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MEDIA WEEKLY 2021年6月8日~6月15日                   

REPORT 1

トータルオーディエンスレポート2021年6月版

最新のニールセン トータルオーディエンスレポートには、視聴データテーブルとグラフには 2020 年第 4 四半期のデータ、世帯数およびデバイスの普及率には 2021 年 4 月のデータを使用して、最新の市場スナップショットを提供しています。
パンデミックは、人生の様々なステージにいる個人に、さらなる複雑さをもたらしました。ニールセンは、測定が消費者行動の最新かつ包括的な見解を反映するよう、測定アプローチを常に評価しています。本レポートに掲載されているデータは、マーケターが希望するターゲット層に、希望するプラットフォームを通じて効果的にリーチする戦略を立てる際に役立ちます。


レポート(英語版)をダウンロードして、以下の主要テーマについてご確認ください。

 ・メディア利用が増加:米国成人のメディア消費総量は、1日あたり10時間20分となり、20分増加しました。そのうち55%は、テレビ、テレビ接続機器、コンピュータ、スマートフォン、タブレットなどのビデオコンテンツに費やされています。

ラジオは多くの視聴者にリーチ:ラジオは引き続き、広告主に最大のリーチを提供します。ラジオは毎週、米国の成人の88%、ヒスパニック系の成人の91%にリーチしています(どのプラットフォームよりも高い)。
・年齢別のデジタル機器利用状況:35-49歳の成人は、1日あたり4時間17分とデジタル機器の使用時間が最も長いセグメント。


多文化オーディエンスのメディア消費:黒人成人は、他のどのグループよりもメディア消費が多く、1 日あたり11時間46分をメディアに費やしており、これは平均的な成人よりも14%多い。また、ライブテレビ視聴時間は4時間48分、スマートフォンを利用する時間は2時間38分と、それぞれ多くなっています。


インターネットコネクテッドデバイスの利用率は全セグメントで増加:2019年第4四半期と比較して、ヒスパニック系消費者の1日のインターネット接続デバイス利用時間は13分、アジア系アメリカ人と白人の成人は12分、黒人は10分と全てのセグメントで増加しました。



REPORT 2

ブランドマネジメントの一考察
ブランドの継続的な成長には、バランスの取れたマーケティング戦略が必要

計測可能なROIを達成するというプレッシャーの下で働くことは、マーケターの宿命ですが、パンデミック後の未来に向けて、ビジネスの成長への要求はますます高まっています。いくつかの多国籍ブランドから得た学びが示すように、マーケティング施策のアッパーファネルを再活性化すると同時に、ミドルからローワーファネルの施策と連動してブランド構築を推進するバランスの取れたマーケティング戦略なしには成長目標を達成することは極めて難しいでしょう。

販売主導のマーケティングが重要であることに変わりありませんが、継続的なビジネスには短期的なアクティベーションを越える考え方やアプローチが求められます。包括的なマーケティングを実施するにはバランスが必要不可欠ということは、新型コロナ以前から販売主導のアクティベーションに依存していた多くの多国籍ブランドが学んだことです。GAPやadidas、Tripadvisorなどは 2019年後半、揃って長期的なブランドエクイティを構築し、維持することの必要性を公式に発表しました。

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ROIの達成を強いられるマーケターにとって、コンバージョン主導のマーケティングは即結果につながるため魅力的です。対してブランド構築は、目に見える利益がでるまで時間がかかります。しかし、そのリターンには意味があり、測定可能です。実際の売上に目を向けると、ニールセンの経験によると認知や検討意向などのブランド指標が1ポイント上昇すると、平均して売上が1%増加します。1%を重要でないと見なすのは簡単かもしれませんが、10億ドルの売上に対する1%のリターンは1,000万ドルに相当し、重要でないとは到底言えません。


アッパーファネルでのマーケティング施策は営業活動の効率化につながるさまざまな付随的な効果をもたらします。たとえば、ニールセンは先頃、某金融サービス企業のマーケティング施策の売上に対する貢献度を約 20市場で調査しました。調査開始時点では、ブランドの認知度やブランドの検討意向は市場ごとに異なっていました。調査終了後、ニールセンはアッパーファネルのブランド指標とマーケティング効率には、非常に強い相関関係(0.73)があることを発見しました。ブランドがエクイティを構築することは直接売上につながるだけではなく、間接的にアクティベーション施策の効率向上にも貢献すると考えられます。


