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2019年5月6日号

INSIGHTS

ブランド担当マーケター必見のAR情報 ~ARはデータで世界を「見える化」する

新たなテクノロジーに共通することは、世の中で認められるまでに一定の時間がかかること。カラーテレビやパソコン、さらには現代の生活には欠かせなくなったインターネットですら、メディアに接触する一般大衆に浸透するまでには数十年もの時間を要した。

AR(Augmented Reality、拡張現実)と呼ばれる新テクノロジーは、著しい成長を遂げている。XR (X Reality、クロスリアリティ)専門家兼ライターのCharlie Fink(チャーリー・フィンク)によると、AR によって世界はデータで「見える化」される。同氏とXRリサーチャーのStephanie Llamas (ステファニー・ラマス)は、ARを「カメラのレンズを通じて目に入る、またスクリーン上で視聴される現実世界に対し、シミュレートされたデジタルイメージがオーバーレイ、あるいはミックスされた状態。(ユーザーによって)グラフィックが現実世界の環境とインタラクション可能な世界」と定義している。ARの体験はヘッドセット、メガネ(グラス)やモバイルデバイスで可能だが、モバイルデバイスにおけるARはメディア環境に変化をもたらしている。

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モバイルARは既に10億人以上のスマートフォン利用者によってアクセスされ、2019年末には利用者数が14億人に達する見込みだ。ARテクノロジーの昨年の年間売上は18億ドルを記録、今年の推定年間売上はその倍と言われている。 XRのソフトウェアプラットフォームで最も売上が高く、最大のリーチを誇るモバイルARは業界に革命を起こし、将来的にVR(Virtual Reality、仮想現実)、ARメガネやMR (Mixed Reality、複合現実)の普及を後押しする実りの多いゲートウェイとして期待されている。

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最も利用されているモバイルARコンテンツ作成用ツールはiPhoneのAR機能、ARKit、アンドロイド対応ではARCore。真っ先にリリースされたARKitは先行者利益によって最大のオーディエンス数を獲得、2018年末の月間UU 数は1億1200万人、対して同時期のARCoreの月間 UU 数は5300万人。ARKitで作成されたアプリ数は約3000、ARCoreで作成されたアプリ数は500超。上記以外で注目に値するツールはVuforia (ARアプリの作成が可能なSDK)、8th Wall (モバイルウェブ用AR体験作成ツール)、そしてSumerian(Amazon AWSで提供されるAR/VR用ツール)。

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急速に成長するAR業界に対し、ブランドも注目し始めている。Ikea、Wayfair、Sephoraや Anthropologieは真っ先にAR を採用、リテール用テクノロジーへの活用を検討している。リテールに限らず、ブランドはARを様々な方法で活用することで、ブランド好意度を向上することができる。例えばMLB のAt BatアプリはARレンズを通じてファンにリアルタイムデータを提供することで、ファンのMLB体験を強化している。ゲーム『Pokémon GO』にARテクノロジーを搭載したポケモンは、最も分かりやすい事例だろう。他のゲーム会社も追加コンテンツを作成してARに対応しており、RiotはLeague of Legends World Championshipの試合中継にAR効果を導入した。

残念なことは、ARの活用がまだスタンドアローンアプリに限定されていること。Amazonや Facebookは通常アプリへのアドオンとしてAR機能を搭載しているが、ARを利用するためにはアプリのダウンロードが必要なケースもある。生活者がAR搭載のブランデッドコンテンツを利用するためには自発的な行動が必要となるが、これは広告を嫌うオーディエンスにとっては受け入れ難いだろう。

ARを活用したいブランドにとって、同テクノロジーのクリエイティブな利用の検討に加え、オーディエンスの属性、モバイルデバイスの利用実態、新たなテクノロジーの利用意向など、ARオーディエンスを特定、把握することが重要となる。

モバイルAR利用者の5人中3人はミレニアル世代で、18歳から35歳の利用者においては女性比率が高くなっているが、35歳以上の40%もモバイルAR コンテンツにアクセスしている。オーディエンスは多様だが、成人のモバイルAR利用者の平均年齢は非利用者よりも13歳若い(モバイルAR利用者の平均年齢は33歳、非利用者は46歳)。最も利用されているモバイルAR アプリランキングの上位にソーシャルメディアが並んでいる理由はここにある。モバイルARオーディエンスによるARアプリや機能の平均利用時間は約30分で、利用頻度は平均で週に最低2回。リーチするオーディエンスの増加に伴い、モバイルARへの興味・関心も高まっている。ブランドにとっては、ARはターゲットが明確にされた魅力的で独自のブランド体験の提供を可能にし、目立ちやブランドに対する好意的な感情を獲得する機会をもたらす。この機会を活かすためには、ブランドにとって理想とするARの活用方法を見出すことが大事だ。AR を最も効果的に活用するためには、コンテンツ制作やARの活用に関するベスト・プラクティスを把握し、学びを得ることが鍵となるだろう。




INDUSTRY NEWS


Media Daily News (Media Post 掲載記事)
ARF Conference現地レポート
ニュージャージー州ジャージー・シティ発 -- 広告・メディアの非営利業界団体 The Advertising Research Foundation (ARF)が毎年主催する Audience x Science Conference では幅広いトピックスのプレゼンテーションが行われ、リサーチャーにとっては色々と考えさせられる内容だった。開幕にあたり、ARF のプレジデント兼CEO、Scott McDonald (スコット・マクドナルド)が全メディアプラットフォームで共通となる、独立したサードパーティによる計測の重要性を強調した。さらにはクロスメディア計測などの共通計測を実現することで、業界全体が求めている透明性、アカウンタビリティや非重複リーチが提供されるという考えが示された。 もっと見る


