INSIGHT
ミレニアル世代をエンゲージするデジタルパブリッシャーの最先端コンテンツ
テキストや動画に代表されるデジタルコンテンツの増加により、生活者が最新ニュース、スポーツハイライト、最新ファッショントレンドや料理レシピなどあらゆる情報を提供するメディアへの接触、関与方法が変化している。同時にメディア企業にとって、デジタルパブリッシングは消費者と強い結び付きを構築する手段となった。ニールセンの Digital Content Ratings (DCR)計測データによると、毎月お気に入りのサイトを訪問する視聴者の半数以上は同サイトを毎週訪問している。
デジタルコンテンツクリエイターやパブリッシャーにとっては、オーディエンスエンゲージメントの実態を広告主や広告代理店に対して正確に、説得力をもって提示することが長年の課題となっていた。ニールセンの DCR は複数のデジタルコンテンツタイプやデバイスをまたいだ視聴計測を行っているため、デジタルパブリッシャーは長尺動画からクリップに至るまで、自らのオーディエンスの日々のエンゲージメントへのインサイトを把握することが可能になる。このインサイトこそ、長年パブリッシャーが自社コンテンツに対する消費者のエンゲージメントを実証する上で必要とされていた情報だ。パブリッシャーが分散戦略を採用し、自社が保有・運営するメディア以外の主要プラットフォーム(例 Facebookなど)を活用する分散型メディアへと変貌する上で、DCR から得られるインサイトは必要不可欠となる。DCRは分散して配信されたコンテンツをメディア、プラットフォームを跨いで集計し、デジタルコンテンツ消費の全貌をレポートする。これからはデジタルエンゲージメントを把握するためには、今や自社メディアのリピート訪問を計測するだけでは不十分だ。
生活者によるデジタルコンテンツとのエンゲージメントを深堀するために、ニールセンは主要パブリッシャーと協業して日々コンテンツに接触するオーディエンスのエンゲージメント計測を実施した。初の試みとして、テレビオーディエンス計測で使用される指標と単純比較可能な指標を採用し、デジタルコンテンツに接触する消費者のイメージをつなぐことで全体像を明らかした。以下、各パブリッシャーが獲得しているアメリカの生活者の実像をまとめた。
BUZZFEED
アメリカを代表するメディア企業、BuzzFeed はテクノロジーを駆使してクロスプラットフォームニュースやエンターテインメントネットワークを運営している。同社の投稿や動画コンテンツは、特にミレニアル世代(テレビ局や広告主が最も獲得したい 18歳から 34歳の男女)に支持されている。ミレニアル世代が毎月視聴する BuzzFeed の動画数は平均 38本、レシピや料理方法など食に特化した SNS、Tasty を含む人気コンテンツのラインアップは同世代のロイヤルティを獲得。全ミレニアル人口の 83% に毎月リーチしているというデータは、同社のコンテンツ戦略が上手く機能していることを示している。

GROUP NINE MEDIA
最大級のメディア企業の 1つで傘下に Now This (デジタルニュース)、The Dodo (動物コンテンツ)、Seeker (科学、テクノロジー、カルチャーニュース)、Thrillist (食、旅行、エンターテインメント情報)をおさめる Group Nine。発足は約 1年前と比較的新しいメディアだが、ソーシャル動画領域では既に存在感を発揮している。様々なサイトを運営していることから動物ファン、ライフスタイル重視層、ニュース・情報マニアという特性のオーディエンスを獲得している。オーディエンスのエンゲージメントレベルは非常に高く、保有する 4つのブランドが提供するコンテンツの総視聴時間は 100億分。特に若年層とのエンゲージメントが高く、アメリカの 20代人口の 81% へのリーチを誇る。広告主にとって、同社が保有するメディアチャネルは若年層とつながる上で強力な手段となる。
MIC
近代的かつ多様な視点でのニュース報道をモットーとする Mic は、ジャーナリズムやストーリーテリングに新鮮なアプローチを取り入れている。月間ユニーク視聴者数は 4,000万人以上、Mic が発信するストーリーは若いニュースフォロワーやファンを魅了し、アメリカ在住の 21歳から 34歳までの男女の 25% 以上へのリーチを獲得している。Mic に掲載される動画のオーディエンス男女比率は男性 42% に対し、女性が 56% と女性寄り。
