果を一望できるようになります。例えば自動車メーカーの広告主が新車の広告キャンペーンを展開し、ターゲットオーディエンスは競合ブランドの購入者と定義される場合、競合ブランド購入者に対するキャンペーンリーチとフリークエンシーが可視化されます。また、そのデータから、広告主はキャンペーンがどの程度効果的であったかを確認することができます。

ニールセンのCOO(最高執行責任者)、Karthik Raoは「Nielsen ONE Alphaの導入後、今年中にクロスプラットフォーム指標を市場に導入するという目標を実現するために、ニールセンは大きな進歩を遂げています。新機能を実装してソリューションの革新を進め、企業のマーケティング担当者が最も重視する指標を追加していきます。アドバンスドオーディエンスやアウトカム測定のプレビューを可能にすることで、投資の真の価値が明らかになります。ニールセンはターゲットオーディエンス、そしてオーディエンスの広告接触後の行動を一元管理できる次世代ソリューションの提供を通じて、広告主のマーケティング活動を強力に支援します」とコメントしています。 

今回実装されるアドバンスドオーディエンスには、S&P Global MobilityのPolk自動車オーディエンスセグメントが統合され、その後複数のオーディエンスグループと顧客のファーストパーティセグメントを含むオーディエンスが追加されます。第1段階としてのアウトカム測定は消費財のアトリビューション指標を反映し、その後、自動車の広告キャンペーンに拡大されます。ニールセンは新たに追加されるオーディエンス、指標、キャンペーンをそれぞれの業界と共に確認し、広告主や広告代理店にとっての有用性を確保していきます。 

非重複のクロスプラットフォーム広告測定を提供するNielsen ONE Alphaは、今年の年末までに提供を開始する予定です。2023年にユーザーインターフェイスに追加される2つの新機能であるアドバンスドオーディエンスとアウトカム測定は、αバージョンとして提供されます。 

ニールセンは、今回発表されたNielsen ONEに実装される新機能のデモンストレーションを、カンヌライオンズ国際クリエイティビティフェスティバルにて実施します。同フェスティバルは、6月20日から24日まで開催されます。カンヌでのニールセンの情報は、ここをクリックしてご覧ください。





INSIGHT

ブランドと消費者のよりパーソナルな関係構築に貢献するインフルエンサー

企業のマーケティング担当者は、メディアやプラットフォームを介した消費者とのエンゲージメント構築を目指しています。しかしメディアやプラットフォームは増え続けていることから、消費者と誠実でパーソナルな関係を構築することは大きな課題となっています。全世界のマーケティング担当者がブランド構築を最優先課題とする中、マスリーチ獲得に適したメディアは、必ずしもブランド構築に貢献するとは限りません。

ブランド構築に注力しながらも、企業のマーケティング担当者は見込み顧客のトップオブマインドを確保する方法を常に模索しています。SNSやインフルエンサーは昨今、消費者とよりパーソナル(かつ利益となる)関係構築を目指す多くのマーケティング担当者の注目を集めています。ニールセンの2022年 Annual Marketing Report)作成のために実施した調査によると、全世界のマーケティング担当者は2023年、SNS広告費の53%増を計画し、SNSは最も予算増加率の高いメディアであることが明らかになっています。調査対象者の64%がSNSを「最も効果的なペイドメディア」と感じていることから、SNSは全世界のマーケティング担当者の間では、最も利益をもたらすメディアとして認識されています。

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さらに調査結果を見ると、マーケティング担当者がSNSやインフルエンサーマーケティングに多額の予算を割り当てている理由が明らかになります。Nielsen Scarboroughの調査によると、アメリカ人の42%は購入意思決定をする際、周囲のアドバイスを求めると回答しています。アドバイスを求めるのは、共感できる人たちです。共感という点では、インフルエンサーは消費者とより強い関係を構築することが可能です。2021 Nielsen Trust in Advertising study (2021年ニールセン広告信頼度調査)を見ると、消費者の71%はインフルエンサーが登場する広告、インフルエンサーの意見や商品プレイスメントを信頼すると回答しています。

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興味深いことに、インフルエンサーを起用したプロモーションは、必ずしもブランド起点ではありません。事実、大手ブランドの広告キャンペーンの中には、インフルエンサーに着想を得て実施されたものもあります。例を挙げると、インフルエンサーのBarbara KristoffersenはGapが2000年初頭に製造を中止した色のパーカーを着て、自らが配信した動画に登場しました。このパーカーが#brownhoodieハッシュタグを生み出してバイラル化し、驚異的なエンゲージメント率188.35% が測定されました。彼女が着用した色のGapのパーカーの再販サイトにおける価格は、300ドルにまで高騰しました。

