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ニールセンの トータルオーディエンス計測、米テレビネットワークの視聴者数増を計測
トータルオーディエンス計測を通じて CBS、TBS及び ESPN の視聴者数増が明らかに
テレビネットワークのアップフロントシーズンが迫る中、大手データ計測企業のニールセンは 4月18日火曜日(現地時間)、年次プレス報告会を the W New York – Union Square ホテルで行った。報告会は同社の役員によるメディアエコシステムの現状についての説明から始まり、その中でコネクテッドデバイスの普及がテレビ視聴率に与える影響についても話が及んだ。その後、同社のトータルオーディエンス計測(Total Audience Measurement)フレームワークに関するディスカッションが行われた。
前半のメディアエコシステムの現状について、ニールセンのクライアントソリューションズ&オーディエンスインサイト担当 EVP、Sara Erichson (サラ・エリクソン)から様々なプラットフォームにおけるメディア接触の増加傾向についての説明があった。2002年、アメリカ在住の平均的な成人の1週間当たりのメディア接触時間は約 50時間で、接触メディアは主にテレビか VCR だった。対して 2016年のデータでは同メディア接触時間は約 80時間にまで増加し、増加を牽引しているのはタブレットやスマートフォン、デスクトップ PC でのコンテンツ視聴だ。
同氏は説明の中で録画視聴データの重要性について触れ、テレビ番組視聴計測指標が +35日にまで延長されれば視聴率の大幅な増加につながることを指摘した。
重要なトピックとして、OTT(Over-the-Top)が挙げられた。ニールセンのデータによると、アメリカにおけるテレビ保有世帯の 56% はストリーミングサービス、インターネットに接続されたゲーム機、またはインターネット接続スマートテレビを利用している。
ストリーミングサービスの利用に目を向けると、1月中旬から 2月中旬までの 5週間におけるストリーミング視聴時間の 46% を占めたのは Netflix、次いで YouTube (15%)、Hulu (8%)、Amazon (4%)、その他。
ニールセンのプロダクトリーダーシップ担当 EVP、Jessica Hogue (ジェシカ・ホーグ)が後半のトータルオーディエンス計測フレームワークの説明を担当した。同フレームワークにはこのところ話題となっている Total Content Ratings (TCR)指標が含まれ、同指標はニールセンの 4つのソリューションから得られるデータの組み合わせとなっている。4つのソリューションとはニールセンのテレビ視聴率、VODコンテンツ視聴率、デジタルテレビ視聴率、そしてデジタルコンテンツ視聴率(DCR)。
ニールセンによると、直近の四半期における CBS のエンターテインメントテレビ番組シリーズの「ライブ+35日」ベースの視聴者数はほぼ 1340万人で、これは「ライブ+同日」ベースの平均総視聴者数の 54%増、「ライブ+7日」ベースの平均総視聴者数からも 15% アップした数字だ。
最も視聴されているコメディ番組、「The Big Bang Theory」(邦題 ビッグバン☆セオリー ギークなボクらの恋愛法則)についても「ライブ+同日」と「ライブ+35日」の視聴者数を比較すると、67% 増となった。他の人気番組についても、TCR指標では「NCIS」(邦題 NCIS ~ネイビー犯罪捜査班)の視聴者数が 43% 増、2016年シーズンから始まった新番組シリーズ「Bull」の視聴者数も 56% 増という結果になった。
ニールセンの Total Content Ratings によると、TBS の「People of Earth」や「Search Party」を含むTime Warner 傘下のケーブルテレビ局、Turner の一部の番組シリーズは時間の経過と共に VOD 視聴が伸びる傾向にある。「ライブ」や「ライブ+3日」視聴者に比べて VOD 視聴者は年齢が若く、収入も高いという特徴があることから、Turner にとっては良い兆候と言えるだろう。
また、ニールセンが新たに発表した家庭外全国視聴報告サービスについても触れられた。同サービスの最初の顧客 となったのは ESPN で、データによると同チャンネルの平均視聴者数は 9% の伸びを記録している。説明を行った Hogue氏の弁では、家庭外視聴者のプロフィールは「年齢が若く、女性に偏った」傾向にある。
今回の報告会を通じて、ニールセンは同社の計測指標に関する様々な論争を打ち消すべく、明るい展望を示した。同社はデータミックスを用意することで、様々な需要やニーズに応えることができると感じている模様だ。実際、ESPN のようなスポーツ専門チャンネルはリアルタイム視聴や家庭外視聴データを必要としているのに対し、大手テレビネットワークは脚本を伴う番組に対する VOD や DVR 視聴データをより必要としているだろう。
INDUSTRY NEWS
Wall Street Journal (ウォールストリート・ジャーナル紙) 米YouTube の有料サービス YouTube TV、録画番組再生での広告スキップは不可 Google のスマートフォンでテレビ放送をストリーミング視聴できる有料サービス、YouTube TVへの加入検討者にとって、新たな事実が明らかになった。同サービスを利用して人気番組を録画する場合、録画された番組で流れる広告をスキップすることはできない。4月3日週、一部の市場において月額 35ドルで導入された YouTube TV の売りは 50以上のライブチャンネルとクラウドを利用した「無制限」のDVRだ。だが、複数の大手メディア企業との契約により、この売り文句には落とし穴があるようだ。 もっと見る