REFINERY29
女性をターゲットとした大手デジタルメディア&エンターテインメント企業、REFINERY 29 はファッション、美容、エンターテインメントやマネーなどのカテゴリーで様々なストーリーを発信している。同社の動画およびテキストコンテンツのリーチは 18歳から 34歳の女性人口の 62% に達し、21歳から 24歳の女性においては 88% と突出しているため、オンライン・オフラインの両方で若い女性の獲得を目指す広告主にとっては絶好のメディア。
VIX
多文化という特色を持つデジタルメディアブランド、VIX はライフスタイルに関するヒント、ソーシャル動画、エンターテインメント、食、ライフハックコンテンツでミレニアル世代を中心とするオーディエンスを獲得している。オーディエンスの女性比率 62% が示すように、最もエンゲージメントの高いオーディエンスは消費者向けブランドが狙うミレニアル世代の女性。2か国語(英語、スペイン語)対応のコンテンツを発信する VIX は、アメリカ在住の 18歳から 49歳までの成人女性の 40% 以上にリーチできるメディア。
INDUSTRY NEWS
The Wall Street Journal (ウォールストリート・ジャーナル紙) 計測サービスによって異なるデジタルコンテンツの数値 ソーシャル動画でリーチするオーディエンスは総オーディエンス数に反映されていないという媒体社の主張
広告売上を獲得したいデジタルパブリッシャーが動画に寄せる期待は大きい。しかし多くのパブリッシャーは、従来のデジタルメディア計測が現状に追いついていないと感じている。パブリッシャーが所有するウェブサイトのオーディエンス比較を可能にする「ユニーク訪問者数」は、広告主に提示する指標として長らく利用されてきた。コンテンツがSNSやその他オンラインプラットフォーム上で拡散される現在、一部のメディア企業は「ユニーク訪問者数」は時代遅れになりつつあると指摘している。
BuzzFeed、Mic、PopSugarなどのパブリッシャーはFacebookやInstagramに代表されるSNSに直接動画を投稿することで、SNSが誇る膨大なリーチとスケールを上手く利用している。ソーシャル動画のオーディエンスが必ずしもパブリッシャーのウェブサイトを訪問するとは限らないため、パブリッシャーのソーシャル動画オーディエンス数はそのパブリッシャーのユニーク訪問者数に含まれていない。
Micの社長、Jonathan Carson (ジョナサン・カーソン)は「ユニーク訪問者数という計測指標は今までは有効だった。しかし過去7年を振り返ってみると、デジタルメディアはより分散化している」と指摘する。
ユニーク訪問者数をベースラインとして評価する広告主に対し、パブリッシャーは常々、同指標は全オーディエンス数を網羅していないと主張してきた。昨年、メディア企業はソーシャル動画への投資を積極的に行ったことから、この議論は転換点に達したと言えるだろう。2017年下期(7月-12月期)の月間ユニーク訪問者数が低下したBuzzFeedとMicを含む多くのパブリッシャーは、ユニーク訪問者数はオーディエンス総数を表していないと声高に訴えている。
BuzzFeedのリサーチ&インサイト担当 VP、Edwin Wong (エドウィン・ウォン)は「BuzzFeed の最も熱烈なファンは日々サイトやアプリを訪問していることから、決してサイトやアプリに対するエンゲージメントを否定しているわけではない。しかしながら、我々はSNSなど生活者が時間を費やすメディアへの露出確保に向けて様々な調整を行ってきた」と語る。
この議論に対し、2大デジタル視聴計測企業が与える影響は大きい。ComScoreは同社の製品、Media Metrix Multi-Platform を駆使して月間ユニーク訪問者数順にメディア企業をランキングしている。計測対象はウェブサイト、動画とアプリのオーディエンス数だが、BuzzFeedやMicの役員が話す通り、SNSとウェブサイトをまたいだリーチは計測されていない。両方のパブリッシャーが特に懸念するのは、comScoreはFacebook に直接投稿した動画の視聴者数をトラッキングしていないという点だ。Facebook に投稿した動画の視聴者数は、それぞれのパブリッシャーの総オーディエンス数において大きな比率を占めるからだ。
