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MEDIA WEEKLY 2020年10月20日-11月3日合併号               

PERSPECTIVE

広告支出が回復する今、ブランドマーケティング成功の秘訣は「認知」と「アクティベーション」の両立

原則として、広告支出の削減は極力避けるべきだ。しかしCOVID-19感染拡大がもたらした大きな問題や不確実性により、ほとんどのブランドは様々な媒体や市場で予定していた広告予算の削減を迫られた。そして広告の一時的な停止は、多くの企業のブランド認知に悪影響を及ぼした。これが示唆することは、企業は広告を今すぐに再開するべきということだが、再開にあたっては戦略的でバランスの取れたアプローチが重要となる。


ブランドが長期的に広告を停止したとしても、ブランド認知がゼロになるとは考えづらい。ただし、ブランド認知は何もしなければ低下する。だからこそ、有名ブランドは市場が正常な時でも堅固な広告キャンペーンを継続的に実施して、ブランド認知の低下を防いでいる。米国で 8月に確認された広告の増加は、アクティベーションよりも認知構築が目的だったと思われる。


広告市場が通常に戻りつつある今、広告の増加は今後維持されるべき現象だ。広告停止によって失われたエクイティを 回復するには平均 3年から 5年という期間が必要で、ブランドの広告停止期間が長期利益に与える打撃は、四半期ごとに 2% と言われている。あらゆるブランドにとって、ブランディングや認知構築を目的としたキャンペーンは長期的な成功に欠かせない。過去に 3回発生した歴史的な広告ショックに耐え、マーケティング活動を地道に継続してきた企業は、年間総売上の最大 9% を守ってきたことになる。長期的な視点をもって市場で戦うことは、極めて重要だ。事実、マーケティングの長期インパクトは短期に比べ、88% 高くなっている。


適切なバランスを模索する上で、トライアンドエラーが必要となる場合もある。例を挙げると、グローバルスポーツブランドのAdidasは 昨年10月、ROI の飛躍的な改善を目指してデジタルチャネルやパフォーマンスマーケティングへ過度に移行した後に、結果として戦略の変更を迫られたと発表した。残念ながら、同社のマーケティング活動の縮小は、ブランド認知にマイナス影響を及ぼした。


認知構築から興味喚起へ
上位ファネルで重要となるもう一つのフェーズ、興味・関心は、認知と密接につながっている。ニールセンの売上予測データでは、興味・関心と売上はほぼ直線相関関係にある(例:消費者の興味・関心が10%上昇すると、売上が10%増加する)。2020年現在の世界状況を踏まえると、多くのブランドが広告の削減や支出を制限し、確実に効果があがるオンライン割引やプロモーションDMなどを既存顧客に提供する方向にシフトしたことは、決して驚くべきことではない。このようなアクティベーション本位のタクティクスも重要だが、単発では効果が期待できない。また企業がブランド認知施策を停止し、市場の先行きが不透明な状況では、フルに効果を発揮しない可能性がある。


顧客の現実を理解することも大事だ。不景気に伴い雇用が減少している状態では、広告を一定期間停止した後、経済的な制約を受ける消費者に対してアクティベーションに重きを置いたマーケティング活動を行ったとしても、ブランドが期待する反応は得られないだろう。逆に、そのブランドに対する消費者の興味・関心を永遠に失う可能性すらある。今年の頭にニールセンが開催したウェビナー「Adapting to a New Normal」(「新たな日常への対応」)では、社員や顧客に対する支援を広告で訴求するブランドを消費者が購入する可能性は41%高いという話をした。


現在のメディアや広告環境を鑑みると、ブランドはブランディングと販売を促進する施策の両立に注力する必要がある。ただし、ブランドや企業のマーケターは、適切な指標を用いずに媒体計画や予算配分を決定してはならない。マーケターが今やるべき事は、ブランディングとアクティベーションの両立だ。これらの 2つは互いに代替できるものではなく、適切な計測指標なしにどちらかに注力すれば、投資効率は悪化するだろう。


また、ブランドリフトが最も顕著な領域に追加予算を投下することも賢明ではない。 Nielsen Total Media Resonance (ニールセン トータルメディアレゾナンス)のデータによると、最も多額な予算が配分されたチャネルが最大のブランドリフトに貢献する確率は70%。ブランドにとって最大のチャネルは最も大きいブランドリフトに貢献するように見えるが、単純に追加予算を投下したからといって増分リフトが得られる訳ではないし、恐らく増分リフトは得られないだろう。最大リフトに貢献するチャネルの限界効率が発揮される確率は24% しかないからだ。Total Media Resonanceの分析を見る限り、ブランドにとって最大のチャネルへの投資を増やすことは、96%の確率でブランドの状態改善に寄与しない。

