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2019年9月23日-9月30日合併号


HIGHLIGHT


The Wall Street Journal (ウォール・ストリート・ジャーナル紙)

ニールセン、米ブランドセーフティ企業 OpenSlate の株式を取得
デジタルコンテンツの質の計測データを顧客に提供

アメリカのNielsen Holdings PLCはブランドセーフティ計測企業、OpenSlate(本社:ニューヨーク、CEO Mike Henry)の少数株を取得した。これにより、広告主にとって不適切な環境にデジタル広告が掲載されることを防いでいく。
ニールセンとOpenSlateは協業して、GoogleのYouTubeやFacebook Inc. などのプラットフォームで配信される動画の質に関するデータを広告主企業に提供する。
OpenSlateに対するニールセンの出資額は公表されていない。内情に通じた人物の情報によると、OpenSlateの企業価値評価額は1億ドル以上。
OpenSlateのプラットフォームは、YouTubeやFacebookで配信される動画の性質や品質に対する分析を提供している。分析にはコンテンツの内容評価に加え、特定の動画やチャンネルが広告掲載に適切かどうかという広告主企業の判断を支援するカスタム評価が含まれる。
より多くの時間をソーシャルメディアに費やしている顧客にリーチしたい広告主企業は、配信する広告が「安全ではない」コンテンツの隣に掲載されることを嫌い、避けようとしている。
今年の2月には、未成年の女性が登場する動画に対する不適切なコメント投稿を指摘したレポートにより、Nestlé SA、McDonald's Corp.やゲームFortniteのメーカーEpic Games Inc.などの大手企業がYouTubeへの広告掲載を中止した。 もっと見る



米FREEWHEEL、欧州向けOTT広告管理プラットフォームにニールセンデータを反映

アメリカのComcast 傘下で包括的な広告プラットフォームを提供するFreeWheel は、Nielsen Marketing Cloudとのパートナーシップをヨーロッパに拡張することを発表した。今後、Nielsenセグメントデータは、FreeWheelプラットフォーム内で、英国、フランス、イタリア、スペイン、ドイツの共通の顧客に提供され、大規模なオーディエンスターゲティングが可能になります。パブリッシャーは、OTTおよびデジタルビデオ全体のオーディエンスを分析、構築、ターゲティングが可能になり、広告主企業は新たなテレビフォーマットをまたいだオーディエンスデータや計測値を利用することができる。



世界最大級のマーケティング&コミュニケーション プレミアイベント
Advertising Week New York 2019から

意見を声に出す勇気を。メディア業界は耳を傾ける準備ができている。
ニールセン メディア部門CCO (最高商務責任者) Megan Clarken (メーガン・クラーケン)

メディアはその大きな力により、世界を変えることができるツールだ。認知の構築、さらにはエンターテインメントや教育を提供することで人々を助け、議論を呼び、固定概念を打ち破る手助けをする。その反面、誤った情報を流す、固定概念を強調する、あるいはスクリーンから特定の人々を排除するなどの行動により、悪用も十分に可能だ。
メディア業界の関係者が果たすべき役割や責任は、現在のメディアプラットフォームを良い方向に利用して、人々に最も勇気や力を与えるコンテンツを創造すること。これは正しいことであり、同時に賢明なことでもある。ニールセンのデータによると、18歳以上の女性によるメディア接触時間は、1週間当たり約73時間に達しており、同年齢の男性よりも5時間長くなっている。非営利のジェンダー研究組織、the Geena Davis Institute on Gender in Mediaが発行した2017年See Jane 100レポートを見ても、女性が主役の家族向け映画の興行総収益は男性が主役の同映画を38.1%上回っており、この傾向は過去4年間続いている。
メディアは長年、マスマーケティングの手段として利用されてきた。メディア業界は番組や広告など内容を問わず、テレビを視聴する生活者人口へのリーチに重点を置いてきた。しかし新たに登場したデジタルデバイスやプラットフォームによってオーディエンスは細分化され、生活者は視聴コンテンツを自らの都合や嗜好に応じて選び、意見を発信する権利を得ることとなった。生活者が自らの意見を声に出すことにより、過去には例のない新たな文化的変革が今、起きている。
ソーシャルメディアは、エンターテインメント業界における性的虐待や差別を訴える #MeToo というムーブメントのプラットフォームとなった。同時に様々なソーシャルプラットフォームにおけるプライバシー懸念により広告の在り方が問われ、広告主は広告を配信する上でより慎重に広告枠を選択し、消費者にとって自分事化される文脈を押えた広告環境を求めるようになった。さらにはフェイクニュースと呼ばれる虚偽報道により、最も尊敬を集めてきた企業に対しても不信の目が向けられるようになった。
多くの関係者がこれらの問題に固執しているが、これらの問題無くしてメディアの進化はなかったと感じている。これらの問題が引き起こした文化的変革の背後にある様々な意見により、メディア業界は誰の意見に耳を傾け、誰に対してコミュニケーションを行うべきなのか、熟考せざるを得なくなった。様々な意見を発する生活者は消費者であることから、文化的変革は消費者のニーズやウォンツを理解したい企業に貴重な機会をもたらしている。ブランドや広告主企業はアドレサブル広告などの新たなツールを利用してパーソナライズしたコンテンツを発信・伝播することで、より消費者に寄り添ったコミュニケーションが可能になるからだ。

