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MEDIA WEEKLY 2020年9月22日-9月29日合併号               

TOPICS

IAB とニールセン、共同でクロスメディア計測を推進、サードパーティクッキー廃止に向けた準備を進める

サードパーティクッキーやそれに伴う消費者トラッキングの廃止が近づく中、米国のデジタル広告業界団体IAB (Interactive Advertising Bureau)とニールセンは、共同で新たなオーディエンス計測システムの構築を目指して協業しています。

IABとニールセンは、広告主企業、広告代理店、媒体社と共に新たなスタンダードとなる計測手法の構築を進めています。この新スタンダードの採用により、デジタルオーディエンス計測は変化の速いメディア環境と歩調を合わせて進化し、業界全体が待ち望んでいるクロスメディア計測の実現に向けた大きな一歩を踏み出すこととなります。

ニールセンが2021年前半に発表予定の新アプローチは、質の高いパネルと複数のパブリッシャー等から取得する詳細な全数データを組み合わせた、「人」ベースのハイブリッド型計測システムです。包括的なカレンシーレベルの計測クオリティを維持し、全てのデジタルメディアを対象としたレポートを発行することで、毎月6,500 以上のメディア、ブランド、チャネルに関する比較可能なデータが提供されます。

米国におけるカレンシーの改定は、デジタル業界の監視の元、the IAB Measurement Council (IAB計測委員会)、媒体社13社、広告代理店、MFAの代表者により協働で行われます。The IAB Measurement Council は、ニールセンの新手法やプレビューデータのレビューを行い、カレンシーが要求する高いスタンダードを満たし、今後も業界の支持を得られることを確認していきます。

ニールセンは、業界に対してデスクトップやラップトップ、スマートフォン、タブレット上のブラウザやアプリで閲覧されるテキストや動画を対象とした、Digital Content Ratings (デジタルコンテンツ視聴率)用に強化されたテクノロジーを提供すると共に、非デジタルメディアを含む統合メディアプランニングのためのデータ提供向けた作業を引き続き推進します。

プライバシーの保護を担保するために測定メソドロジーを改良し、より厳格なプライバシー保護法への対応やクッキーの衰退を考慮し、改良された手法ではサードパーティデータセットへの依存度を低下させます。広告プランニングやキャンペーンパフォーマンス計測のための「人」ベースのオーディエンスデータを提供する上で、プライバシーを遵守した計測パネルを確保することの重要性は、今後益々高まっていくでしょう。

IAB のリサーチ担当ディレクター、ナタリー・スタンベリーは「現在、ブラウザ提供事業者や政府は、プライバシー保護強化を主張する消費者の声に対応しており、これに伴い計測手段として重宝されてきたクッキーは間もなく消滅するでしょう。 プライバシー規制の変更を遵守し、クッキーが存在しない未来においても持続性を維持するための調整が不可欠です」とコメントしています。

過去10年における計測の進化

IABは過去10年間、デジタルオーディエンスによるコンテンツ接触計測を担う、単一かつエクスクルーシブなプロバイダー採用への支持を表明し続けてきました。2011年、IABは計測におけるエクスクルーシブなプロバイダーを初めて任命しました。当時、市場には数多くのオンライン計測ツールが乱立していたため、広告主企業は複数のメディアをまたいだデジタルオーディエンス価値の把握や比較が困難になっていました。

業界が支援する、ニールセンが提供する標準カレンシー採用に向けた動きによって、広告主企業はオーディエンスの質や特徴の比較が可能となり、メディア投資に対するビジネス判断がし易くなりました。媒体社にとっても、各媒体枠固有の属性の提示ができるようになり、所有コンテンツの商品化が進みました。

競争が激化する今日の広告市場において、業界共通のカレンシーは10年前同様、極めて重要です。昨年、IAB は'Future of Measurement Review' (計測の未来に対する考察)を実施、コンテンツ視聴率、広告視聴率、アドベリフィケーション、広告インパクトを含むデジタル計測に対する業界の優先順位の把握を行いました。この考察を通じて、広告主企業や広告代理店は、投資に対する説明責任を明確にすること、業界が合意したデジタル計測を求めていること、そして、全メディアをまたいだ広告出稿機会や成果の評価手法を期待していることが明らかになりました。








