INSIGHT #1
サードパーティクッキーの終焉がもたらすのは、困難ではなく「機会」
ニールセン アトリビューション製品担当SVP Katie Koval
マーケティング業界では、サードパーティクッキーの廃止が大きな話題となっており、多くの人がクッキーの廃止を憂いています。
企業やブランドのマーケティング担当者は、クッキーが収集するデータを活用して顧客体験のカスタマイズを行うことができます。しかし、クッキーは保存期間が限られているため、マーケティング担当者が時間をかけてパーソナライゼーションの取り組みを進化させることはできません。だからこそ、クッキーの廃止は、マーケティング担当者がオーディエンスエンゲージメント戦略を見直す絶好の機会として捉えられます。クッキーの終焉により、マーケティング担当者は新しいツールや技術を活用して消費者をより詳細に知ることができ、その結果、よりターゲットに適したコミュニケーションを提供することができます。
Google Chromeからサードパーティクッキーが削除されるのは2023年末の予定ですが、この期限はマーケティング担当者が考えているほど遠いものではありません。つまり、いよいよその機会が訪れた時に、競合他社よりも優れたパフォーマンスを発揮できるようにするためには、今から準備をしておく必要があります。マーケティング担当者が知っておくべきことは以下の通りです。
パーソナライゼーションは、マーケティングの優先事項
消費者は、大勢の中の一人ではなく、自分が関わるブランドに理解されていると感じたいと思っています。事実、米国在住の消費者の 90% はマーケティングパーソナライゼーションを魅力的と感じているものの、ニールセンの 2021 Annual Marketing Reportによると、自社マーケティングミックスにおいてパーソナライゼーションを最優先課題としているのは、年間マーケティング予算が 1000万ドル未満の中規模企業の13%、年間マーケティング予算1000万ドル超の大企業の 2%に過ぎません。クッキー廃止が迫っていることを鑑みると、マーケティング担当者はプライバシー規制に準拠しながら、各消費者に対して本格的でカスタマイズされた消費者体験を促進する個人情報の詳細レベルを確保するための新しい手法を導入する必要に迫られています。
クッキーの終焉は、ブランドと個人の間の継続的な双方向の会話として、消費者との関わり方を見直す絶好の機会となっています。消費者の嗜好や優先順位は絶えず変化するため、これらの変化をタイムリーかつ適切にターゲティングされたキャンペーンに変換することは容易ではありません。この障壁を乗り越えるためには、マーケティング担当者はまず自社のユーザーベースを把握することが肝心ですが、そのためには強固なファーストパーティデータが必要となります。
今こそファーストパーティデータを活用するべき
マーケティング担当者の中には、クッキーに過度に依存してきた経緯から、明確なファーストパーティデータの収集戦略や、そのデータを最大限に活用するための戦略が確立されていない人もいます。今こそ、その戦略を強化する時です。 マーケティングテクノロジーは、ブランドが自信を持ってオーディエンスの行動を測定するのに役立ちます。例えば、アトリビューション機能を備えた分析システムは、マーケティング担当者が消費者のオンライン習慣をモニタリングし、購入の優先順位をよりよく把握するのに役立ちます。ウェブサイトの閲覧からアプリの利用まで、マーケティング担当者は発信するメッセージや利用する媒体がどの程度オーディエンスに影響を及ぼしているかを理解し、必要に応じて戦術を修正することができます。
ブランドがオーディエンスインサイトを確保する上でのもう 1つの機会として、ファーストパーティデータ収集の必要性を認識している小売業者との関係強化が挙げられます。データの共有は、双方にメリットをもたらします。ブランドのマーケティング担当者は、誰が自社製品を購入しているのか(例えば、少数の顧客が大量に購入しているのか、あるいは多くの顧客が少量ずつ購入しているのか)、自社商品の購入者による競合商品やその他の購入商品を特定できればターゲット層のより確かな情報を得ることができ、全体像が把握できます。これらの情報によりマーケティング担当者はターゲット層ごとの戦略を改善し、ターゲット顧客への影響力を増幅することができます。その結果、消費者はマーケティング担当者のブランドが提供する商品を選び、その商品を扱っている小売店に親近感を抱くようになるのです。
透明性を高めるには