多くの関係者が、メディアが現在直面している課題に真摯に取り組んでいる。The TimesUpムーブメントは、メディア業界で起きている差別や性的虐待に真っ向から対峙している。テレビネットワーク、制作スタジオ、そして個人までが業界全体に対し、自らの行動に責任を持つという自覚を促している。ソーシャルメディア企業は過去の欠陥を認め、大胆な施策を通じて改善を目指している。そして報道機関もスキャンダルや偏見を逃さず報道するという点においては、過去最高の仕事をしていると言えるだろう。
これらの行動は勇気を伴い、勇気には様々な形がある。人は誰しも勇気があり、今まさに人々の勇気が試されている。報道機関は勇気をもってニュースを発掘し、報道している。社会における問題の原因を特定し、声に出して指摘することも勇気だ。そして自らの行動の底にある真実に意義を唱える人に対峙する時も、勇気が必要となる。
業界関係者の勇気により、メディアはかつてないほどの力を持つようになった。業界で働く人々の忍耐力や受容性は高まり、人と人のつながりは強固になっている。クリエイティブなコンテンツはこれまでにないほど深化し、コンテンツを配信するチャネルも広がり続けている。そしてこのような変化の影響力を理解する上で欠かせない計測についても、かつてないほどの進化、拡大が進んでいる。
ニールセンは最近、the Geena Davis Institute on Gender in Mediaと協業して、同団体の 2018年See Janeレポート用にアメリカにおけるテレビ視聴率データを無償で提供した。毎年発行される同レポートは興行収益が最も高い家族向け映画の登場人物の性別と人種を調査し、映画での性別表現と現実のギャップや進歩を明らかにしている。ニールセンは同レポートを支援することで、メディアにおけるインクルージョンの拡大を呼びかけている。
2018年See Janeレポートでは同団体が調査を開始して以来、初となる事象が確認された。2018年に放送された2歳から13歳までの子供を対象とした視聴率トップ50 の番組を分析した結果、女性と男性の登場人物それぞれのスクリーン登場時間と台詞を喋っている時間が同等となり、登場人物の性別比率でも女性が男性とほぼ同等となった。
これは、メディアにおける女性表現が男性を下回ることを指摘した勇気ある女性(および男性)の功績だ。メディアにとっては大きな一歩かもしれないが、問題はまだ山積みだ。
世界経済フォーラム(the World Economic Forum)が発行した世界男女格差に関するGlobal Gender Gapレポートによると、女性の収入は平均で男性の68%にしか過ぎない。家庭内に目を向けると、女性は未だ大方の家事をこなしている。メディアでの性別表現でも、Geena Davis Instituteのデータによると男性と女性の主役数、スクリーン登場時間や台詞を喋っている時間の比率は2対1で男性が女性を上回っている。
これらのデータが示唆するのは、我々全員が勇気を出して、内なる声を認識することが必要だということ。ニールセン グローバルメディア部門の CCO (最高商務責任者)として、私は常に職場の性別比率を問い、進歩的な計画策定をお願いしている。私が問いを声に出すことで、それが職場全体に広がると信じているからだ。結果として、過去に起きたことに対する女性の意見が増え、インクルージョンを求める声の広がりを肌で感じている。
意見を持っていたとしても、声に出さなければ周りには伝わらない。だから皆さんも勇気をもって意見を声に出して欲しいと思う。メディア業界は関係者の努力と勇気により、様々な意見に耳を傾けられるようになったのだから




