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2020年米国テレビ視聴総括:視聴率トップ10ランキング
2020年は、あらゆる意味で特異な年となった。メディアに目を向けると、周期的に放送を行うテレビ業界でも、普通ではない現象が起きていた。米国では、公衆衛生やコミュニティの安全確保のために生活者が「ステイホーム」を余儀なくされたと同時に、新番組や既存番組制作の中断、秋から開始する新シーズン放送開始の遅延、そして「失われた時間」という感覚が業界全体に蔓延した。 2020年に現実と化した特異な現象は、メディア接触を含む新たな消費者行動として今後、ほぼ確実に定着するだろう。事実、既にこのような現象は形となって表れている。 消費者行動の変化として顕著なのはオンデマンドの動画ストリーミング配信視聴へのシフトだが、米国の生活者は引き続き、メディア総接触時間の最大の割合をテレビ番組のリアルタイムやタイムシフト視聴に費やしている。2020年第2四半期(4-6月期)における18歳以上の総リアルタイム及びタイムシフト視聴時間は、対前年で1日当たり平均 4分長くなっている(1日当たり平均 4時間8分)。これは、1日当たりのテレビ接続デバイス(OTT)総接触時間の1時間14分を大幅に上回っている。 生活者が自らのメディア習慣をオンデマンドなライフスタイルに合わせて調整する中、テレビ局や広告主、制作スタジオにとっては、リアルタイムでオーディエンスのエンゲージメントを獲得できている番組の種類を把握することが重要となる。巨大なライブ視聴者数を獲得するジャンルは「スポーツ」と「ニュース」。これらのジャンルの番組が放送されると、他の番組は視聴されなくなる、という訳ではないが、視聴者は他ジャンルの番組をより「えり好み」する傾向にある。その証拠として、タイムシフト視聴率上位番組のほとんどは、プライムタイム枠のドラマだった。 生活者は常に質の良いコンテンツを探し求め、視聴する。テレワークを主体とする生活者の増加と共に仕事をする時間も変わってきており、これがテレビ視聴時間帯の変化を引き起こしている。また視聴可能な動画ストリーミングサービスの増加により、時代を越えて視聴者に愛され、放送日を過ぎてもオーディエンスとのエンゲージメントを獲得できるコンテンツが揃ったライブラリーの価値が高まっている。 生活者にとっては様々なメディア選択肢が存在することから、一日の内に生活者が何も視聴しない、ひいてはエンゲージメントしない時間があるとは想像しづらい。視聴可能なコンテンツが増加・拡大するにつれ、生活者が日々メディアに接触する時間は増加し続けるだろう。2020年第2四半期(4-6月期)、米国在住の 18歳以上の生活者における 1日当たりの動画視聴時間はほぼ 6時間となり、前年同時期から 35分増加した。生活者の視聴時間を最大限に活かすためには、テレビ局や広告主は視聴されている番組や時間帯などの情報を注視する必要がある。




INDUSTRY NEWS
HypeBeast (男性向けファッション・ストリートウェア情報サイト)
米ニールセン、テレビ視聴率システムにNetflixストリーミング配信視聴を反映
メディアデータを計測する米ニールセンは、2021年より同社が提供するテレビ視聴率にNetflix のストリーミング配信視聴を加えると発表。同社のテレビ視聴率は、従来の地上波やケーブルテレビ放送のみを網羅しているが、高まりつつあるストリーミング配信データの重要性を認識し、広告主の需要に応える。同社によると、2024年までには旧来のテレビ視聴率システムを廃止し、従来の指標にデジタル視聴を組み込んだ新システムに移行する。ニールセンの動きにより、従来メディアとデジタルストリーミングプラットフォーム双方における広告パターンの変化が予想される。
Reuters (ロイター通信) 米連邦取引委員会、FacebookやTwitter、TikTokなどによる個人データ利用を示すデータを要求
米国の連邦取引委員会(FTC)は 12月14日、大手交流サイトのFacebook、Twitterやその他ソーシャルメディア、さらには動画ストリーミング企業がそれぞれの利用者から収集した個人データの利用に関する情報を要求する命令を出したと発表した。命令の対象は Facebook Inc とTwitter Incに加え、Amazon.com Inc.、Facebookの子会社のWhatsApp、中国のByteDanceが運営するTikTok、Discord Inc、Reddit Inc、Snap Inc、Googleの子会社のYouTube LLC。