プライバシーを重視する今日のデータ環境では、消費者データを収集するマーケティング担当者は、該当する法律や規制に則ってデータを収集することが不可欠です。例えば、多くの消費者はブランドのアプリを利用する時に、自分のデータを共有することでショッピング体験が向上するにもかかわらず、データを共有しないことを選択しています。このような状況で消費者のデータを収集するためには、マーケティング担当者はデータ収集がもたらす価値を明確に消費者に伝える努力をしなければなりません。透明性の担保は、信頼の獲得につながります。データ収集の目的を明確にしなければ、消費者から疑いの目を向けられることになります。
データ収集に関する消費者の躊躇や拒否を克服するためには、マーケティング担当者は同意を求める文章をより明確にすることで、情報収集が消費者にもたらすメリットをより具体的に提示することが重要です。データ収集に同意する消費者数が少なくても、インサイトを発掘したいオーディエンスを代表する消費者層を確保できていれば良いのです。そして、マーケティング担当者はマーテックへの投資を活用して、収集したデータを元に予測モデルを構築し、その結果に基づいてクロスプラットフォームのメディアプランニングや広告の予算配分を行うことができます。
マーケティング業界は今、大きな変化を迎えようとしています。クッキーの終焉は、多くのマーケティング担当者にオーディエンスの理解やエンゲージメントの方法の再考を迫ると同時に、クッキーよりもオーディエンスの発掘力に優れ、スケーラブルな戦術の開発を促します。クッキーが廃止されるまでにはまだ時間がありますが、マーケティング担当者は、競合他社に先駆けてファーストパーティソースを強化する必要があります。
INSIGHT #2
パネルとビッグデータセットの組み合わせによる、新たな消費者インサイトの発掘
今日のメディア環境においては、かつてない程豊富な選択肢が用意されており、消費者は最も魅力を感じるプラットフォームやメディアチャネルを積極的に利用しています。広告主、パブリッシャー、広告代理店は、視聴の場所に関係なく、消費者を惹きつけ、エンゲージメントを獲得し、それを測定しようとしていることから、選択肢の広がりは、正確な測定に対する業界のニーズを高めています。
ここで重要なのは、選択肢の拡大という流れの中心にいるのは「人」ということです。それゆえに、進化を遂げているプラットフォームやチャネルがもたらした、数多くの新たなデータソースを反映する包括的なオーディエンス測定がますます必要とされます。しかし、これらの新たなデータソースだけでは、米国の人口を正確に代表していないため、オーディエンスの正確な測定を行うことができません。
実際のオーディエンスを測定するためには、実際の「人」が必要です。
長年、ニールセンの計測パネルはテレビ視聴率測定のゴールドスタンダードとなっており、現在でもセットトップボックスやスマートテレビから取得するビッグデータのみでは発掘できない、貴重なテレビオーディエンスインサイトの提供に活用されています。一方で、これらのビッグデータセットには、とても大きな価値があります。それは従来のパネルではカバーしきれない、飛躍的に大きい視聴者サイズを提供します。しかし、これらのデータセットにはオーディエンスを特定できる情報が含まれていないので、包括的かつ代表性のある測定を行うためには、ビッグデータとパネルデータの併用が必要となります。
重要なことは、セットトップボックスやスマートテレビのデータは、測定用に設計されていないということです。例えば、ケーブルテレビや衛星放送のセットトップボックスから得られるRPD(Return Path Data)は、テレビの電源が入っていることやチャンネルが変更されたことは分かりますが、その部屋に誰がいるのか、誰が画面に映っているものを操作しているのかは分かりません。スマートテレビが提供するコンテンツ自動認識(ACR)データについても同様です。例えば、ニールセンがRPDを分析したところ、誰も見ていないのにテレビがついている場合を補正しないと、視聴時間が145%〜260%(プロバイダーによって異なる)も過大にカウントされてしまうことがわかりました。

特に、デバイスやプラットフォームの使用率が高まるにつれ、ビッグデータには大きな利点があり、今後のオーディエンス測定において重要な役割を果たすことができます。しかし、実際の視聴者を総合的かつ正確に把握するためには、代表性のある「人」レベルのデータを確保する必要があります。例えば、ニールセンの最近の分析によると、あるゴールデンタイムの番組のRPD測定では、米国の総インプレッション数が69%も過大評価されていました。同じ分析で、ACRのデータはインプレッションを12%過小評価していたことがわかりました。
