PERSPECTIVES
デジタル測定が「オールウェイズオン」であるべき理由
Ameneh Atai, Nielsen
日々増加し、細分化するコンテンツ。コンテンツに接触する時間が増えた現在の消費者は、複数のスクリーンを駆使して自ら興味のあるコンテンツを視聴しています。コンテンツの細分化は、意図するオーディエンスに適切なタイミングで、適切な広告をもってリーチしたい広告主の課題を複雑にしています。そして、複数のプラットフォームを活用した広告キャンペーンのパフォーマンスを把握したいメディア取引関係者にとっては、包括的で直接比較が可能なクロスプラットフォームオーディエンス測定の必要性はさらに高まっています。
過去 1年を振り返ると、消費者は自らのメディア習慣に「デジタルファースト」を取り入れました。ニールセンのデータを見ても、米国在住の成人による1日平均の動画視聴時間は5時間超(内、69%はリニアテレビ、31%はデジタル)、デジタル視聴時間は対前年比+16% となっています。消費者によるメディア接触の変化は、全てのメディア、プラットフォームをカバーするすべての広告インプレッションを計測するデジタル広告測定データの必要性を増幅していると言えるでしょう。
今日提供されている大部分のデジタルオーディエンス測定は、個別キャンペーンごとの測定になっています。ではリニアテレビ視聴の測定手法のような、全期間/全キャンペーンを常時測定するデジタルオーディエンス測定が存在したらどうでしょうか。全期間/全キャンペーンの「オールウェイズオン」なデジタル測定は、全広告インプレッションのパフォーマンスの「見える化」を実現します。さらには簡素化されたキャンペーン測定プロセスをもたらすことで、容易かつ迅速なキャンペーン測定の開始が現実となります。このようなデジタル測定が存在すれば、より多くのインプレッションデータの収集が可能となり、パフォーマンス指標に対する視野が広がります。広告主にとっては、広告予算配分に対する十分な情報に基づいた意思決定が可能となり、パブリッシャーは自らが所有するプラットフォームの価値を証明しやすくなるでしょう。
米国ニールセンでは、パブリッシャーが所有するプラットフォームにおける全デジタル広告インプレッションの常時測定を推進して、Digital Ad Ratings (デジタル広告視聴率、DAR)の機能強化に取り組んでいます。マーケターとパブリッシャー双方にとって、「オールウェイズオン」のDARはより包括的なデータに加え、信頼性、透明性と柔軟性を提供します。「オールウェイズオン」により、最終的にはテレビ視聴測定と直接比較ができる、包括的なデジタル広告測定が可能になります。大きな変化に直面しているメディア業界にとって、「オールウェイズオン」のデジタル広告視聴測定は、以下のような新たなメリットをもたらします。
- データに基づいた総合的なインサイトを提供:キャンペーンデータの増加により、広告主は広告を通じて発信したブランドメッセージのリーチをより具体的に把握できるようになり、ターゲットオーディエンスへのリーチ最大化を目的とした予算配分に関して、十分な情報に基づいた意思決定ができるようになります。また全キャンペーンに対するパフォーマンス指標の分析が強化されれば、商品カテゴリーやブランド別広告戦略の立案が可能になります。例を挙げると、「オールウェイズオン」計測を通じて得られたデータを用いることで、25歳から54歳の男性にリーチしたい自動車メーカーは過去のキャンペーンデータから各パブリッシャーのパフォーマンスを分析・評価した上で、より効果的な広告予算配分ができるようになります。
- 広告販売における信頼性:常時計測により、パブリッシャーは自社プラットフォームがリーチするユニークオーディエンスの理解が深まるため、自社在庫の真の価値を踏まえて広告枠の販売交渉に臨むことができます。より多くのデータを手に入れることで、パブリッシャーは自信をもって広告主のターゲットオーディエンスへのリーチ力、広告インプレッション保証や自社プラットフォームのパフォーマンス検証能力を材料として交渉を進めることができます。
- キャンペーン測定の実施が容易に:測定が「常にオン状態」であることは自動化を意味するため、よりシンプルなキャンペーンやプレースメントの設定プロセスを実現します。常時測定を採用する広告主やパブリッシャーは、キャンペーン測定をより容易かつ迅速に開始できるほか、リソースやワークフローの効率化というメリットも享受できます。
