アメリカにおける 2015-2016年テレビシーズン総括:ツイートが最も活発だった瞬間
アメリカにおける 2015-2016年テレビシーズンを通じてほぼ 10億件のツイートが投稿された、というデータが表すように、ソーシャルメディアはテレビ番組の視聴において非常に重要な役割を果たしている。テレビ視聴者は Twitter を介してゾンビによる世界終末を生き延びた少人数のグループの行く末を語り、2015年シーズンで現役引退を表明したロサンゼルス・レイカーズの Kobe Bryant の最後の試合中にメッセージを送り、リアリティ番組「The Bachelor」に登場する独身男性の女性の好みに関するコメントを投稿。また政治をテーマとしたテレビ番組「House of Cards」(邦題 「ハウス・オブ・カード 野望の階段」)の主人公、Frank Underwood (フランク・アンダーウッド)の大統領再選を目指した選挙戦、さらには「事実は小説より奇なり」という表現がふさわしい一連の大統領選候補者討論会に至るまで、アメリカの生活者は Twitter を利用してスクリーンに映し出された政治家の熾烈な争いを言葉に残した。
従来のテレビ番組放送(リニアテレビ)に対するネット上の反応は番組オンエア中にピークに達することから、テレビネットワークや広告エージェンシー、さらに広告主は最も視聴者とのエンゲージメントが強い瞬間に注目。このような瞬間を広告主がアーンドメディアを獲得する機会とするべく、テレビ番組に対するソーシャルの反応を利用する方法を模索している。アメリカにおける 2015-2016年テレビシーズンの終了を迎え、ニールセンは 2015年8月31日から 2016年5月29日までアメリカで放送されたテレビ番組をシリーズ、特番、スポーツに分類、それぞれのカテゴリーでツイートが最も活発だった瞬間のランキングを作成した。

TWITTER で最も話題になったテレビシリーズ番組
「The Walking Dead」(邦題 「ウォーキング・デッド」)のファンは番組が放送される毎週日曜日、熱心にツイートを発信。各エピソードに関するツイート数は平均 43万5000件にのぼり、同番組は 3年連続で「シリーズ番組」部門のトップとなった。第2シーズンに突入した「Empire」(邦題 「Empire 成功の代償」)は初回放送が Twitter 上で最も話題となり、初回エピソードは全米で 130万件のツイートを獲得。
インターネット動画配信サービスの Netflix で配信されたシリーズ番組を見ると、誤認逮捕された殺人者が無実を証明する過程がファンを虜にした他、1980年代に放送されたシチュエーショナルコメディ、「Fuller House」(邦題 「フラーハウス」)のリメークはリリース初月で 130万件のツイートを発生させた。
NBC が放送する音楽オーディション番組「The Voice」(邦題 「ザ・ヴォイス」)のファンも Twitter に集結、応援する出場者が次のステージに進めるよう投票を行った。2015年12月8日に放送されたセミファイナルの結果を発表するエピソードでは、アメリカ東部標準時間の午後 8時53分に 21万7000件のツイートが発生、これは2015-2016年シーズンに放送されたシリーズ番組の中で最大のツイート件数。また Twitter 投稿者は Univision 放送の音楽オーディション番組、「La Banda」に関する賞賛コメントを投稿、同番組は今シーズン最もツイートが活発だったスペイン語テレビ番組となった。

TWITTER で最も話題になったスポーツイベント
スポーツイベント部門のトップは引き続きスーパーボウルとなり、CBS が放送した今年の スーパーボウル 50 は 1690万件のツイートを獲得。またスーパーボウル中継は最大ツイート数を獲得した瞬間にも選ばれ、ハーフタイムショー終了直後となる東部標準時間午後 8時44分に 16万2000ツイートが記録された。ロサンゼルス・レイカーズのKobe Bryant にとって最後の NBA ゲームとなった試合も記録的なツイート件数を獲得。ESPN2 で放送された同試合では 60得点を獲得して現役最後の試合に花を添え、チームの勝利に貢献した Bryant に対し 190万人が祝福コメントをツイートした。
ニールセンは全メディアに対するマーケティング予算の管理を支援するクラウドベースのツール、Nielsen Marketing Cloudを発表した。同ツールはメディアの取引単位となる視聴データやアナリティクスアプリケーションを単一のプラットフォームに統合、今後同社が展開するNielsen Total Audienceデータを用いたクロスチャネルのメディアプランニングが可能になる他、オーディエンスセグメントの作成や消費者インサイト調査を支援する。
同ツールはモバイル、ウェブ、OTTテレビ、動画、ソーシャルメディア、メールやコンテンツマネジメントシステムなど、すべての主流メディアやマーケティングプラットフォームに対応。アメリカで利用されている全デバイスの95%を対象としたクロスプラットフォーム機能を提供する。
Nielsen Marketing Cloud のEVP、Mark Zagorski (マーク・ザゴースキー)は同ツールについて、「マーケティング効率を向上する上で、データはかつてないほど重要な役割を担っている」とコメント。
測定に関しても、同ツールを利用して広告やコンテンツが消費者の持つイメージや購入意思決定に与える影響のリアルタイム分析や、マーケティング費用効果に対する評価を行うことができる。