Broadcasting & Cable (テレビ業界誌) 米ニールセン米広告主ランキング、トップはP&G
Apple は、アプリ内広告のトラッキングを利用者がオプトアウトできるようにするプライバシー機能の実装を来年に延長したが、アプリデベロッパー、さらにはアプリを通じて個人データを獲得し、サードパーティに送信するパブリッシャーを対象としたプライバシー慣行について明示するラベルを 2020年12月8日(現地時間)に導入する。同社によると、ラベルの目的はアプリが収集するデータタイプや収集されたデータの扱いに関する透明性を高めることにある。対象となるデータタイプは利用者の氏名、メールアドレス、健康・フィットネス状態、さらには金融情報も含まれる。Apple の狙いはデベロッパー、パブリッシャー、そしてサードパーティに対し、収集される各データタイプの具体的な利用法を理解させること。具体例として、サードパーティの広告をアプリ内で表示する場合、サードパーティデータを表示する企業とデータを共有する、そしてデータを利用して利用者の行動を評価する(商品特徴効果の理解など)、新たな商品特徴や機能を計画する、オーディエンスサイズや特徴を計測するなどの利用法が挙げられる。
MediaPost (広告メディア専門ニュースサイト) コネクテッドテレビ視聴計測にニールセンが求められる理由
テレビ放送企業が広告主に対し、存在しない2800万世帯に対する広告キャンペーンを販売したら、当然捜査が入り、議会聴聞にまで発展する可能性がある。企業の幹部は逮捕されるだろう。かなり前の話になるが、テレビ番組放送中に起きてしまった「ワードローブ機能不全」(wardrobe malfunction)が引き起こした騒動を思い出して欲しい。しかしながら、このような事態はテレビの世界では発生しない。広告キャンペーンの取引や計測は、独立した検証済計測パネルを用いて行われているからだ。実在する視聴者から構成されるパネルを用いることで、広告主が投資したキャンペーン視聴者と実在する視聴者の相互関係が保証されている。パネルの規模は小さいながらも、2800万世帯を偽造することは不可能だ。最近発表された Nielsen Oneクロスチャネル動画計測施策に関する情報を読む限り、コネクテッドテレビ(CTV)に対しても同様の施策を展開できるはずだ。勿論、CTV業界全体の足並みが揃うまでには、数年にも渡る長い時間がかかるだろう。ニールセンにはどうか、CTVに対する同社の施策を加速して欲しいと切に願っている。
MediaPost (広告メディア専門ニュースサイト) ニールセン、トップ10リストに全国、ローカル広告主トップ10 を追加
ニールセンが発行するテレビ関連トップ10リストに、この度広告主トップ10 が加わった。 同リストは全国テレビ広告、ローカルテレビ広告、スペイン語放送全国テレビ広告およびローカルテレビ広告の 4 部門で作成された。同社の Ad Intel レポートに掲載されたデータを利用して作成されたリストを見ると、2020年10月期における全国テレビ広告主上位5社は Proctor & Gamble (広告費1億6440万ドルに対し、336億インプレッション)、Berkshire Hathaway (広告費1億2650万ドル、129億インプレッション)、Amazon (広告費1億2190万ドル、108億インプレッション)、 General Motors (広告費9910万ドル、54億インプレッション)、Progressive (広告費9590万ドル、74億インプレッション)。
The Wall Street Journal (ウォールストリート・ジャーナル紙) 新たなアドフラウド、ストリーミングテレビ広告の脆弱性を露呈
Oracle Corp. のデータクラウド&計測部門は、ストリーミングテレビ広告配信で新たなフラウドを検出したと発表した。このアドフラウドは数百万ドル規模の広告費に影響を与えている可能性があり、ストリーミングテレビへの投資を増やしている広告主にとって、深刻な問題となる。同社によると、Oracle Data Cloud が「StreamScam」(ストリーム詐欺)と呼ぶフラウドは、ストリーミングテレビ広告配信テクノロジーの欠陥やサプライチェーンを悪用し、実在するデバイスやアプリで視聴されなかった広告に対して支払われた金額を騙し取った。

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