transcosmos mail magazine special column

「ウェブマーケティングの新潮流」
ネットレイティングス株式会社代表取締役社長 萩原雅之


第5回 購買行動を変えるCGM

 ブログやクチコミサイトなどを通してネット上で個人が発信する情報への注目が高まっています。これらのサイトは「消費者が作成するメディア」という意味のCGM(Consumer-Generated Media)、またはUGC(User-Generated Content)と呼ばれ、前回とりあげた検索サイトとともに消費者行動に大きな影響を与えています。 消費者がどのようなプロセスで購買にいたるのかについては、「AIDMA」という有名なモデルがあり、長年にわたって広告とプロモーションの基本セオリーとなっていましたが、ネットの普及を背景に、電通が「AISAS」という新しい消費者行動モデルを提唱、シンプルでわかりやすいため広く普及しています。この新しいモデルにおいて「Share=情報共有」の役割を担うのが「CGM/UGC」であり、企業が変化した消費者に向かい合うには不可欠の視点といえるでしょう。
図表1 消費者行動プロセスの変化
AISAS®は株式会社電通の登録商標です

 CGMには以下のようなサイトが含まれます。
  • ユーザーレビュー/クチコミサイト (価格コム、アットコスメなど)
  • Q&Aコミュニティサイト (はてな、Yahoo!知恵袋、教えて! Gooなど)
  • ソーシャルネットワークサービス(SNS) (mixi, Yahoo!DAYSなど)
  • ブログ (ライブドアブログ、ココログ、gooブログ、楽天ブログなど)
  • COI (=Community of Interest : 興味・関心に基づくコミュニティ)
    (ベネッセ・ウィメンズパーク、みんなの就職活動日記など)
  • 知識・コンテンツの共有 (ウィキぺディア, YouTubeなど)
これらCGMサイトの利用者数は2004年以降急増しているのが特徴です。またSNSのmixiや動画投稿サイトのYouTubeに代表されるように、短期間に利用者数が増えるケースも珍しくありません。またWikipediaは月間利用者が1000万人を越えるなど、ポータルサイトに匹敵する訪問者を集めているサイトもあります。

図表2 おもなCGMサイトの月間訪問者数 (2006年9月、家庭からのアクセス)


 サイトの性格は異なりますが、ユーザーが自発的に参加して情報を共有していること、そしてその情報を活用する人がまたその何倍もいるという点で共通しています。90年代後半から日本のネットユーザーは匿名掲示板やISPの提供するホームページ作成サービス、まぐまぐを使ったメールマガジンなど個人の情報発信ツールの活用に熱心だったこともCGMの普及につながったようです。プラットフォームにおいて、消費者が発信した情報がデータベース化、メディア化することにより消費者同士のやりとりが簡単にできるようになりました。そのコンテンツは企業にとっては情報の宝庫と考えられています。
 たとえばクチコミサイトの「価格コム」や「アットコスメ」は関連業界にとってすでに無視できない存在です。家電メーカーサイトのリファラー(どのサイトのリンクからやってきたか)をみると、いずれも「価格コム」が上位にあがっており、メーカーサイトの情報も参照しつつ比較検討する消費者像が浮かび上がります。(図表3)

図表3 おもな家電・PCメーカーサイトの直前参照サイト (2006年9月、家庭からのアクセス)
 また「教えてgoo」や「Yahoo!知恵袋」などのQ&Aコミュニティや「ミクシィ」には企業・商品に関するトピックやコミュニティが数多く存在していて、消費者の率直な意見や評価が日々やりとりされています。このような情報はアンケート調査やインタビューでは得がたいものです。購買ポイントに近いところでの消費者情報を企業が把握できるようになったともいえます。積極的な企業はミクシィの中に「公認コミュニティ」を設置し、意見収集やプロモーションに使うケースもあります。今後はコミュニティの場に企業が積極的に関わっていく試みにも注目が集まるでしょう。
 消費者が検索やCGMを通してあらゆる情報を入手できる今の時代に必要なのは、企業は誠実であることが最大の戦略になります。企業が広告でメリットをPRしても、CGMを通して消費者は欠点も把握することができます。マーケターと消費者が同じ情報に基づき行動していることがネットがもたらした最大の変革といえそうです。

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