マーケティングは、ブランド構築と販売アクティベーションの対等な互助関係の上に成り立っている。しかし世界的規模のパンデミックによって消費者の生活が一変し、今後しばらくは新たな生活様式が続くことが予想される現在、急激に進化する環境に対応するためには、マーケターは最適化に注力すると同時に正確な計測を行う必要がある。販売アクティベーション戦略によって短期的な利益は得られるが、ニールセンのNielsen Marketing Mix Modeling 分析によると、マーケティングの売上貢献は、キャンペーン開始から一定の期間が過ぎた後に確認される。これは、ブランド構築が最終的な売上に大きな影響を与えることを示している。








INDUSTRY NEWS

Media Post (広告メディア専門ニュースサイト)

米ニールセン、コネクテッドテレビの YouTubeとYouTube TVの広告在庫の計測を開始

動画ストリーミング配信の普及拡大を受け、ニールセンは米国で、コネクテッドテレビプラットフォーム上の動画サイト広告在庫に関して、新たにYouTubeとYouTube TVの計測を開始する。YouTubeのストリーミングテレビ在庫は、ニールセンのDigital Ad Ratings (デジタル広告視聴率)と Total Ad Ratings(トータル広告視聴率)で計測される。
ニールセンは以前から、デスクトップ PC、ラップトップおよびモバイルデバイスのYouTubeとYouTube TV 広告在庫を計測している。ニールセンによると、新たなに追加される計測は、アドレサブルテレビ計測を含むアドバンスドテレビサービス拡大の一環となる。同社による米国のコネクテッドテレビでのYouTubeとYouTube TVの計測は、2021年上期にスタート。まずはテレビネットワークの仮想有料テレビサービスである YouTube TVから計測を始め、その後 YouTubeアプリの計測が追加される。今回発表された追加計測は、2021年5月後半に予定されている。同社によると、追加計測は2021-2022年テレビアップフロントに先駆けて完全に実施される。
米国では毎月 1億人以上がコネクテッドテレビでYouTube コンテンツを視聴していることから、同社はYouTubeやYouTube TVの計測を重要視している。また今回の動きは、広告主企業やメディアエージェンシーの役員によるYouTubeとYouTube TV の計測要請に応えるもの。ニールセンのデータによると、YouTubeは米国における全ストリーミング配信の20%に相当。米国の全世帯の3/4 以上が1台以上のコネクテッドデバイスを保有しており、ストリーミング配信視聴はテレビ総利用の25%を占めている。



Adweek (アドウィーク誌)
ニールセン、The Trade Desk が提供する Unified ID 2.0 に参加

米国のDSP、The Trade Deskは11月2日、同社が提供するクッキーの利用を伴わないオープンウェブ用オープンソースサインオンソリューション、Unified ID 2.0 にニールセンが協力者として参加することを発表した。既にLiveRampとCriteoがUnified ID 2.0への支援を表明しており、The Trade Desk は今週だけで計 3社の協力を獲得した。


Bloomberg (ブルームバーグ)
ニールセン、同社のリテール部門をAdventに27億ドルで売却

Nielsen Holdings Plcは、同社の消費者インサイトの計測を担当する部門を未公開株式投資会社、Advent International に27億ドルで売却すると発表した。
同社の声明によると、Advent Internationalと信用情報企業のTransUnionの元CEO、Jim Peck (ジム・ペック)に売却されるのは、グローバルコネクト部門。ニールセンは当初、2021年第1四半期(1-3月期)に同部門を上場企業としてスピンオフすることを計画していた。アクティビスト投資家のElliott Management Corp. の圧力により、同社はこの計画を昨年発表した。
ニールセンのメディア事業は、CEOのDavid Kenny (デイビッド・ケニー)が率いる上場企業として引き続き運営される。インタビューにて、同氏は「AdventとそのパートナーであるPeck のオファーは、ニールセンの株主にとってより価値があり、確実性の高い内容だった。売却により、ニールセンの残りの事業のレバレッジは4倍下がるが、スピンオフの場合は5倍になる。売却によって価値が生まれるだけではなく、安定と確実性がもたらされる」とコメント。


MediaPost (広告メディア専門ニュースサイト)
米P&G の最高ブランド責任者、広告改革に対し、同社のSNS問題に関する見解

米Procter & Gamble の最高ブランド責任者、Marc Pritchard (マーク・プリチャード)は10月21日、社会正義に対する同社のコミットメントを強調すると共に、テレビ広告枠の取引システムであるアップフロント、さらにはSNSの掲載コンテンツに対する監視・管理体制を批判した。同氏は「ソーシャルメディアには、P&Gのマーケティング予算の約5% を配分しているが、我々が直面する問題の150% はソーシャルメディアに起因する。不適切なコンテンツを自らモニタリングすることは時間の無駄であり、我々も疲れてきた。ソーシャルプラットフォームが自らをより厳しく律する時が来た」とコメント。





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