一般的に認識されているブランド構築のメリットに加え、ブランドエクイティの従来のソースが侵食されていることから、長期的なマーケティング施策の重要性が高まりつつあります。例えば店頭の棚における商品の視認性の確保、あるいは物理的な看板がブランドエクイティの蓄積に大きく貢献していることは忘れられがちです。ブランドの所有者はこれらの施策は当たり前と思っているかもしれませんが、実店舗で買い物をしたり、実店舗の前を通ったりする人が減少していることを考えると、このような意識はリスクを招く可能性があります。売上の危機に直面しているブランドにとって、消費者のトップオブマインドを獲得できるかどうかは売上結果に大きく関わってきます。事実、ニールセンのデータによると、マーケティングはブランドエクイティの10%から35%を担っています。


エクイティの損失は従来メディアやデジタルメディアでのブランドリテンションやトライアル率にも影響を及ぼします。Nielsen Commspoint の調査データによると、米国の消費財(CPG)市場では、リアル店舗における購入の4.3%は「過去に購入したことのないブランド」が占めていました。オンラインでの買い物では、同数字は 12.1%に上昇しました。目新しいブランドが提供する商品の購入率の増加は、消費者が定期的に利用するブランドの売上損失を意味します。


このように、マーケティング以外のエクイティへの圧力が高まっているため、ブランドの健全性を維持するためのマーケティングの重要性が高まっています。
広告を止めるのに適した時期はありませんが、あらゆるブランドにとって、認知を高める必要性はかつてないほど高まっています。コンバージョンを重視したマーケティングはすぐに売上につながるので魅力的で、即時に得られる結果はビジネスに良い影響をもたらします。しかし長期的にビジネスを成功させるためには、既存顧客のリピート購入だけでは不十分です。そのためマーケターはアッパーファネルとローワーファネルの両方の シェアオブボイスをバランスよく確保する必要があります。

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REPORT 3

急成長するCTV広告を先取りするために

動画ストリーミング戦争が勃発した初期と比べると、現在の動画ストリーミング市場は爆発的な成長を遂げ、多種多様なプラットフォームやコンテンツが乱立している状態にあります。そして市場の多様化や細分化は、消費者に恩恵をもたらしています。直近のサービス加入状況を見ると、加入者の多くは従来の SVOD プラットフォーム以外のサービスを選んでいます。広告主や広告エージェンシーにとっては、様々な機会が存在するということになります。

ニールセンのデータによると、コネクテッドテレビ(CTV)は毎週、平均でほぼ1億4200万人の米国の成人にリーチしています。消費動向を見ても、2021年第1四半期(1-3月期)、2歳以上の消費者の動画ストリーミング視聴時間はほぼ300億分となり、2018年同時期比+135億分を記録しました。これらのデータを鑑みると、米国におけるCTV広告費は2025年には約275億ドルとなり、2017年の26.4億ドルから大きく増加するというeMarketer の予測 は腑に落ちます。ちなみに今年度のCTV広告費の予測は、約134億ドルとされています。

CTVは米国特有の現象ではありません。最近欧州で実施された IAB 調査 では、広告主の50%以上、そして広告エージェンシーのほぼ100%が今後1年のデジタル動画の成長分野として CTV/アドレサブル広告を挙げました。この成長予測は消費者需要の増加に基づいており、IABも西ヨーロッパにおける OTT加入者が2019年の1.33億人から2023年には1.59億人に増加するというeMarketerの予想を引用しています。Statista調査のファインディングスを見ても、昨年の欧州のCTVオーディエンスの半数は、動画ストリーミングコンテンツを毎日視聴していました。

CTV市場は幅広いため、広告機会を特定することは容易ではありません。特に、CTV、OTT、ストリーミングを主要なサブスクリプションビデオオンデマンド(SVOD)プラットフォームと同一視している人の間ではそうです。ここで覚えておきたいのは、動画ストリーミング視聴増のかなりの部分はNetflixやAmazon Primeなどの主要SVODサービス以外に起因しているということです。2021年第1四半期(1-3月期)、米国における動画ストリーミングは 1日当たりのテレビ利用の 25%を占め、内 Netflix、Hulu、Amazon Prime と Disneyが占める割合は 12%(半分弱)でした。

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動画ストリーミング戦争は広告のない、有料モデルを採用した領域で勃発しました。後に動画ストリーミング市場に参入した新たなプレイヤーや従来のメディア企業は、広告付というモデルを打ち出し、「いつでも、どこでも好きな動画を視聴できる」という業界固有のメリットに加え、低い料金 (または無料) という競争優位性を打ち出しました。

