第3回 ネットにおける動画視聴マーケットの可能性を探る
日本のネットユーザーの間でもネットでの動画視聴が急速に普及しています。ブロードバンド環境の普及はもちろんですが、魅力的な番組が増えたことも一因でしょう。
コンテンツの力を最初に実感させられたのが2004年の韓流ブームで、「冬のソナタ」をはじめとする韓国ドラマは多くのサイトで無料視聴したり購入したりすることが可能でした。長時間の韓国ドラマをブロードバンド環境で視聴する中高年女性をさして「ブロドラ族」という言葉も生まれたほどです。また、通常CMの何倍もの手間と費用をかけた広告・プロモーション用のショートフィルムを企業が自社サイトで公開するケースが数多く登場したのも2004年以降です。パソコンでの動画視聴が普及することで、新しいビジネスやマーケティング機会も生まれました。
特に2005年4月にスタートした「GyaO」はすでに1000万人以上の登録者を集め、ネット視聴率でみても月間400万人以上が視聴するほどに成長しています(2006年7月、家庭からのアクセス)。
■ 図表1 動画サイトへの訪問者数
(家庭からのアクセス)
単位:千人
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2005年7月 |
2006年7月 |
前年同月比 |
| 放送型 |
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1,643 |
4,233 |
258% |
| Yahoo!動画 |
streming.tahoo.co.jp |
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1,786 |
3,218 |
180% |
| BIGLOBEストリーム |
broadband.biglobe.ne.jp |
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1,729 |
1,801 |
104% |
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321 |
823 |
256% |
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- |
433 |
- |
| 投稿型 |
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- |
6,398 |
- |
| Google Video |
video.google.com |
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- |
524 |
- |
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- |
27 |
- |
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「パソコンテレビ」というわかりやすいコンセプトで、民放テレビと同様にCMを入れることによって無料で視聴できることを視聴者が納得している点が強みといえます。ネットユーザーにとってはテキスト中心のウェブページに動画広告を置くよりも、動画コンテンツの中に挟む方が自然でネットにおける動画広告への関心が一気に高まりました。
GyaOの成功に刺激されるように、最初は有料でのダウンロードが中心だった「Yahoo!動画」や「BIGLOBEストリーム」も無料コンテンツに軸足を移しています。広告主にとっては、性・年齢など登録時の属性によってターゲット層に絞った配信が可能なことや視聴回数が正確にカウントされるといったテレビCMとは異なる価値を持つ媒体と考えられるようになっています。
また日本テレビが運営する「第2日テレ」は、映像作りに豊富なノウハウを持つテレビ局ならではの企画とクオリティを持つネットオリジナルの番組提供で注目されています。最近では松本人志の新作コント「ザッサー」によって登録者を大きく伸ばしました。また模擬商店街内の看板広告やCMの選択視聴によりポイントがたまり、ポイントによって有料番組視聴が可能になるなど、ユニークな広告ビジネスの仕組みも試みています。
以上は事業者側が動画コンテンツを提供し広く視聴してもらう「放送型」のサイトですが、今年に入って、「YouTube」に代表される投稿・共有型の動画サービスが台頭してきました。「YouTube」への訪問者数は約640万人(2006年7月、家庭からのアクセス)、利用率は半年間でゼロから約15%に達しており、英語サイトであるにもかかわらず近年これほど短期間に訪問者数が増えたサイトはありません。世界各国でも利用率は増えていますが日本は米国に匹敵するかそれ以上の伸び率をみせています。(図表2) |
■ 図表2 主要国における YouTube の利用率(リーチ)の推移
(各国とも家庭からのアクセス)
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米国ではYouTubeはmixiのようなSNS(ソーシャルネットワークサービス)に分類されていることからも明らかなように、CGM(消費者が生成するコンテンツ)の一種であり、参加・共有をベースにした「Web2.0」の代表的サービスといえるでしょう。
日本でもフジテレビの「ワッチミー!TV」やNTTの「ClipLife」など大手参入が相次いでいるのも投稿型動画サービスという仕組みに大きな可能性があるからです。コミュニティとしての集客力を期待した一般の広告収入だけでなく、番組や新商品予告など投稿される動画そのものにプロモーションの役割を持たせることも可能でしょう。映像ブログ、アートなど個人発信メッセージから、旅行情報、講演・セミナー、映画や番組予告などあらゆるジャンルでの利用が考えられます。
現在は、動画・映像をテレビが独占していた時代からネットを通してあらゆるタイプの映像を楽しめる時代への過渡期と言えます。ネットレイティングスでは、ネット総利用時間に占める動画視聴時間の比率は今後ますます増えると予想し、マウスやキーボードをほとんど使わない動画視聴をどのような指標で測定し、データとして公開するかについて試行と検討を重ねています。また、パソコンが家庭の中でどこに置かれ、どのような姿勢で視聴されているのか、テレビ視聴とはどのような関連があるのかなど「新しい動画視聴習慣」を把握することも重要と考えています。
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