1人のインフルエンサーによってオーガニックに発生したブランドへの注目や話題の収益化を狙い、Gapは複数のインフルエンサーを起用して#gaphoodieキャンペーンを制作、キャンペーンは650万回を超える視聴数を獲得しました。またGapはハッシュタグを生み出した茶色を復活させ、これが大きな話題となり、復活色はあっという間に入荷待ち状態となりました。

このようにして獲得された消費者エンゲージメントは、ブランドの認知、好意度と想起に貢献します。ニールセンが提供するBrand Impactサービスは、約200の広告キャンペーンに登場したインフルエンサーの効果を測定しています。同調査の2022年第1四半期(1-3月期)のノーム値では、インフルエンサーが登場した広告視聴者の平均80% は、広告に登場したブランドを想起していました。さらにはインフルエンサーの登場により、広告視聴者のブランド好意度と購入意向は、非視聴者を9ポイント上回る結果となっています。

消費者は共感できる、パーソナルな関係をブランドに求めていることを理解した靴ブランドのAldoは、ブランドのペルソナに合致した複数のインフルエンサーを起用して、#StepIntoLove SNSキャンペーンを展開しました。同キャンペーンは視聴者に対し、自らが踊っている動画にキャンペーンハッシュタグを付けてシェアすると、5000ドルの賞金が当たるコンテストに参加できるという内容でした。ニールセン InfluenceScopeデータによると、同ブランドのTikTokキャンペーンは50億超の視聴数を獲得し、ブランド認知は2.5% 向上しました。

マーケティング担当者がペルソナ、コンテンツ、エンゲージメントを適切に組み合わせることができれば、インフルエンサーはブランド認知向上の強力なツールとなります。ブランドに合致するインフルエンサーを採用することができれば、消費者にとってインフルエンサーは信頼できる情報源となり、消費者が実際に買い物をする時にはブランドそのものが想起されます。

インサイトの詳細は、 Building better connections: Using influencers to grow your brand(消費者との関係強化:ブランド成長にインフルエンサー活用が有効な理由)をダウンロードしてご覧ください。




    INDUSTRY NEWS

    Reuters (ロイター通信)

    全世界の広告費、2022年度に8%増の見込み

    Reutersは6月13日、地政学的状況や景気後退が不安視されている現在の状況にも関わらず、世界全体の広告業界は今年8.4% の成長が見込まれていると報道した。米国における政治広告費は上記の成長率に含まれない。米国の2022年度の政治広告費は130億ドルに達する見込みで、2020年度の120億ドルから増加傾向にある。経済の力強い回復と個人消費という特需によって2021年度は好調だった広告市場は、一旦落ち着いた状況にある。



    MediaPost (広告・メディア専門ニュースサイト)

    全米広告主協会、CPPAに対しプライバシー規制の見直しを要請

    MediaPostは6月9日、Association of National Advertisers (全米広告協会、略称ANA)はCalifornia Privacy Protection Agency (カリフォルニアプライバシー保護庁)に対し、「データに対するより広範な管理権を消費者に与えることを念頭に新たに提案された規制内容の見直し」を強く要請したとレポート。先月後半に提案された規制内容では、企業は来年施行されるカリフォルニア州のConsumer Privacy Rights Act (消費者プライバシー権法:CPRA)の内容に則ってプライバシー保護義務を果たすことが求められるが、これは本来の消費者プライバシー権法の拡大と見なされる。法案に新たな規制が加わることで、企業がオンライン行動ターゲティング広告などの理由で個人情報が取引されることを拒否する権利を消費者に与えることになる。提案された規制内容の条項には、「企業は自らの情報収集に関わりのない目的においても、消費者の個人情報を販売・共有する場合は、消費者の同意(オプトイン)を得る必要がある」という文言が含まれている。提案内容について、ANAのExecutive Vice Presidentを務めるChris Oswaldは「草案として提起された規制の一部は、法律に反する」と主張している。



    TechCrunch (IT系スタートアップ・ウェブニュース配信ブログサイト)

    米YouTube、YouTube Shorts視聴者数15億人超

    TechCrunchは6月15日、現在TikTokが君臨する短尺動画プラットフォームへの本格的な参入を目指すYouTubeは、2年前に導入したYouTube Shortsの月間ログイン利用者数15億人超と発表した。TikTokは、2021年9月度の月間利用者数は10億人と発表している。YouTubeは発表した声明の中で、同社の動画プラットフォームは1日を通じて様々な場所や時間に動画を視聴する利用者の実態をより反映していると主張。しかし同社の報告はTikTokがYouTubeの牙城である長尺動画に侵入し始めており、長尺と短尺動画コンテンツの両方に対応するTikTokが、YouTubeからコンテンツクリエイターを誘引する可能性があることについては触れていない。


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