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MEDIA WEEKLY 2020年4月13日-4月20日合併号              

COVID-19 MEDIA INSIGHT

ソーシャルディスタンスを確保する生活が続く中、多文化生活者によるコンテンツのストリーミング視聴が過去最高レベルに

シェリル・グレイス, SVP, Strategic Community Alliances and Consumer Engagement, Nielsen

驚くなかれ、生活者が視聴するストリーミング動画コンテンツ量はさらに増加している。アフリカ系アメリカ人が関心を持つ問題に焦点を当てたアメリカ在住の利用者で構成される文化的アイデンティティ、Black Twitter では新コロナウイルス(COVID-19)の新たなパンデミックが「Rona」と呼ばれており、多くの生活者は長時間を屋内で過ごすようになった。テレビやコネクテッドデバイスを利用する時間も長くなり、特にストリーミング配信サービスの利用が活発になっている。


4月初旬、アメリカ全土でCOVID-19の感染拡大を遅らせる手段として「stay at home」を促進する対策が施行される以前から、アメリカ人は家庭における総テレビ視聴時間のほぼ19%を様々なストリーミング配信サービスに費やしてきた。アメリカでは今後もCOVID-19感染防止対策が続く可能性が高く、この数字はさらに増えることが予測される。


直近の6週間の傾向を見ると、ソーシャルディスタンスの影響もあってか、私を含む多くの生活者はより多くの時間をbinge game(今までできなかったゲームにのめりこむ)に費やすようになった。ニールセンは、自宅待機によって生活者が視聴するストリーミング配信コンテンツは約60%増加すると予測している。ブランドやコミュニケーションの専門家にとって、アメリカ人が視聴しているコンテンツの種類や内容が気になるのではないか。


アメリカ在住の生活者の多くは映画、ニュースやテレビ番組に傾いている。New York Times 紙に掲載された more Netflix, less ESPN (Netflix の視聴が増え、ESPN の視聴が減った)という見出しは、最新のコンテンツ嗜好を端的に表現している。多くのスポーツイベントや試合が次々と中止されたため、スポーツ中継の視聴は明らかに減少傾向にある。一部のスポーツ関連団体はバーチャル視聴や eスポーツを通じて、ファンとつながる機会に恵まれた。私の家庭では、息子にパンデミックに関するドキュメンタリーの視聴を勧めた。ドキュメンタリーは決して不安を和らげてくれるジャンルではないが、息子と過ごす時間が増えたことは実に嬉しいことだ。


生活者のメディア接触に対する現在の社会情勢の影響を探求、分析する上で、多文化というルーツを持つ生活者が及ぼす影響を見過ごすことはできない。ニールセンの最新 Total Audience Report によると、メディア接触時間が最も長いのはアフリカ系アメリカ人の成人で、成人平均より 21%視聴時間が長い。テレビのリアルタイム視聴も他の人種グループを上回り、1日当たり平均 5時間4分、スマートフォンの利用時間も4時間46分と最も長い。もっと見る

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INDUSTRY NEWS



CNN (ニュースチャンネル)
米Netflixの『Tiger King』の視聴者数は?

ニューヨーク発(CNN Business) 新型コロナウイルスの感染爆発によって人々が自宅にこもるようになって以来、Netflix配信ドキュメンタリー『Tiger King: Murder, Mayhem and Madness』(邦題『タイガーキング:ブリーダーは虎より強者?!』)はポップカルチャーで大きな話題となっている。このコンテンツの視聴者数が明らかになった。
ニールセンの計測値では、配信開始から10日以内のユニークオーディエンス数は約3400万人。これは米国のみの数字で、モバイル、タブレットやノートパソコンでの視聴は含まれない。同コンテンツは 3月20日に配信がスタートした。これはNetflix (NFLX)にとっては大きな数字だが、ニールセンによると『Stranger Things』(邦題『ストレンジャー・シングス 未知の世界』)シーズン3 が配信開始から10日間で獲得した3600万人(米国内)には及ばない。
Joseph Allen Maldonado-Passage、別名Joe Exotic (ジョー・エキゾチック)の人生を描く『Tiger King』は、過去数週間に配信されたコンテンツの中で大ヒットとなっている。ソーシャルディスタンスを確保するために自宅で過ごすオーディエンスを瞬く間に虜にし、オンラインでの話題、ミームや意見交換が盛んになっている。


Media Post (広告メディア専門ニュースサイト)
3月後半の2週間におけるストリーミング配信視聴時間がさらに上昇、シェアを伸ばす Netflix

COVID-19 感染拡大期間における視聴者行動を網羅したニールセンの最新ストリーミングテレビレポートによると、ストリーミング配信視聴時間は3月後半の2週間、大幅に上昇した。
同社の最新レポートから、総テレビ視聴時間に占めるストリーミング配信の著しい増加が明らかになった。ストリーミング配信のシェアは3月の第3週で24%、第4週は23%で、昨年同時期のシェアはそれぞれ14%だった。