INDUSTRY NEWS

The New Yorker (ザ・ニューヨーカー誌)

音楽ストリーミングが地球環境に及ぼす

インターネットで音楽を聴く行為はクリーンで効率的、そして環境に優しいと思われがちだ。大量のアナログレコードやプラスチックを溜め込む代わりに、デバイスを取り出して音楽を再生するだけでよいのだから。今日、音楽は多くの物質から解放されたように見えるが、最近『Decomposed: The Political Ecology of Music』を上梓した Kyle Devine (カイル・ディヴァイン)は、この主張に真っ向から意義を唱える。インターネットで行う様々な活動同様、音楽のストリーミングやダウンロードという行為はエネルギーの急増を伴うからだ。
著者は「レコード音楽の過去の時代に比べ、音楽の環境コストは増えている」と語る。複数のデータソースを用いて著者が作成したグラフを見ると、2016年に音楽のストリーミングやダウンロードによって発生した温室効果ガスの総排出量は約1.94億キロ、2000年に全音楽フォーマットから発生した温室効果ガス総排出量から4000万キロ程増加している。新型コロナウィルスの影響により、消費者のメディアストリーミング量は前例がないほど増加したことを考えると、2020年の数字はより高くなることが予想される。



Forbes (経済誌)
米 NBC の動画ストリーミング配信サービス Peacock、Roku で視聴可能に

9月18日、米国のComcastとRokuはComcastの動画ストリーミング配信サービス、PeacockをRokuで配信することに合意した。Peacockのリリース以来、Rokuでの配信に関わる両社の紛争がようやく解決した。
NBCUniversalは声明を通じて「Peacockを含め、NBCUniversalが所有する豊富なアプリや番組の価値がRokuに認められ、嬉しく思っている。今後、これらのアプリや番組は全国の Roku利用者に提供される」とコメント。



The Wall Street Journal (ウォールストリート・ジャーナル紙)
米 IBM、ニールセンと提携してAIを活用した天候ベースの広告サービスを提供

IBMはニールセンと提携し、新たなデジタル広告を提供する。AIを活用し、天候や小売り販売データにもとづいてデジタル広告が配信される。
Watson Advertising Weather Targeting と呼ばれる同サービスは機械学習モデルを用いて、米国全土を対象に天候と販売データの相関関係を調べる。例えばAIが特定のエリア在住の消費者は、気温が特定の温度に達すると特定のワインを購入する傾向があると判別した場合、そのエリアでワインのオンライン広告が配信される。
AIが利用するのはIBMのWeather Co.部門が保有する数億にも上るデータポイントに加え、ニールセンのRetail Measurement Servicesの保有データ。ニールセンの同データは、全世界90万の小売企業から取得した商品レベルの取引データ。





The Wall Street Journal (ウォールストリート・ジャーナル紙)
ストリーミングテレビにもフラウドが侵入、対策に追われる広告主

広告付き番組の視聴に時間を費やす視聴者を追いかけるように、広告主企業はストリーミングテレビに殺到している。アドフラウドを行う詐欺師たちもストリーミングテレビに目を付け、広告主が支払う広告料金の一部を奪い取ろうとしている。
広告計測とベリフィケーションサービスを提供するDoubleVerify Inc.によると、フラウドはインターネットテレビの世界で急増している。同社は今年に入ってから780件の偽装ストリーミングテレビアプリを検出、これらのアプリの目的は、フラウドの存在を知らない広告主から広告予算を引き出すこと。しかし、これはあくまでも氷山の一角だ。





The Wall Street Journal (ウォールストリート・ジャーナル紙)
米 Procter & Gamble、テレビ広告バイイングプロセスの変更を主張

9月23日から24日、リモートで開催された Association of National Advertisers (全米広告主協会) Media and Measurement Conferenceにて、米国のProcter & Gamble Co. のマーケティング担当役員は、テレビのアップフロントに対する変更を主張した。同役員は、アップフロントを「古臭く、非効率的で時代に合っていない」と批判した。
毎年春に行われるアップフロント交渉では、企業のマーケターの代理としてメディアバイイングを担当するエージェンシーが、秋から冬にかけて放送されるテレビ番組の広告枠を一括購入するのが従来の習わしだ。




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