Nielsen Marketing Cloud のアプリケーションはNielsen Data Management Platform (DMP)に対応、150以上の第三者メディア、コンテンツアクティベーションや最適化アプリケーションを統合する。
ニールセンは1年前にデータテクノロジー提供企業のeXelateを買収、今回発表したNielsen Marketing Cloud を通じてeXelate の主要機能が利用可能となる。
The Drum (マーケティング&メディア業界ニュースサイト)
米Snapchat、広告販売拡大を狙いイギリスで ニールセン モバイル・デジタル広告視聴率測定を導入
送信した写真が自動的に消滅するSNSアプリ、Snapchat は広告販売拡大に向け、イギリスでNielsen mobile Digital Ad Ratings (mDAR)を導入。同社は今年 2月、アメリカにおける広告キャンペーンの測定指標としてニールセンを採用、動画(video)、縦型(vertical)およびビュー(view)という3V広告指標を用いたオーディエンス視聴測定の提供を発表した。アメリカ国外で初となるイギリス市場でも、同広告指標を用いた視聴測定を展開する。もっと見る
TechCrunch (IT系スタートアップ・主要ニュースサイト)
米TwitterのNFLライブストリーム権獲得により、テレビ局と戦う準備ができたSNS
長年、メディア業界にとって大手テクノロジー企業は不安の種だった。テクノロジー企業が事業拡大の一環としてプレミアムコンテンツの権利を獲得し、テレビ放送企業に対抗するのではないか、という憶測に対し、テクノロジー企業は自らを「プラットフォーム企業であり、コンテンツ企業ではない」と対外的に発表してきた。しかし、TwitterがNFLサーズデーナイトフットボール(TNF)10試合をライブ配信するという発表はSNSがテレビ局からテレビコンテンツを取り上げることができることを証明した。Twitterが権利を獲得したコンテンツは、最もテレビ放送権利価値が高い「ライブスポーツ」というカテゴリーに属するからだ。 もっと見る
Broadcasting & Cable (地上波・ケーブルテレビ業界誌)
米Huluの未来を担う可能性がある「スキニーバンドル」事業モデル
アナリストのTodd Juenger (トッド・ユンガー)は動画配信サービス、Huluの未来はOTTモデルによるVODサービスとして提供される「スキニーバンドル」にかかっているとする独自の理論を公表した。Netflix同様、HuluはVOD動画配信サービス業者ではあるものの、ライブストリーミングは転換的な商品となる可能性がある。同社は今後50以上のライブ配信やケーブルネットワークに加え、充実したオンデマンド動画ライブラリーやテレビシーズン中の見逃し視聴番組を網羅する新たな「スキニーバンドル」サービスを月額40ドルで導入する予定。 もっと見る
Adweek (アドウィーク誌)
2016年米アップフロント、テレビネットワークの 75%はニールセンの C7視聴率を採用
アメリカのVideo Advertising Bureau (VAB)が実施した調査結果によると、今年のアップフロントプレゼンテーションにおける広告枠販売ではテレビやケーブルネットワークの約75%はニールセンのC7視聴率を採用する。広告販売における標準「通貨」は 2006年以降、C3 (放送日 3日以内の再生コマーシャルの平均視聴率)だったが、今年から C7 (7日以内の再生コマーシャルの平均視聴率)が主要通貨となる。もっと見る
The Hollywood Reporter (最新エンタメニュース誌ウェブサイト)
視聴率低下に苦しむ米テレビネットワーク、2016年シーズンに向けてライブプラス35 デイズ(L35)視聴率を採用する動き
ニールセンのライブプラス7デイズ(実放送の終了後7日以内に録画しておいた番組の再生視聴)視聴率が既に過去となりつつあるアメリカのテレビ業界。今年の秋から始まる 2016-2017年テレビシーズンでは、ライブプラス35デイズ(実放送の終了後35日以内に録画しておいた番組を再生視聴)視聴率が採用されるかもしれない。視聴率のさらなる低下に対し、テレビネットワークはより幅広いタイムシフト視聴やマルチプラットフォーム視聴を拾う必要があるからだ。もっと見る
The Wrap (エンターテインメント&メディアニュースサイト)
米comScore のテレビ視聴率が未だ公表されない理由
テレビ視聴率の業界標準、ニールセンのライバル候補筆頭として台頭している新生comScore。ニールセンに対抗するにはテレビ視聴率が必須だが、同社の視聴率データは未だにメディアや一般に提供されていない。本誌の取材によると、comScoreのテレビ視聴率は今年第4四半期(10-12月期)発表予定とのことで、同社がRentrakとの合併に合意してから1年以上かかる見通しだ。 もっと見る
Seeking Alpha (株式市場インサイト、財務分析等ファイナンスコンテンツサービス)
新興市場における10億人のモバイル利用者、広告主には「見えない」存在
PageFair が発表したモバイル広告ブロッカー利用に関する最新レポートによると、新興市場における新たな10億人規模のモバイル利用者の大方は広告主には「見えない」存在となる可能性がある。 もっと見る
Adweek (アドウィーク誌)
米Snapchat、Twitter を抜いて1日当たりアクティブユーザー数1億5千万人を獲得
6月2日木曜日の朝に公表されたレポートによると、サービス開始から約10年経過したTwitterに対し、Snapchat は僅か4年で生活者の日常生活により深く浸透することに成功。もっと見る