一方、テレビオーディエンスの計測で知られるニールセンは、2016年にモバイルアプリ、ウェブサイト、Facebookを含むSNSに掲載される動画とテキストコンテンツのオーディエンスを計測するDigital Content Ratings(デジタルコンテンツ視聴率=DCR)を発表した。
ニールセンによると、Facebook社との提携により同サービスはFacebookに直接投稿された動画の視聴者数をトラッキングすることが可能だ。Facebookはニールセンの計測システムを動画プレイヤーに組み込んでおり、計測された視聴者データやメタデータはニールセンのサーバーに送信される仕組みだ。
一部のケースでは、ニールセンがデジタルパブリッシャーに提供する Digital Content Ratings計測オーディエンス数はcomScoreのMedia Metrix Multi-Platform 計測数を大きく上回っている。Micの 10月度リーチはcomScore計測値では1,190万人、対してニールセンの計測値では4,000万人。PopSugarの同時期のリーチはcomScore 計測値 3,400万人、ニールセン計測値は 8,000万人だ。 BuzzFeedのWong 氏の弁では、ニールセン計測値はcomScore 計測値の約2倍となっている。
ニールセンの製品リーダーシップ担当SVP、Jessica Hogue (ジェシカ・ホーグ)によると 2016年に発表されて以来、ニールセンのDigital Content Ratingsは35社以上の顧客企業が所有する60以上のデジタルブランドで利用されている。同製品は「SNSのフィードにコンテンツを配信するパブリッシャーのニーズを満たすよう、設計されている」。
PopSugar のCRO(Chief Revenue Officer、最高売上責任者)、Geoff Schiller (ジェフ・シラー)は「Facebook やInstagramを含むソーシャルプラットフォーム上のオーディエンスはデジタルパブリッシャーのみならず、パブリッシャーの広告主にとっても極めて重要」と語る。
アメリカの大手テレビネットワークCBSの最高経営責任者(CEO)、Les Moonves (レス・ムーンヴェス)は11月3日午後(現地時間)に行われた同社の投資家向け収支報告の際に、2017年のアップフロント交渉でニールセンのTotal Audience Measurementが重要な役割を果たすことを期待するコメントを出した。「トータルオーディエンス視聴率は、CBS が放送する番組がリーチする視聴者数に対する正当な対価を得るための重要なステップとなる。視聴習慣の変化を踏まえ、今後は大きな対価が期待できるだろう。」 もっと見る
Adweek (アドウィーク誌) インフォグラフィック: LGBTQ をテーマとする広告、消費者のイメージや反応は? 社会におけるマイノリティグループを広告テーマとする場合、真の代表性の表現とマイノリティの利己的な利用の違いは紙一重だ。多くのブランドはリスクを恐れてこの領域を敬遠し、一部のブランドは「政治領域」に足を踏み入れることで顧客を失うことを恐れる。時代は大きく変わり、一般大衆は広告で LGBTQ (レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、クエスチョニングまたはクワイヤー)が描かれることに対して心の準備ができており、広告を掲載するブランドに対しても LGBTQ を扱うことを望んでいる。アメリカのゲイのソーシャルネットワーク Hornet はニールセンに対し、800人を対象とした LGBTQ 広告影響度調査を依頼、素晴らしい結果を得ることとなった。Hornetの社長兼共同創業者、Sean Howell (ショーン・ハウウェル)は「LGBTQ コミュニティは広告を実施する企業にとって、理想的な消費者デモグラフィック属性を持ち合わせている。今回実施した調査が LGBTQ に関する企業マーケティングや広告宣伝の向上につながることを期待している。調査を通じて企業にとっての損失機会、そして正当な広告を制作することでROI の向上につながる領域が明らかになった。調査対象となった広告キャンペーンは皆、LGBTQ消費者に直接メッセージを発信している。LGBTQに対するメッセージを通じてブランド認知が高まり、最終的には LGBTQ コミュニティの買物習慣にも影響を及ぼすだろう」とコメント。