ニールセンが保有する米国の総人口を代表するテレビ測定パネルは、今や総テレビ利用の 4分の1 以上を占めるストリーミング配信の拡大を測定する上で極めて重要となります。ストリーミング配信は消費者に膨大な量や種類のコンテンツを提供していますが、ビッグデータのみでは、オーディエンスやエンゲージメントを完全に把握することはできません。またビッグデータはRokuやAmazon Fire StickなどのOTT ストリーミングデバイスでの視聴を網羅しておらず、多くのストリーミングアプリではアプリの利用中、ACRデータ送信はブロックされています。新たなプラットフォームやチャネルが次々と市場に参入していることを踏まえると、これからは主要なデバイスメーカーとの提携やパネルデータが極めて重要となります。
実在のオーディエンスのインサイトを発掘するには、実際の「人」から得られるデータが必要です。実際の「人」から得られるデータをその他データソースと組み合わせることにより、サンプル数を飛躍的に増やすことができます。ニールセンのパネルは、データ品質の問題を特定して修正する能力を備えているため、視聴者測定に使用するビッグデータの安定性、信頼性、一貫性を補完することができます。ビッグデータが「人」レベルの測定で調整されることで、セットトップボックスのRPDとスマートテレビのACRデータの可能性を最大限に発揮することができるのです。
INDUSTRY NEWS
Ad Age (メディア・マーケティング専門誌)
米Facebook、広告計測における利用者数のカウント方法を変更
Facebook は、同社が運営するソーシャルプラットフォーム Facebook Instagram広告の計測に用いられる、利用者数カウント方法を変更する。 10月11日以降、利用者のFacebookおよびInstagramアカウントが同社のアカウントセンターにリンクされていない場合、広告プランニングや計測上、これらのアカウントは2人の別の利用者としてカウントされる。アカウントセンターに接続されている両プラットフォームの共通アカウントについては、1人の利用者としてカウントされる。カウント方法の変更は、今後数週間以内に適用される予定。
Adweek (メディア・マーケティング専門誌)
ニールセン、同社のストリーミング配信測定サービスを再編成、2つのサービスをリブランディング
今年ストリーミング配信指標を拡大したニールセンは、同社の 3つのストリーミング配信即霊サービスを単一の測定ソリューション群に統合、さらには 2つのサービスをリブランディングする。 同社が提供するStreaming Video Ratings、SVOD Content Ratings および Digital Ad Ratings(デジタル広告視聴率) は今後、単一の測定ソリューション群として提供される。同社は、ストリーミング配信における広告ターゲティングや測定の簡素化を統合の理由として挙げている。 また、ニールセンは上記 3つのサービスの内、2つの指標をリブランディングする。今年に入って間もなく導入されたStreaming Video Ratings は、Nielsen Streaming Platform Ratings に名称変更する。SVOD Content Ratings は今後、Nielsen Streaming Content Ratings として提供される。
TechCrunch (IT系スタートアップ・ニュースサイト)
米Twitter、利用者により多くの広告を表示する方法を発見
Twitterは、同社のプラットフォームにおいて新たな広告フォーマットとプレースメントをテストすると発表した。10月13日、Twitterの収益製品リード Bruce Falck は、今後は初回のリプライおよび 3回目、8回目のリプライ後、モバイルデバイスでの会話のスレッド表示に広告を掲載するとコメント。変更が今後、永続的に適用されるかについて同社は明確にしなかったものの、広告の最適な挿入ポイントやレイアウトの判定を目的とした試みの実施を明言した。同社はまた、広告の表示方法をクリエイターのスレッドへの広告挿入を強制するのではなく、クリエイターが許可する形にすると発表。これにより、クリエイターは広告収益の一部を手にすることになる。

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