Media Post (広告メディア専門ニュースサイト)
主要広告指標に目立った変化をもたらすポッドキャスト

マーケターにとって、多様化する予算をポッドキャストに配分するのは効率的か、という質問に対し、ニールセンの新たな調査が示す回答はイエスだ。4月15日と16日の2日間、ジャージー・シティで開催されたARF主催Audience x Science イベントにて、ニールセンのクライアントコンサルティング担当 VP、Chris Peck (クリス・ペック)とiHeartMedia のリサーチ担当 SVP、David Shiffman (デビッド・シフマン)によるポッドキャスト広告に関する新たな調査データのプレゼンテーションが行われ、ポッドキャストは広告メッセージの配信には効果的な媒体であることが示唆された。ニールセンの調査によると、ポッドキャスト広告はブランド認知、広告想起、好意度、推奨や購入意向などの主要ビジネス指標の改善に寄与している。同データは、過去1年半に渡って実施されたカスタム調査50件の結果を反映している。 もっと見る


CNBC (経済ニュース専門チャンネル)
米Facebook、Amazon AlexaやApple Siriに対抗する音声アシスタントを開発

近い情報筋によると、FacebookはAmazonのAlexa、AppleのSiri、GoogleのGoogle Assistantに対抗する音声アシスタントを開発している。開発は同社の長期テクノロジープロジェクトやVRヘッドセットOculusを含むハードウェアを担当する部門が行っている。ワシントン州レッドモンドを拠点とするチームが、新規 AIアシスタントの開発を主導している。 もっと見る


Media Post (広告メディア専門ニュースサイト)
依然としてテレビが主役の米アップフロントに入り込むデジタルメディア
今年のテレビアップフロントでは、多くのデジタル動画アプリやプラットフォームが影響力を強めようと画策することが予想される。しかし大幅な予算配分の変化など、多くは望めないというのが大方の見方だ。
デジタルメディアプラットフォームがアップフロントで取引されるテレビ予算の一部を獲得する方法について、MediaCom NAのマネジングディレクター兼チーフデジタル&インベストメントオフィサー、Steve Carbone (スティーブ・カーボン)は「リニアテレビの予算を奪うという発想ではなく、クライアントのリニアテレビ予算を支援し、最大化するというアプローチが必要」とコメント。
デジタル動画プラットフォームに関して、同氏は独自のサービス、特別なコンテンツとの相乗効果、イノベーション、カスタマイゼーションやデータに加え、マーケターのビジネス成長を支援する KPI の提供が必要という見解を示した。 もっと見る


CNBC (経済ニュース専門チャンネル)
米Amazon、動画と音楽コンテンツに年間70億ドルを投資する見通し

Amazonは4月26日、2019年第1四半期(1-3月期)における動画、音楽コンテンツへの支出額は投資家の事前予測を上回る17億ドルと公表した。
同社の四半期財務情報によると、Amazonのプライム会費に含まれている動画や音楽への投資額は前年の15億ドルから13%増加。このペースで行くと、年間70億ドルの投資が見込まれる。 もっと見る


NBC News (NBCニュース)
米ニールセン、LGBTQ の視聴習慣トラッキングを開始

ニールセンは長年に渡り、アメリカの世帯におけるテレビの視聴習慣のトラッキングを行ってきた。100年近い歴史を誇る同社は先頃、同性同士の世帯における視聴習慣に特化した新たな計測指標を導入した。
ニールセンと共に新計測指標を開発したLGBTQメディアの権利庇護団体GLAAD のチーフプログラムオフィサー、Zeke Stokes (ジーク・ストークス)は「新たに発表された計測値によって、LGBTQ番組は相当のオーディエンス数を獲得していることが示された」とコメント。また同氏はニールセンの新たなデータにより、テレビネットワークや広告主企業がLGBTQ番組に投資する金額が「ビジネスにとって重要だと理解することができる。視聴者には、自らの在り方が投影された番組を長期に渡り、視聴する権利がある」と述べた。 もっと見る


AdAge (アドバタイジング・エイジ誌)
デジタルパブリッシャーの成熟と共に境界線が薄れる米ニュースフロントとテレビアップフロント

ニュースフロントでプレゼンテーションされた内容の多くは、2週間後に行われるテレビアップフロントで繰り返されるだろう。
2019年デジタルコンテンツ・ニューフロント(Digital Content NewFronts)のテーマは、聞き覚えがあるものばかりだった。デジタルパブリッシャーは皆、しきりにブランドセーフティ、オリジナル番組やスケールについて熱弁をふるっていた。
OMDのチーフトランスフォーメーションオフィサー、Ben Winkler (ベン・ウィンクラー)は、これらのテーマは今月中旬に開催されるテレビアップフロント(TV Upfronts)で繰り返されるという見方だ。テレビアップフロントとは、テレビネットワークが新番組や広告メニューを広告主やメディアバイヤーにプレゼンテーションする業界イベント。同氏は「2019年は、ニューフロントとアップフロントのテーマが同一化する初めての年になるだろう。これはニューフロントが成熟した証」とコメント。 
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CNBC (経済ニュース専門チャンネル)
2019年初、Netflix の倍の加入者数を米国で獲得した Hulu

アメリカのHuluが発表した加入者数によると、同社は2019年に入ってからNetflixが第1四半期(1-3月期)に獲得したアメリカでの加入者数の倍を獲得したことになる。
5月1日、ニューヨークで行われたHuluの広告主向けプレゼンテーションによると、同社のアメリカにおける現在の顧客ベースは2800万人の会員から成り立っており、1月に発表された 2500万人から増加した。2800万人の内、2680万人は有料会員で130万人が無料トライアルなどの販売促進アカウント保有者。 もっと見る

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