米国における常時デジタル測定はデジタル、CTV (コネクテッドテレビ)、アドレサブルやリニアテレビをまたいだ、真に比較可能なクロスメディア計測の実現に向けた大きな一歩となります。DAR に「オールウェイズオン」計測を導入することで、ニールセンはクロスメディア・カレンシーの実現に向けて、業界と共に取組を進めています。「オールウェイズオン」 DAR はニールセンの Total Ad Ratings を強化し、最終的にはクロスメディアソリューションの Nielsen ONEの強化にも貢献します。2022年導入予定の Nielsen ONE はすべてのプラットフォーム全体で非重複利用者数を生み出し、テレビとデジタルの直接比較を可能にすることで、持続可能な広告エコシステムの土台となるでしょう。
HIGHLIGHTS
GRACENOTE、東京2020オリンピック仮想メダル獲得予想表を作成
新型コロナウイルスの影響により開催が延期された東京2020オリンピックまで、あと 100日を切りました。オリンピック史上、最も先が読めない大会の開催に向けて、Gracenoteは仮想メダル獲得予想表(Virtual Medal Table、略称 VMT)を作成しました。予想は2016年リオデジャネイロオリンピック以降に実施された主要競技の結果に基づいており、今後開会式までに数回更新される予定です。
東京2020オリンピックで最も予想獲得メダル数が多いのは米国。予想が現実になれば、米国は夏季オリンピック7回連続で最多メダルを獲得することになります。 前回大会でのメダル獲得数が70に減少した中国は東京2020オリンピックでの躍進が予想され、VMTによる予想獲得メダル数は米国に次ぐ2位になっています。予想通りの展開なら、中国は夏季オリンピック3回連続で2位を獲得します。現時点では、ロシア選手団がROC (ロシアオリンピック委員会)として東京2020オリンピックに参加できるかどうかは定かではありませんが、過去の競技データによると、出場が許可されれば、ロシアはメダル獲得数の3位争いを繰り広げることが予想されます。
開催国の日本は、前回大会で獲得したメダル数から40%超のメダル増が期待されますが、2位予想の中国には及ばないでしょう。日本と並び、オランダも東京2020大会での躍進が期待されます。

INDUSTRY NEWS
ニールセン、NIELSEN MARKET LIFT を37か国でローンチ
Nielsen Market Lift (ニールセン マーケットリフト)は、ニールセンのAudience Outcomesソリューションのクラウド型のキャンペーン測定ツールで、マーケティングキャンペーンの効果と効率を迅速かつ容易に評価し、十分な情報に基づいた顧客の意思決定を支援します。
ニールセンとTWITTER、動画広告での提携を拡大
ニールセンとTwitterは 2021年4月8日、ニールセンのオーディエンス計測および成果クロスメディアソリューションとTwitter の動画広告プラットフォームの統合拡張を発表しました。拡張されたソリューションには Nielsen Media Impact (NMI)および Nielsen Ad Intel の新規契約、ニールセン トータル広告視聴率 (TAR)への拡張アクセスが含まれます。これらのツールの追加により、Twitterは同社の動画広告主に対し、より充実した事前、事後キャンペーン計画の策定、広告在庫の最大化、クロスメディアプランニングに対する理解の促進を支援、さらにはより迅速にキャンペーン結果を提供します。
MediaPost (広告メディア専門ニュースサイト) 米主要テレビネットワーク、テレビアップフロント予算最大 30% の CTV シフトを広告主に要請
広告枠買い付け担当役員の情報によると、米国の主要テレビネットワークは広告主に対し、リニアテレビに割り当てられたアップフロント予算の 20% から 30% を各ネットワークが所有する CTV プラットフォームにシフトするよう要請している。 背景として、レガシーテレビを中心とした複数のメディア企業は昨年、それぞれのプレミアムストリーミング CTV プラットフォームを強化したが、同時にリニアテレビ(リアルタイムテレビ)視聴者数の著しい減少を目の当たりにした。

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