INDUSTRY NEWS

The Wall Street Journal (ウォール・ストリート・ジャーナル紙)
米AT&T、DirecTVの分離を検討
近い筋の情報によると、アメリカの大手情報通信・メディアコングロマリットのAT&T Inc.は、2015年に買収が承認されたDirecTV事業部の分離を検討している。この動きは490億ドルを衛星テレビ放送プロバイダーに投じてビジネスの柱にするという AT&TのCEO (最高経営責任者)、Randall Stephenson (ランダル・スティーブンソン)が描いた戦略に逆行する。
AT&TはDirecTVを新たな上場企業として分離する、さらにはDirecTVの資産を同社の競合となるDish Network Corp.に組み入れるなど、様々な選択肢を検討している模様。
生活者の有料放送離れによりDirecTVの業績は芳しくないものの、同事業部は相当のキャッシュフローや顧客アカウントを親会社のAT&Tにもたらしていることから、分離は実現しない可能性がある。

Variety (エンターテインメント業界誌)
ニールセン、芸能人による出演番組のソーシャル投稿トラッキングを開始
ニールセンは、芸能人やタレントによる出演テレビ番組のソーシャルメディア投稿のトラッキングを新たに開始する。
ニールセンは、同社が提供するSocial Content Ratingsソリューションにタレントによるテレビ番組に関するソーシャル投稿の計測が加えられると発表。対象プラットフォームはTwitter、FacebookとInstagram。同社のデータによると、現在テレビ番組に対する全ソーシャルエンゲージメントの60%を牽引しているのはタレントによる投稿で、テレビネットワークや番組アカウントからの投稿の合計よりも大きい数字となっている。



Forbes (経済誌)
ビッグデータとAI、従来のデベロッパーを絶滅に追い込む?
アメリカのカリフォルニアを拠点とするSumo Logicは、マシンデータ解析をクラウドネイティブサービスとして提供するプラットフォームを構築するというビジョンの下、自称「データオタク」達によって2010年に設立された。
同社のビジョンは正しかった。現在、Sumo Logicが日々分析するデータ量は100ペタバイト超(1ペタバイトは1000テラバイト)。同社のプラットフォームは日々3000万件以上の検索を行い、500兆件以上のレコードクエリを処理している。


The Verge (技術系ニュースサイト)
米Huluを窮地に追い詰める可能性を持つ米NBCUniversalの新動画配信サービス
9月17日、アメリカのメディア・エンターテインメントグループNBCUniversalは同社がサービスを開始する新動画配信サービスの名称、Peacockを発表した。「The Office」や「Parks and Recreation」などのオリジナル番組と共に提供を開始するPeacockは、WarnerMedia、Disney、AmazonやAppleなどエンターテインメント業界の最大手企業が熾烈な争いを繰り広げる動画配信市場に参入する最後発サービスだ。
Peacockの最大の魅力は番組ラインアップ。サービス開始と共に「30 Rock」(邦題「30 Rock/サーティ・ロック」)、「House」、「Keeping Up with the Kardashians」(邦題「カーダシアン家のお騒がせセレブライフ」)に代表される1990年代から2000年代に視聴者に愛されたテレビ番組の配信がスタートする。これらの番組を配信サービスで現在視聴している人は、おそらくHuluを利用しているだろう。Huluが配信するNBCUniversalの番組の一部は引き続き配信されるが、残りはPeacockの独占配信となる見込みだ。業界でライセンスされたコンテンツが枯渇する中、WarnerMediaとDisneyは自らのスタンドアローンサービスの導入に伴い、自社番組の一部をHuluから引き上げることが予想される。同じ番組をより安い料金で視聴できることは番組ファンにとっては嬉しいニュースだが、既存の動画配信サービスにとっては大きな問題となる。特にHuluは今後生き残りをかけて、抜本的な改革を強いられるだろう。



The Wall Street Journal (ウォール・ストリート・ジャーナル紙)
米Google、EUでの「忘れられる権利」訴訟で勝利
Alphabet Inc.が所有するGoogleは9月24日、欧州連合(EU)規制当局との訴訟で勝利を収めた。新たな司法判断により、「忘れられる権利」の遂行がEU圏外で強制されないことになった。
欧州司法裁判所は EU圏外でGoogleのサーチエンジンが利用された場合、同社はEUが定める「忘れられる権利」と呼ばれる検索結果の制限義務に従わなくてもよいという判断を下した。ただし、特定の場合においてはEUの規制当局が「忘れられる権利」の遂行義務を命令する可能性は残されている。



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