Wall Street Journal (ウォールストリート・ジャーナル紙)
新型コロナの影響による消費減に伴い米 Facebook の広告料金もダウン

新型コロナウイルスは、Facebook Inc. の広告ビジネスにも影響を及ぼしている。
自宅で過ごす時間が増えた生活者によるソーシャルメディアの利用時間は増加しているが、消費の衰退を受けて企業は広告費を削減している。内情に精通した広告代理店の役員によると、Facebook はテレビコマーシャルに配分されていた広告予算の振替を提案するなど、広告費の獲得に奔走している。同社のプラットフォームでビジネスを行う複数企業の役員によると、同社広告枠のオークション価格は2月から3月にかけて大幅に下落した。


Motley Fool (金融・投資アドバイス企業)
インドで既に Netflix を踏み潰す Disney+


米Disneyの新しい動画配信サービス Disney+ (NYSE:DIS)は、また新たな記録を打ち立てた。
サービス開始から僅か 5か月、2週間前に欧州とインドでサービスをスタートした Disney+ は既に5000万人の加入者を獲得した。2か月前の加入者数は 3000万人。このニュースを聞いた投資家の動きにより、同社の株価は数時間後に7%上昇、Disney+ が様々な予測を「踏み潰した」ことを見せつけた。昨年 Disney+を発表した段階で、Disney は同サービスの加入者数は000万人から9000万人、利益が出始めるのは2024年と予測していた。エンターテインメント業界の巨人は年内に予測加入者数を獲得する見込みで、利益獲得も大幅に前倒しされることが予想される。経営するテーマパークの休館、ESPNで放送するスポーツコンテンツの欠落、ライブアクション映画やテレビ番組制作の休止、さらには映画館の休館など厳しい状況に追い込まれた同社にとって、Disney+ の成功は大きな恵となっている。
Disney+ の急成長で最も注目するべきは、同社にとって主力市場のインドにおいて、サービス開始1週間で800万人の加入者を獲得したことだろう。



Reuters (ロイター通信)
新型コロナのニュースを嫌う広告主、生き残りをかけて競い合うニュースメディア

Rupert Murdochが所有するNews CorpのNews UK から米国の出版社 McClatchy が発行するローカル紙に至るまで、ニュースパブリッシャーは記録的な読者数を獲得している。世界各地でロックダウンが実施される中、新型コロナウイルスのニュースを求める生活者が増えているため。しかしながら、多くのパブリッシャーは広告収入の大幅減少に直面している。企業がマーケティング予算を削減していること、さらには新型コロナ関連ニュースの隣に広告が掲載されることによるブランドイメージの悪化を恐れているからだ。

The Wall Street Journal (ウォールストリート・ジャーナル紙)
米におけるローカルテレビの視聴者数が増加、対して広告数は減少

新型コロナウイルス関連ニュースを求めてチャンネルを合わせるアメリカ人の増加に伴い、ローカルテレビ局の視聴者数が爆発的に増加している。しかし企業の広告予算削減により、収支は厳しくなることが予測される。テレビ局 17局を所有する Meredith Corp. のローカルメディアグループ担当社長、Patrick McCreery (パトリック・マクレアリー)は「視聴者数はかつてない程の高レベルだが、広告主は当社を含む多くの企業同様、厳しい経営状態に直面している」とコメント。

Hollywood Reporter (エンターテインメント業界ニュース)
米におけるテレビゲーム利用が 45%増

ニールセンのレポートによると、全世界における「stay at home」によってテレビゲームの利用が急増している。Nielsen Games は同社が毎月実施する Video Game Tracking 調査の一環として、フランス、ドイツ、英国および米国在住の個人3000人に対してアンケートを実施した。結果を見ると、自主隔離期間中での全体的なゲーム利用は大幅に増加、3月23日週における各国でのゲーム利用時間が増加した。最も増加が著しかったのは米国で+45%、次いでフランス(+38%)、英国(+29%)、ドイツ(+20%)。

Deadline (エンターテインメント業界ニュース)
スポーツ中継が見られないファンが視聴するコンテンツ

COVID-19 の影響により、スポーツ界では 1月以上前から暗いニュースが続いている。毎年3月から4月にかけて開催されるNCAA 男子バスケットボールトーナメントやNBA、NHL プレーオフの中止に加え、MLB 開幕の変更などが発表されているが、このような状況でスポーツファンは何を視聴しているのだろうか?
ニールセンは 4月16日に発表した最新レポートで答えを示している。 3月時点、スポーツファンが視聴しているのはニュースコンテンツ、映画やソーシャルメディア。熱烈なスポーツファンに特化すると、日曜日のリアルタイムテレビ視聴が 3月上旬から下旬にかけて24%上昇、SVOD視聴に至ってはほぼ倍となった。

MediaWeek (豪州 メディア業界誌)
豪州メディア、3月に新たなオーディエンスを獲得: ABC オーディエンス 50%増、Guardianはオーディエンス数は倍

ニールセンの デジタル広告視聴率(Digital Content Ratings)によると今年 3月、豪州のニュースパブリッシャーはトラフィックの急増を体験している。新型コロナウイルス以前では、1000万人を獲得することは記念すべき出来事だったが、最初にこの数字を達成したのは news.com.au。今年の3月期、パブリッシャー7社がユニークオーディエンス数 1100万人以上を獲得した。


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