Broadcasting & Cable (地上波・ケーブルテレビ業界誌) CES 2018:OTTテレビサービスが提供する「オファーサーフィン」問題が深刻化 新たに登場した仮想MVPD (マルチビデオプログラミングディストリビューター、有料放送サービス)により、番組編成者は新たなオーディエンス獲得手段を得ることとなった。しかしこれらのMVPD が提供する「無料お試し期間」により、消費者が短期間でプロバイダーを切り替えられることが問題視され始めている。1月8日に行われた「The Disruption of Internet TV Programing Everywhere」(インターネットテレビにおけるディスラプション)セッションにて、Fox Networksの配信担当SVP、Sherry Brennan (シェリー・ブレナン)は「オファーサーフィン」と呼ばれるこの現象について、「時間をかけて解決するべき緊張を引き起こしている」と発言した。同氏はまた、このようなオファーがプレミアムコンテンツ=無償という意識を消費者に植え付ける可能性があると指摘した。Dish Networkの先端動画製品担当ディレクター、Mitch Weinraub (ミッチ・ワインローブ)によると、オファーサーフィン自体は新たな現象ではなく、長期加入を前提とした従来のMVPD市場でも見受けられ、2年単位で発生していた。同氏のDishでの役割はコードカッター向けAirTV OTT/OTAコンボ製品の開発と導入。同製品はSling TVサービスを統合することが可能。 もっと見る
Bloomberg (経済情報・金融ニュース) 米Google、YouTube プレミアム動画コンテンツの検査を計画 内部情報筋によると、アメリカのGoogleは同社の主要広告主企業向けにバンドルするYouTube動画を厳密に検査する計画を推進している。広告主のブランドメッセージの近くに不適切な動画コンテントが流れる、という懸念の再燃に対応することが狙い。検査は高い広告料金が適用される人気の高い YouTubeチャンネルを集めたGoogle Preferredの一部の動画に対して行われる予定。情報は匿名で提供された。 もっと見る
Wired (最新テクノロジーニュース、未来トレンド) テレビの未来は「スクリーン」一辺倒 AR、自動運転車、そして常識の限界に挑戦するかのような機能を搭載した冷蔵庫など、テクノロジー業界では様々な実験的試みが行われているが、CES の主役はあくまでもテレビ。ここラスベガスでは、すべてがビッグスクリーンを中心に回っている。2018年に発表されたラインアップは、メーカーが数十年かけてたどってきた道のりの延長にあるが、スクリーンのサイズは大きく、映像はさらに鮮明になり、目にしたことがない新たな略語が溢れ、今年こそは消費者に新たなテレビセットを買ってもらいたい、というメーカーの意気込みが感じられる。テレビの買い替えを検討しているかどうかはさておき、今年の CESで発表されたテレビは例年にも増してテクノロジー業界の現状を明快に反映している。テレビはもう、一昔前のテレビではない。2018年のテレビはスマートホームのハブであり、仮想アシスタントへのアクセスポイントであると同時にゲーム機かつ強力なコンピューターでもある。テレビが他のガジェットの機能を搭載してきたように、電話やコンピューターもテレビの機能を搭載し始めている。今日手に入るデバイスは全てネット接続が可能で仕事、ゲームやエンターテインメントに対応する機能を持ち合わせており、テレビとガジェットの境界線が薄れてきた印象を受ける。これからのガジェットはすべてスクリーンであり、様々な形やサイズのテレビなのだ。 もっと見る
|