アメリカの大手テレビネットワークCBSの最高経営責任者(CEO)、Les Moonves (レス・ムーンヴェス)は11月3日午後(現地時間)に行われた同社の投資家向け収支報告の際に、2017年のアップフロント交渉でニールセンのTotal Audience Measurementが重要な役割を果たすことを期待するコメントを出した。「トータルオーディエンス視聴率は、CBS が放送する番組がリーチする視聴者数に対する正当な対価を得るための重要なステップとなる。視聴習慣の変化を踏まえ、今後は大きな対価が期待できるだろう。」 もっと見る
AdExchanger (データドリブンマーケティング情報サイト) プログラマティック取引で競う米GoogleとFacebook、パブリッシャーにはまたとない好機が到来 Facebookは最近、AmazonやSonobiなどの入札機能を持つ広告プラットフォームと連携して同社のオーディエンスネットワーク、Facebook Audience Network でヘッダー取引を開始したと発表、パブリッシャーにとっては朗報だと言われている。ただパブリッシャーが気を付けなければならないのは、Facebookの動機だ。Facebookの目的はパブリッシャーとより密接な関係を築くことではなく、ライバルのGoogleから市場シェアを奪取すること。パブリッシャーにとっては交渉スキルを磨く時が来たようだ。 もっと見る
MediaPost (広告メディア専門ニュースサイト) ニールセン、デジタル分野において Googleとの提携関係を強調 ニールセンは 4月19日水曜日(現地時間)、同社がGoogleの認定制度である Marketing Mix Model (MMM) Partnerプログラムのパートナーに認定されたことを発表、Googleとの関係を強調した。MMM分析に基づく同プログラムの認定パートナー企業は、Googleが所有するサイトネットワークにおける広告インプレッション数や広告費データなどを直接収集することができる。Google は同プログラムを通じ、広告主企業に対してマーケティング投資対効果の解明・理解の支援を行う。 もっと見る
Broadcasting & Cable (地上波・ケーブルテレビ業界誌) ニールセン、Gracenote ID を番組 ID として採用 メタデータ企業 Gracenoteを昨年 12月に買収したニールセンは、同社のオーディエンス計測プロセスにおいてGracenote の番組 IDを標準として採用する。Gracenote IDは今後、ニールセンの視聴計測製品において標準となることから、ニールセンはメディア、広告代理店にとってはクロスプラットフォームのバイイングやプランニングが行いやすくなる、とコメントしている。 もっと見る
MediaPost (広告メディア専門ニュースサイト) 脳科学調査結果:テレビ視聴における最大の妨げは「セカンドスクリーン」 ニールセンがアメリカの調査団体、the Council for Research Excellence の依頼で実施している脳科学手法を用いた調査結果によると、テレビ視聴者がテレビに集中している時間は総視聴時間の約半分で、残りの半分は視聴者が手にしているモバイルやタブレットなどの「セカンドスクリーン」に意識が向けられている。同調査を統括するニールセンの EVP 兼チーフニューロサイエンティストの Dr. Carl Marci (カール・マーシ)は、家庭における実査結果が実験室で行った研究結果と高い相関関係にあることについて驚いたとコメント。さらには調査結果がセカンドスクリーンとなるデバイスがテレビ視聴態度や視聴者の知覚による認識力に及ぼす影響に関するファインディングスの裏付けとなった、と語った。 もっと見る
AdExchanger (データドリブンマーケティング情報サイト) 第三者機関の認定取得を迫られる大手デジタルプラットフォーム FacebookやGoogle などの大手デジタルプラットフォームは、第三者認定取得を急かされている。世界最大の消費財メーカーP&GのCBO (最高ブランド責任者)、Marc Pritchard (マーク・プリチャード)は大手デジタルプラットフォームに対し、2017年中にMedia Ratings Council が認定する第三者機関によるビューワビリティ計測を実施することを要求、要求に応えられない場合は取引停止を示唆した。さらには全米広告主協会(Association of National Advertisers、ANA)が3月に実施した調査によると、同協会会員企業の89%が大手デジタルプラットフォーム企業に対して独自のMRC 監査を求めている。要求に応えられなければ広告を取りやめる、という判断に対する共感は広がりを見せている。 もっと見る
Hollywood Reporter (エンターテインメント業界ニュース) 米テレビアップフロント事情: 例年の華やかさは影を潜め、指標が中心となる予感 今年も開催まであと一月となったアメリカのテレビアップフロントプレゼンテーション。大手ネットワークの視聴が2桁減を記録していることを受け、脚本家のストライキが長引いて秋から始まる新シーズンの番組に影響を及ぼさない限り、今年のアップフロントでは番組コンテンツよりもデータサイエンスや新プラットフォームに注目が集まることが予想される。この傾向を象徴するかのように、ある広告バイヤーは「とにかく番組の視聴データを知りたい」、と語った。 もっと見る
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