CTVブームのおかげで、今年度のアップフロントの雰囲気はまだパンデミックの中で生活しているという事実は別として、大きく変わりました。NBCUniversal、Fox、Discovery、Disney、WarnerMediaとViacomCBS は異口同音にPeacock、Hulu、HBO Max with Adsなどの自社サービスを広告主にアピールしました。2021年1月現在、広告付やリニアストリーミングプラットフォームは、米国の動画ストリーミング視聴可能世帯におけるストリーミング視聴の 34% を占めるまでに成長しており、ニールセンはCTVシフトを注視してきました。34%という数字は、対前年比 +6%に相当します。

CTVの世界は、不慣れな人の目には複雑に映ります。ニールセンが新たに発行した CTV guide for marketersでも紹介していますが、「OTT」と「CTV」が同じ意味で使われることも珍しくありません。この分野でのチャンスをどのように評価するかは、広大で複雑な広告購入の状況の中でのニュアンスを理解することにかかっています。

米国では、以下の方法で CTV広告枠を買付けることができます。

  • CTVオリジナル機器メーカー経由(OEM、例 Samsung、Vizio)
  • vMVPD 配信サービス経由(例 Sling TV、Pluto TV)
  • コンテンツ所有者経由(例 FOX、NBCU)
  • DSP 経由(例 The Trade desk)
  • PMP 経由
  • または上記全ての組み合わせ

目的に合致したアプローチを検討する時、それぞれの方法の内容を確認するだけではなく、深度と範囲も考慮することが必要です。

  • ファーストパーティデータの収集方法、および認められる使用
  • ベンダーのIDグラフソリューションの構築方法
  • 提供される在庫の種類と質
  • オーディエンス発見、アクティベーションや最適化のしやすさ
  • 提供されるクリエイティブエグゼキューション機会

上記のそれぞれの要素を詳しく見ることで、高度なターゲティング戦略の実行、そして意図するオーディエンスにとって自分事化される広告体験の提供を支援するツールの有無を確認することができます。その結果、消費者のメディア接触習慣や市場の急速に変化に迅速に対応することが可能となります。

詳細は、ニールセンの CTV advertising guide をダウンロードしてご覧ください。








INDUSTRY NEWS

CNBC (ニュース専門放送局)

プライバシーをビジネス優位性として利用する米 Apple

6月7日、Apple が主催した開発者会議 WWDC 2021にて発表された同社の声明から、同社の製品にはプライバシー戦略が組み込まれていることが明らかになった。同会議にて、同社はほぼ全ての新機能の説明中にプライバシーについて触れ、プライバシーに関するプレゼンテーションも別途行った。今回発表された新機能にはメール追跡停止機能、バーナーメール、さらにはIPアドレスを分からなくする機能が含まれた。
Apple はまた、利用者データの取扱いという自らの強みを活かし、センシティブなデータを利用する機能を同社のWalletやHealthアプリなどに追加する。


Bloomberg (ブルームバーグ)
米Twitter、新たな収益源としてスーパー利用者を対象としたサブスクリプションを発表

Twitter Inc. は6月3日、長らく待たれていた同社のサブスクリプションサービスを発表した。同サービスには投稿ツイートの削除や投稿の整理機能など、独自の機能が含まれる。有料サービスの提供により、広告収入への依存から脱却することが狙い。Twitter Blue として発表された同サブスクリプションサービスの価格は月額 2.99ドル、加入者は投稿する前に送信の取り消しを行えるアンドゥ機能、ブックマークしたツイートをフォルダーに整理する機能、そしてツイートをまとめた複数の長いスレッドを読みやすくする機能などを利用することができる。さらにはより迅速なカスタマーサポート対応、Twitter の新カラーテーマのカスタムに加え、iOSデバイスではTwitterアプリのアイコンをカスタマイズすることが可能だ。



MediaPost (広告メディア専門ニュースサイト)
米Amazon の MGM 買収が意味することを考える

動画コンテンツの価値はいくらくらいなのだろうか?Amazon によるMGM Studios買収のケースでは、同社が手にした新たな「金脈」の価値は84.5億ドル。
これは5月24日週、AmazonとMGM Studiosが合同で発表した買収価格。買収の発表後、経済ニュースメディアはこぞってAmazonは膨大な映画やテレビ番組コンテンツを手中に収め、今後同社の Amazon Prime Video 加入者に配信すると書き立てた。買収により、Amazon は『007』映画シリーズ、『Rocky』(ロッキー)映画に加え、『The Handmaid's Tale』(邦題 『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』)、『Fargo』(邦題 『Fargo/ファーゴ』)、その他数百本のテレビ番組や映画作品を手に入れただけではなく、買収した製作スタジオで今後制作されるテレビや映画コンテンツも配信可能になる。


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