transcosmos mail magazine special column

「ウェブマーケティングの新潮流」
ネットレイティングス株式会社代表取締役社長 萩原雅之


第4回 検索サイトをめぐる動き

検索が変えた購買行動
 インターネットは消費者の購買プロセスを大きく変えたと言われています。かつては、テレビCMや新聞広告によって興味・関心を持った消費者が店頭で実物をみて検討・購入するという考え方が一般的で、マス広告の役割が非常に重視されていました。
 現在ではどうでしょう。皆さんがクルマやデジカメを買う時、ホテルや引越業者を選ぶ時もおそらくまずはネットで検索をするのではないかと思います。検索の目的もさまざまでメーカーのホームページにある詳細な商品情報を読んだり、EC比較サイトで最安値を探したり、ブログでユーザーの評判を探したりするのもごく当たり前の行動でしょう。
 アクセス解析や視聴率データでは、自分のサイトにどのページから来たか(直前参照ページ)の統計や分析が重視されます。視聴率データでみると、企業サイト、ECサイト、ブログなどあらゆるタイプのサイトでYahoo!検索やGoogleの検索結果が大きなシェアを占めていることがわかります。
 このような背景からネットユーザーの検索行動への関心は高まるばかりです。「検索して出てこないのは存在しないのと同じ」というのは決して大げさではありません。検索ページでできるだけ上位に表示させる技術(SEO)に関するコンサルティングや検索キーワード連動型広告は今後も高い成長率を維持していくはずです。
「Yahoo!検索」と「Google」
 多くのポータルサイトがトップページでウェブ検索機能を提供していますが、現在、日本ではYahoo!検索とGoogleの利用者が多数を占めています。月間のYahoo!検索利用者は2992万人でネット利用者の67%、Googleは1664万人、37%に相当します(いずれも2006年8月、家庭からのアクセス)(図表1)。実際にはBiglobeや@niftyなどGoogleのエンジンの提供を受けているポータルサイトは多く、これらを加えると両者の実際の差はもう少し縮まります。 図表1 「Yahoo!検索」と「Google」の利用率
(2006年8月、家庭からのアクセス)
 一人当たりのページビュー数でみると、GoogleがYahoo!検索を上回り、Googleは頻繁に使うユーザーが多いようです。またYahoo!検索とGoogleの併用者も意外と多く、「Google」利用者の3人に2人は「Yahoo!検索」も使っていました。利用者の性・年齢構成をみても、「Google」の男性比率が高いという傾向がありますがそれほど大きな違いがあるわけではありません。
 Yahoo!検索は2005年10月に、従来のディレクトリによるサイト検索からロボットによるページ検索を優先表示する変更を行い、ディレクトリ検索の利用者が減るとみられていました。ところが切替直後にはやや減少したものの、現在でも1200万人以上がディレクトリ検索結果も利用しています。これも日本特有の現象でロボット型検索以外のニーズもあることを象徴しているといえます。(図表2)

図表2  「Yahoo!検索」と「Google」の利用者数推移 (2000年4月〜2006年8月、家庭からのアクセス)

 なおYahoo!検索の高いシェアは日本やアジア諸国に特有の現象です。米国ではGoogleの利用率(57%)がYahoo!検索(36%)を上回っていますし、欧州におけるGoogleの利用率は、英国70%、フランス73%、ドイツ69%などほとんどの国で独占に近い状況です(図表3)。全世界で「Google脅威論」が語られるのもそういう実態が影響していると考えられます。 図表3 主要国における 「Yahoo!検索」と「Google」の利用者
(2006年8月、家庭+職場合計)

注) 職場の利用も含まれているため日本の利用率とは単純比較できません

検索をとりまく今後の動き
 今後はGoogleの動きがさらに注目されそうです。「Googleマップ」や「Gmail」など検索以外のサービスがポータルサイトと競合するサービスが日本でも人気を集めており、ますます両サイトのシェア争いは激しさを増すと見られています。一方、従来のロボット検索で得られない「答え」を見つける手段として、Yahoo!知恵袋やはてな等のQ&A検索も利用者数を増やしています。ポータルサイトのgooの場合、すでに一般検索を「教えて!goo」が大きく上回ります。
そして来年以降、注目が集まりそうなのが携帯電話のウェブ検索です。携帯コンテンツを探すには電話キャリアによる公式サイトのディレクトリの利用が中心で、携帯での Yahoo!やGoogleの検索利用は微々たるものでした。しかし、au がGoogle をメニューのトップに実装したり、ソフトバンクモバイル(旧ボーダフォン)がYahoo!との連携を重視するのは間違いなく、携帯でもパソコンのように検索からスタートする習慣が定着するはずです。それによって非公式サイトへのアクセスが増えれば、企業にとって新しい携帯電話を活用したマーケティング手法の可能性も拡がると見られています。

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